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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問14

問題・正答・学習用解説

問題

都市計画区域内の道路に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    高度利用地区内の自動車のみの交通の用に供する道路の上空に設けられる建築物は、原則として、特定行政庁の許可を受けなければ建築することができない。
  2. (2)
    工事を施工するために現場に設ける仮設事務所の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。
  3. (3)
    特殊建築物、階数が3以上である建築物等については、その敷地が接しなければならない道路の幅員、道路に接する部分の長さ等について、地方公共団体の条例により、制限を付加される場合がある。
  4. (4)
    景観重要建造物として指定された建築物については、市町村の条例により、道路に軒を突き出したまま大規模の修繕ができる場合がある。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。工事を施工するために現場へ設ける仮設事務所には、建築基準法の特例により、敷地が道路へ2m以上接することを求める接道義務の規定は適用されません。本肢は通常の建物に対する接道義務を、そのままこの工事用仮設へ当てはめた点が誤りです。
接道義務は、建物から避難したり、消防車等が近づいたり、日常に通行したりできる関係を、敷地と道路の間に確保するための規定です。通常は敷地が法上の道路に2m以上接することを求めます。一方、工事用の仮設事務所は、その工事を進めるために現場へ一時的に設ける建物で、恒久的な土地利用と同じ規定を全て適用しない特例があります。
重要なのは、『工事を施工するために現場に設ける』という用途・場所の条件です。簡易な材料で造った一般の事務所や、工事と関係なく長く営業する事務所まで、仮設と呼べば同じ扱いになるわけではありません。また、接道義務の規定が除外されても、作業員の安全な通行や避難のための配慮を不要とする意味ではありません。道路上空の建築、条例による接道制限の追加、景観建造物の保存の緩和と、それぞれ別の制度として適用条件を確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。高度利用地区の自動車専用道路の上空であっても、建物を設けるには原則として特定行政庁の許可が必要です。高度利用地区は、土地を合理的・健全に高度利用するための地区ですが、道路の交通や安全を無条件に妨げてよいわけではありません。自動車だけの道路だから歩行者の接道と関係がない、という理由で道路内建築の許可を省略できません。地区の指定と、道路上空へ建築するための個別の許可を別に確認します。

選択肢2

(2)誤りです。工事を進めるために現場へ置く仮設事務所は、法第85条の特例で接道義務の規定が適用されません。そのため、その敷地に法上必ず2mの接道を求めるという記述は誤りです。通常の事務所の新築と、工事に必要な現場の仮設事務所を区別します。仮設であることは、使用期間や目的に関係する法律上の条件であり、プレハブ等の構造材料の名前だけで決まりません。必要な現場の安全や避難への配慮は、別に確保します。

選択肢3

(3)適当です。特殊建築物や階数3以上の建物等では、通常の接道2m等だけでは避難や通行の安全を十分に確保できない場合があります。そのため、地方公共団体が条例で、接する道路の幅や接道部分の長さ等の制限を追加できる制度があります。例えば多数の人が使う建物では、狭い一本の出入口だけに人が集中することが問題になります。国の最低条件を満たせば、どの地域でも必ず接道の確認が終わるわけではなく、適用される条例も確認する必要があります。

選択肢4

(4)適当です。景観重要建造物については、現状の外観等を保存するため、市町村が所定の承認を得て条例を定め、道路内建築制限等の一部を緩和できる制度があります。そのため、道路へ軒を出した歴史的な姿を残したまま、大規模修繕ができる場合があります。指定されただけで全ての基準が自動的に消えるのではなく、条例による具体的な緩和が必要です。文化財の全面的な適用除外の区分とも異なるため、対象と手続を分けて理解します。

周辺知識

道路に関する法規は、敷地が道路へ接する条件と、道路の中へ建築物を設ける制限を分けます。接道義務は敷地の入口を確保する規定です。道路内建築制限は、道路の交通等のために必要な空間へ建物を出さないための規定です。道路の上空に建てる場合や軒を突き出す場合は、後者の問題として許可や緩和の条件を確認します。
仮設の特例、条例による追加、保存のための緩和は、それぞれ規定を変える方向と目的が異なります。工事現場の仮設事務所は、工事に必要な一時使用のため一部の規定を適用しません。特殊建築物等の接道は、安全上の事情から条例で厳しくできる場合があります。景観重要建造物は、外観等を残すため条例で一部を緩和する仕組みがあります。
したがって、条例が出てきたら必ず厳しくなるとも、歴史的な建物なら必ず全て適用除外になるともいえません。どの法律のどの制度が、何を目的として、誰の判断で、どの範囲の規定を変更できるかを確認します。接道2mという基本を押さえたうえで、本問のような用途や保存の特例を条件付きで整理することが、例外を広げ過ぎない学習につながります。