資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問18

問題・正答・学習用解説

問題

防火地域及び準防火地域内の建築物の新築に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
  2. (2)
    防火地域内においては、高さが1.5mの看板で、建築物の屋上に設けるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又は覆わなければならない。
  3. (3)
    防火地域及び準防火地域にわたる建築物(過半が準防火地域内であり、防火地域外で防火壁で区画されていないもの)で、地上3階建ての事務所の用途に供するものは、耐火建築物若しくは準耐火建築物又はこれらと同等以上の延焼防止時間となる建築物としなければならない。
  4. (4)
    防火地域内の自動車車庫の用途に供する開放的簡易建築物の主要構造部である柱及びはりは、準耐火構造であるか、又は不燃材料で造らなければならない。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は3です。建物が防火地域と準防火地域にまたがり、防火地域外で防火壁により区画されていない場合、原則として建物全体へ防火地域の規定を適用します。地上3階建ての事務所は防火地域の耐火等を求める区分なので、準耐火建築物等でもよいとした点が誤りです。
防火地域の規制は、市街地で火災が建物から建物へ広がることを防ぐためのものです。建物の一部分が防火地域に入る場合、その部分で生じたり受けたりした火災が、同じ建物の中を通って別の部分へ広がるおそれがあります。そこで、原則として建物を一体で厳しい地域の性能へ合わせます。防火壁で所定の区画をする場合の取扱いはありますが、本問はその区画がない条件です。
『過半が準防火地域』という記載は、用途地域にまたがる敷地の用途制限の原則と混同しないための条件です。防火地域を建物の面積の多数決で選ぶ制度ではありません。また、準防火地域の3階建てなら準耐火等を認める区分があっても、防火地域の規定を使う本問へそのまま適用できません。どの地域に建物がかかるか、区画の特例があるか、適用する地域で階数・面積がどの区分かという順で判断します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。防火地域内で外壁が耐火構造の建物は、その外壁を隣地境界線に接して設けられる建築基準法上の特例があります。市街地の防火性能を確保した建物について、民法の一般的な境界からの離隔との関係を調整する規定です。外壁が単に燃えにくい材料というだけではなく、耐火構造という条件が必要です。また、境界に接してよいことは、隣地へ越境してよいことではありません。道路境界や他の都市計画上の制限とも区別します。

選択肢2

(2)適当です。防火地域の看板等は、高さ3mを超えるものだけでなく、建物の屋上に設けるものも、主要な部分を不燃材料で造るか覆う必要があります。本肢は高さ1.5mですが屋上に設けるため対象です。屋上の可燃物が火災で燃え、周囲へ火を広げる等の危険を抑える規定です。『3m超かつ屋上』という両条件ではなく、高さの条件または屋上設置という対象の分け方を確認します。高さが低いから自動的に除外されるものではありません。

選択肢3

(3)誤りです。防火地域と準防火地域にまたがる建物は、所定の防火壁による区画がない本問では、全体を防火地域の規定で扱います。防火地域の地上3階建てには耐火等の性能が必要で、準耐火等を選べるという説明は広過ぎます。準防火地域側が過半という面積割合で、適用地域を決めることはできません。敷地の用途制限の過半ルールと、建物の防火地域のまたがりを別に覚えます。防火壁の例外を問題で除いていることも確認します。

選択肢4

(4)適当です。所定の開放的簡易建築物には、その開放性や用途等の条件を踏まえた構造の特例があります。自動車車庫として使う本肢では、主要構造部の柱・はりを準耐火構造または不燃材料で造る方法を認めます。開放的簡易建築物は、単に窓が多いという日常的な表現ではなく、法令の条件に該当する区分です。通常の閉鎖的な車庫へこの緩和を流用せず、開放性や用途・規模等の対象条件を満たすことを前提に判断します。

周辺知識

地域がまたがる問題では、『敷地がまたがる』のか『建物がまたがる』のかと、何の規制を適用するのかを先に確認します。用途制限には敷地の過半の地域を使う原則があり、容積率・建ぺい率には面積に応じた配分があり、防火地域のまたがりには厳しい規定を建物全体へ適用する扱いがあります。一つのルールで全部を処理できません。
防火壁は、火災の広がりを区切る所定の性能を持つ壁です。普通の間仕切壁とは違い、建物の部分ごとの防火上の取扱いに関係します。本問は防火地域外でその区画がないため、一体の建物として防火地域の規定を使います。設問がわざわざ区画の有無を記載した理由を考えると、どの例外を検討するかが分かります。
防火地域内には、外壁を境界へ接して設ける特例、屋上看板等を不燃化する規定、開放的簡易建築物の特例等もあります。高い防火性能を持つことを条件に利用の自由度を認めるものと、周囲へ火を広げる危険を抑えるものが混在しています。単に『防火地域は全て厳しい』と考えず、部位の性能、設置位置、建物の開放性等を、それぞれの規定の目的に結び付けて判断します。