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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問23

問題・正答・学習用解説

問題

建築士事務所に属する建築士と当該建築士事務所との関係に関する次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。ただし、中央指定登録機関の指定は考慮しないものとする。

選択肢

  1. (1)
    建築士事務所に属する建築士は、当該建築士事務所の管理建築士による監督を受ける対象である。
  2. (2)
    建築士事務所に属する一級建築士が独立して建築士事務所を開設した場合、当該建築士は建築士事務所の登録を受けることに加えて、自らの建築士免許に関する届出事項である「建築士事務所の名称、開設者の氏名及び所在地」に変更があった旨を、変更のあった日から30日以内に国土交通大臣に届け出なければならない。
  3. (3)
    一級建築士は、建築士事務所に所属しなくなった後、一級建築士定期講習の受講期間を超えた日以降に建築士事務所に所属した場合は、遅滞なく、一級建築士定期講習を受けなければならない。
  4. (4)
    建築士事務所に属する建築士が、その業務における建築基準法の違反行為によって免許を取り消された場合、当該建築士事務所の開設者に課せられる処分は、「戒告」又は「1年以内の事務所の閉鎖命令」のいずれかである。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。事務所に所属する建築士が、その事務所の業務として行った違反により免許取消し等の処分を受けた場合、開設者に対する監督処分には、戒告、1年以内の事務所閉鎖に加え、事務所の登録取消しもあります。本肢は選択できる処分を二つだけに限定した点が誤りです。
建築士個人の免許は、その人が専門家として設計・工事監理等を行う資格です。建築士事務所の登録は、報酬を得て業として業務を行う事務所の体制等に関する制度です。個人が事務所の業務として重大な違反をした場合、その人への処分だけでなく、業務を行わせた事務所の適切な運営も問題になります。そのため、法律は事務所側へも複数の監督処分を用意しています。
戒告は違反を戒める処分、閉鎖命令は一定期間事務所を閉じさせる処分、登録取消しは事務所の登録自体を失わせる処分です。常に最も重い処分を自動的にするという意味ではありませんが、法の選択肢から登録取消しを除くことはできません。所属建築士と事務所の関係では、管理建築士の監督、個人の免許に関する変更届、再所属時の定期講習など、個人と組織の両方の義務を別々に確認する必要があります。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。管理建築士は、事務所に属する建築士や他の技術者を監督し、業務が適切に行われるよう技術的事項を総括します。所属建築士は免許を持つ独立した専門家ですが、それを理由に事務所の業務体制上の監督を受けないわけではありません。例えば担当者の能力と業務の難しさ、作業期間、確認の体制等を整える必要があります。個人の責任をなくす制度ではなく、個人が適切に業務を遂行できるよう、事務所全体を管理する役割です。

選択肢2

(2)適当です。一級建築士が独立し、所属する事務所の名称、開設者、所在地が変わった場合、本人の免許に関する届出事項の変更を30日以内に国土交通大臣へ届け出ます。本問は中央指定登録機関を考慮しない条件です。新しい事務所の登録だけで、建築士個人の記録の変更まで自動的に済むとは限りません。事務所を開く主体としての登録と、免許を持つ個人としての届出を二つの手続に分け、変更があった日から期限を数えます。

選択肢3

(3)適当です。事務所を離れた後に定期講習の受講期間が過ぎ、その後再び事務所に所属した一級建築士は、遅滞なく講習を受けます。一般の建築士の定期講習義務は事務所所属者を対象としますが、一度退職したことにより、再所属後も永久に義務がなくなるわけではありません。業務へ戻った段階で知識の更新を確保する必要があります。非所属だった期間を確認し、再所属した事実と受講期間の経過を合わせて、必要な受講の時期を判断します。

選択肢4

(4)誤りです。事務所の監督処分は戒告と1年以内の閉鎖命令だけではなく、登録取消しも含みます。所属建築士が事務所業務として違反し、免許処分を受けた場合の事務所への影響を、二つだけに狭めた点が誤りです。免許取消しは個人の資格、事務所登録取消しは事務所の登録に対する処分で、対象が違います。個人への処分が済めば事務所は必ず残せる、とする制度ではありません。一方、全ての場合に登録取消しになると断定することも避けます。

周辺知識

建築士個人と建築士事務所は、法律上の記録や責任が別です。個人の免許の登録情報には、氏名等に加えて所定の所属事務所情報が関係します。事務所には、開設者、管理建築士、所属者、業務体制等に関する登録・報告の制度があります。独立や転職という一つの出来事でも、個人と事務所の複数の届出が必要になる場合があります。
処分の区別では、個人に対する免許取消しや業務停止等と、事務所に対する戒告、閉鎖、登録取消し等を分けます。所属者が事務所の業務としてした行為なのか、管理建築士自身の行為なのかで、事務所への影響の条件が異なる場合もあります。本問は所属建築士が業務上違反した条件なので、その条文の処分の範囲を確認します。
定期講習は、免許を取った後の知識を更新する制度です。事務所に所属しなくなった期間がある場合でも、再び業務に関わる所属者となれば、受講期間との関係を確認しなければなりません。管理建築士の監督も、免許を持つ人なら不要というものではありません。個人の専門性と、事務所の業務を適切に進める体制が重なって、建築士の仕事の質を支える仕組みとして理解します。