学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。各階に客席があるナイトクラブは、原則として避難階以外の階から二以上の直通階段が必要です。本肢の5階建てで各階200m²、耐火構造という条件だけでは、各階の階段を一か所にできません。特に3〜5階には、例外に必要な避難上有効なバルコニー等がありません。
直通階段は、その階から避難階または地上まで連続して通じる階段です。二つの経路を用意するのは、一方が火や煙で使えなくなっても、別の経路へ逃げられるようにするためです。ナイトクラブ等では、不慣れな利用者が多く集まる等の用途の条件を踏まえて、二以上の直通階段を原則とします。
主要構造部が耐火構造であるため、例外の面積は200m²以下という読替えを考えられます。しかし、5階以下で面積が小さいだけでは足りず、避難階の直上・直下以外の階では、有効なバルコニー等と所定の階段などの条件が必要です。本肢はそれらを設けていません。1階を避難階とする2階の別の例外を、3〜5階へ拡張することもできません。階段数は建物全体の印象で決めず、用途、階、面積、付加設備の条件を各階ごとに当てはめて判断します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。床面積合計が1,500m²を超える物品販売店舗には、各階の売場や屋上広場へ通じる二以上の直通階段が必要で、所定の避難階段の構造を求めます。本肢は2,000m²の3階建てで、二か所の直通階段を避難階段としているため、この条件を満たします。階段を二つ設けるという数の条件と、階段を火や煙から守る構造の条件は別々に確認します。二つあれば普通の階段のままでよい、ということにはなりません。
選択肢2
(2)誤りです。耐火構造で各階の居室200m²でも、ナイトクラブの3〜5階に有効なバルコニー等がないため、一つの直通階段にする例外を満たしません。避難階直上の2階に関する小面積の例外を、上の全ての階へ広げることはできません。本肢は各階から地上へ一か所だけなので、必要な二方向の避難が確保されていません。『耐火なら200m²以下は常に一つ』と覚えるのではなく、例外に付く階やバルコニー等の条件を確認します。
選択肢3
(3)適当です。ここでいう特定階は、階数3以下で延べ面積200m²未満の建物の、避難階以外の階という法令上の区分です。その診療所で、階段と他の部分を所定の間仕切壁・防火設備で区画する条件を満たす場合、二以上の直通階段の規定を適用しない特例があります。病室110m²は通常の面積条件を超えますが、問題は特定階と区画の条件を示しています。単に病室が小さいからではなく、小規模建物の階段を区画して守る別の例外を使う判断です。
選択肢4
(4)適当です。階避難安全検証では、まず各居室で火災が起きたときに、その室内の全員が安全に室外へ出られるかを確認し、さらに各火災室を想定して、その階の全員が安全に階から避難できるかを確認します。室を出られても、廊下に煙が広がり階段へ行けなければ安全とはいえません。居室からの避難と階全体からの避難という二段階を調べるのが本肢の内容です。都合のよい一室だけを火災室として選ぶのではなく、所定の各場合を検証します。
周辺知識
避難計画は、経路の数、距離、幅、火や煙への対策を組み合わせます。階段を二つ用意しても、そこへ至る道が長く共通していれば、その共通部分の火災で両方が使えなくなるおそれがあります。そこで、二以上の階段までの経路の重複区間等にも規定があります。階段の数だけを満たして、避難が全て安全になるわけではありません。
用途によって、二階段が必要となる面積の数え方も違います。店舗は売場や全体の規模、病院・診療所は病室、共同住宅は住戸の居室等を確認します。耐火・準耐火等による面積の読替えや、特定階という小規模建物の例外もあります。問題の110m²や200m²を、用途に関係なく同じ表の数字へ当てはめないようにします。
本問の特定階は、普段の言葉で『ある特定の階』というだけではなく、階数と延べ面積で定義された区分です。またナイトクラブの例外は、面積、階、バルコニー等を一組で使います。法令で定義された用語を解きほぐし、各階の条件を書き並べれば、原則の数が必要な階と、例外を使える階を区別できます。階避難安全検証でも、室から出る段階と階から出る段階を連続して考えます。