学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問5
問題・正答・学習用解説
問題
第一種住居地域において、図のような断面を有する住宅の1階の居室に設ける開口部(A)の採光に有効な部分の面積として、建築基準法上、正しいものは、次のうちどれか。ただし、開口部(A)の幅は2.0mとし、図に記載されていないことについては考慮しないものとする。
選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2の4.4m²です。開口部Aの実際の面積は、次のように計算します。
これに、周囲の形によって決まる採光補正係数を掛けて、有効な採光面積を求めます。本問では上部と下部の突出部から求める係数を比べ、小さい1.1を使います。
地盤から窓の中心までの高さは、次のように計算します。
最上部の高さ7.7mとの差は6.0mで、その最上部から隣地境界までの水平距離は2.5mです。採光関係比率はとなり、第一種住居地域の計算式でを得ます。地盤から下側の突出部までの高さは、次のように計算します。
窓中心との差3.0m、隣地境界まで1.5mです。こちらの係数は次のとおりです。
採光を妨げる条件を反映するため、二つの係数の小さい方1.1を採り、次のように計算します。
窓に近い下側の突出部だけを調べると6.4m²を選んでしまいます。上部の屋根が光を遮る影響も含め、最も不利となる関係を調べる点が重要です。係数の上限3は常に使える値ではなく、実際の計算結果をその上限以内で扱うための限度です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)4.0m²ではありません。幅2.0m、高さ2.0mの窓の実面積だけなら4.0m²ですが、問題は採光に有効な部分の面積を尋ねています。周囲の形を表す採光補正係数1.1を掛けるため、4.4m²となります。窓が同じ大きさでも、隣地境界や上の屋根との位置関係で室内に届く光の条件が変わるため、法令は補正して評価します。実面積と有効面積を区別し、図にある高さや水平距離を使う計算が必要です。
選択肢2
(2)4.4m²が正しい値です。最上部から求めた係数は次のとおりです。
下側の突出部から求めた1.6より小さくなります。そこで窓面積4.0m²に1.1を掛けます。高さ6.0mは地盤からの屋根の高さそのものではなく、屋根最上部7.7mと窓中心1.7mとの差です。水平距離も、窓からの距離ではなく、調べる突出部と隣地境界との関係を使います。図の二つの条件を計算したうえで、厳しい方を採用します。
選択肢3
(3)6.4m²ではありません。下側突出部だけを見ると、水平距離1.5m、高さの差3.0mから係数1.6となり、です。しかし上部の屋根を調べると係数1.1となるため、そちらを採用します。窓に近い部分だけが常に最も採光に不利とは限りません。高い位置の突出部は窓中心との高さの差が大きくなり、離隔が少し大きくても採光関係比率が小さくなることがあります。計算対象を一つに決めつけず比較する必要があります。
選択肢4
(4)12.0m²ではありません。実面積4.0m²へ係数の上限3を掛けると12.0m²ですが、本問の計算係数は1.1です。上限は、計算結果が大きくなり過ぎるときに制限する数値であり、どの窓でも自由に使える係数ではありません。例えば計算値1.1は上限3より小さいので、そのまま1.1を用います。実際の位置関係から係数を求める段階を飛ばして上限を選ばないことが重要です。地域に応じた式と図の寸法を、順に当てはめます。
周辺知識
採光の計算では、窓の大きさと、その前や上がどれだけ開けているかを分けます。窓面積が大きくても、近くに高い壁や深い突出部があれば、空からの光を取り込みにくくなります。採光関係比率は、その位置関係を水平距離と高さの差の比で表し、採光補正係数へ変換するための数値です。
高さの差の基準は窓の中心です。本問では窓下端が地盤から0.7m、窓高が2.0mなので、中心は1.7mです。屋根最上部までの差6.0mと、下側突出部までの差3.0mを、この同じ中心から求めます。高さ7.7mや4.7mをそのまま分母にすると、窓が地面にあるかのような計算になってしまいます。
複数の突出部がある場合は、それぞれの採光条件を比較します。上部は境界から2.5mと離れていますが、高さの差が6mあるため、下部の1.5m・3mより採光関係比率が小さくなります。その結果、上部から求める係数1.1が厳しい条件です。式の数字だけを覚えるより、光を妨げる位置関係を図で把握してから計算すると、どの寸法を使い、なぜ小さい係数を採るのかを理解しやすくなります。