高気圧障害
潜水士 令和3年 7月~12月実施分 高気圧障害 問25
問題・正答・学習用解説
問題
肺の圧外傷に関する次の文中の 内に入るAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。「潜水器を使用した潜水における [ A ] 時の肺の圧外傷は、 [ B ] と [ C ]を引き起こすことがある。[ B ] は、胸膜腔に空気が侵入し胸部が拡がっても肺が膨らまなくなる状態をいい、 [ C ] は、肺胞の毛細血管に侵入した空気が心臓を介して移動し、動脈系の末梢血管を閉塞することにより起こる。」| A | B | C | |
|---|---|---|---|
| 1 | 浮上 | 気胸 | 空気塞栓症 |
| 2 | 浮上 | チョークス | ベンズ |
| 3 | 浮上 | 空気塞栓症 | 気胸 |
| 4 | 潜降 | 気胸 | 空気塞栓症 |
| 5 | 潜降 | チョークス | ベンズ |
選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は選択肢1です。浮上時には周囲圧の低下で肺内ガスが膨張し、息を止めるなどして排出できないと肺胞が破裂します。胸膜腔へ空気が漏れると気胸、肺毛細血管から動脈系へ空気が入って血管を塞ぐと空気塞栓症になります。
各選択肢の解説
選択肢2
選択肢2はAの浮上だけが合っています。チョークスとベンズは、体内で析出した不活性ガスの気泡による減圧症の症状であり、肺の膨張性圧外傷そのものの名称ではありません。
選択肢3
選択肢3は浮上時である点は合っていますが、BとCが逆です。胸膜腔へ空気が漏れて肺が膨らまない状態が気胸、動脈末梢を気泡が塞ぐ状態が空気塞栓症です。
選択肢4
選択肢4は気胸と空気塞栓症の対応は合っていますが、Aが誤りです。肺内ガスの過膨張による圧外傷は、周囲圧が下がってガスが膨らむ浮上時に起こります。
選択肢5
選択肢5はA、B、Cのすべてが一致しません。潜降時ではなく浮上時の肺圧外傷であり、生じ得る代表例はチョークスとベンズではなく気胸と空気塞栓症です。
周辺知識
ボイルの法則により、特に浅い水深では少し浮上しただけでも肺内ガスの体積割合が大きく増えます。スクーバでは浮上中に決して息を止めず、正常に呼吸しながら毎分10 m以下で上がります。空気塞栓症は急な意識障害などを起こす緊急事態です。