学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問25
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、いずれも無窓階を有しないものとし、危険物等の貯蔵又は取扱いは行わないものとする。また、いずれの建築物も各階を当該用途に供するものとする。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。屋外消火栓設備によって屋内消火栓設備を省略できる対象は、原則として1階・2階のうち、その設備の有効範囲内の部分です。3階まで含む『3階以下の各階』という記述は、省略できる階の範囲を広げ過ぎています。
屋内消火栓は、建物内部の各階等でホースを使い、火災へ放水するための設備です。屋外消火栓は建物の外に設け、屋外から放水する設備です。外からの放水で対応できる範囲には限りがあるため、屋外消火栓を置いたからといって、上の全ての階で屋内の設備を省くことはできません。代わりとなる設備の能力や位置だけでなく、法令が認める対象階を確認する必要があります。
本問は地上8階建てで、屋内消火栓設備を設けるべき建物です。屋外消火栓の設置を理由に、3階の屋内消火栓まで外せるとはいえません。1階・2階でも、設備が有効にカバーする部分等の条件が必要で、無条件に階全体を除くわけではありません。他の肢は図書館の自動火災報知設備、ホテルのスプリンクラー、倉庫の屋外消火栓の設置規模を問います。設備ごとに、用途と階数、面積、構造の条件が違うことを整理して判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)誤りです。屋外消火栓による屋内消火栓の省略は、原則として1階・2階のうち有効範囲内の部分等で認める扱いです。3階を含めることはできません。本肢の建物は8階建てなので、低層部で使える代替を上階へ拡張しないことが重要です。屋外のホースから届くことを自分の判断で想像して階を増やすのではなく、法令が定める省略範囲を使います。他設備を設けた場合の特例は、設備の種類だけでなく、その有効範囲と対象階を合わせて確認します。
選択肢2
(2)適当です。図書館の自動火災報知設備は、通常、延べ面積500m²以上等が設置対象です。本肢は木造2階建て400m²で、無窓階や危険物等の条件もないため、その対象未満です。自動火災報知設備は感知器等で火災を検知し、建物内へ知らせる設備です。消火器の設置面積など、別の設備の300m²等の基準を取り違えないようにします。自動火災報知設備が不要という結論は、図書館に必要な全ての消防設備が不要という意味ではありません。
選択肢3
(3)適当です。本肢の地上3階建て、延べ面積5,000m²のホテルは、平家以外のホテルのスプリンクラーの通常の6,000m²以上という規模に達しません。また、11階以上の建物や、4階以上・無窓階等の別の設置条件にも、本問の指定では該当しません。ホテルなら規模や階数を問わず必ずスプリンクラーとするものではありません。耐火建築物であることを含めて対象条件を確認しますが、耐火という理由だけで全ての設置条件を免除するという読み方も避けます。
選択肢4
(4)適当です。屋外消火栓の面積基準は、準耐火建築物では1階・2階の床面積合計6,000m²以上です。本肢は2階建て全体5,000m²なので、その合計も5,000m²で基準未満です。その他の建物の3,000m²、耐火建築物の9,000m²という別の区分を混同しません。また、3階以上の建物では全延べ面積ではなく1・2階の合計を使う点が重要です。本問のように2階建てなら結果的に延べ面積と一致しますが、面積の定義を理解して比較します。
周辺知識
消防用設備の要否は、設備ごとに別の表と条件を用います。自動火災報知設備は火災を早く知らせ、スプリンクラーは自動的な散水で火勢を抑え、屋内・屋外消火栓はホースによる放水を可能にします。目的が違うため、同じ建物で一つは必要、別の一つは規模未満ということがあります。
面積の集計範囲も重要です。図書館の自動火災報知設備は建物の延べ面積を確認します。屋外消火栓は、2階以上の建物なら1階と2階の床面積合計を使い、構造に応じて3,000、6,000、9,000m²の区分を確認します。本問の倉庫は準耐火なので6,000m²との比較です。数字だけでなく、面積の対象部分と構造の名前をセットにします。
他の設備で代替できる規定では、設置するだけで全範囲が免除になるわけではありません。屋外消火栓が有効に働く部分でも、屋内消火栓を省ける階は限定されます。高い階へホースを運ぶ負担や外部からの放水の条件が違うためです。原則の設置義務を確認した後、代替設備、対象階、有効範囲という条件を全て満たす部分だけに特例を使う読み方が必要です。