資格ナビ潜水士の演習へ

送気、潜降及び浮上

潜水士 令和5年 1月~6月実施分 送気、潜降及び浮上 問16

問題・正答・学習用解説

問題

ビュールマンのZH-L16モデルに基づく減圧方法などに関し、誤っているものは次のうちどれか。

選択肢

  1. (1)
    半飽和組織における不活性ガス分圧の計算式は、具体的には「生体内外の不活性ガスの移動は不活性ガスの分圧の差が大きいほど速やかで、かつ時間の経過に比例して行われる。」ということを意味している。
  2. (2)
    M値とは、ある環境圧力に対して、労働者の身体が許容できる各半飽和組織ごとの最大の不活性ガス分圧である。
  3. (3)
    純酸素を呼吸用ガスに使用する場合、環境ガスの混入や呼気の流入の可能性もあるので、20%前後の不活性ガスを含んでいるものとして計算することが多い。
  4. (4)
    実際の不活性ガス分圧の計算では、大気圧を100kPa(絶対圧力)とせず、飽和水蒸気圧を勘案し、100から5.67を差し引いた94.33kPa(絶対圧力)とすることが望ましい。
  5. (5)
    潜水を開始した直後から海底に到達したとして減圧計算を行うと、体内に取り込まれるガス量が加圧速度を見込んだ場合よりも多く算出されるので、より安全な減圧スケジュールが導かれる。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は選択肢1です。組織へ移動する不活性ガスの速さは、体内外の分圧差が大きいほど速くなりますが、時間に単純比例するわけではありません。吸収が進んで分圧差が小さくなるほど移動速度も低下し、組織内分圧は指数関数的に平衡へ近づきます。

各選択肢の解説

選択肢2

選択肢2は正しい説明です。M値は、その環境圧力で各半飽和組織が許容できる不活性ガス分圧の上限であり、どの組織も対応するM値を超えないよう浮上計画を立てます。

選択肢3

選択肢3は正しい説明です。純酸素を使う場合でも、環境ガスや呼気が混ざる可能性を考慮し、計算上は約20%の不活性ガスを含むものとして安全側に見積もることがあります。

選択肢4

選択肢4は正しい説明です。吸入ガスは気道内で水蒸気により薄められるため、標準大気圧100 kPaから体温付近の飽和水蒸気圧5.67 kPaを引いた94.33 kPaを計算に用います。

選択肢5

選択肢5は正しい説明です。潜降に要する時間を無視して開始直後から最大深度にいたと仮定すると、実際より不活性ガス吸収量を多く見積もるため、減圧時間が長い安全側の計画になります。

周辺知識

半飽和時間は、周囲の不活性ガス分圧が変わったとき、組織内分圧がその差の半分まで近づく時間です。同じ時間がさらに経つと残りの差の半分まで近づくため、50%、75%、87.5%のように平衡へ近づきます。ZH-L16では速さの異なる16の組織区分を計算し、各段階でM値を超えないようにします。