学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和5年度 学科Ⅲ(法規) 問2
問題・正答・学習用解説
問題
面積、高さ又は階数に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。倉庫、機械室とそれらへ通じる階段室だけからなる地階で、その水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以下であるものは、建物の階数に算入しません。本肢はちょうど8分の1なので『以下』に入り、算入するという記述が誤りです。
水平投影面積は、その部分を真上から見て水平面へ写した面積です。建物の一部にだけ小さな機械室等が地下へ張り出している場合、その小部分だけを理由に建物全体の階数を一つ増やさない扱いを設けています。ただし、用途が倉庫や機械室等であることと、面積の割合が小さいことの両方が条件です。地下に居室等があれば、同じ小面積だけを理由にこの除外を使うことはできません。
例えば建築面積400m²なら、その8分の1は50m²です。対象用途だけの地階の水平投影面積が50m²であれば、この階数の除外の範囲です。ただし、階数に算入しないことと、床面積や容積率の計算から全て除くことは違います。本問の他の肢には容積率の不算入、高さの算定、道路後退の算定という別々の特例が並びます。同じ『算入しない』という言葉でも、何の数値を求めるための特例かをそろえて判断する必要があります。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。専ら防災のための備蓄倉庫は、容積率算定用の延べ面積から、建物の各階の床面積合計の50分の1を限度に除けます。本肢ではで、倉庫も20m²なので全てが上限内です。防災用の物資を置くスペースを確保しやすくするための扱いです。どの倉庫でも除けるのではなく、防災専用という用途条件があります。また、通常の延べ面積そのものから消えるのではなく、本肢が指定する容積率の算定で使う特例です。
選択肢2
(2)適当です。高度地区の都市計画で北側道路・隣地との関係による高さ制限を定める場合、屋上の階段室等を、水平投影面積8分の1以下という理由だけで高さから除きません。本肢の屋上階段室も高さに算入します。北側の環境に対しては、小さな屋上部分でも高さによる影響があるため、通常の高さの算定特例とは扱いが異なります。同じ屋上階段室でも、どの高さ制限を判定するかを先に確定し、その規定の算定方法を使います。
選択肢3
(3)適当です。道路斜線の後退距離を求める際、一定のポーチ等をないものとして扱う特例では、道路に面する長さを、敷地の接道長さの5分の1以下とする条件があります。例えば接道長さ20mなら、その長さは4m以下です。ポーチは入口の前の屋根付き部分等で、道路際に少し出た部分を条件付きで扱う特例です。幅の条件だけで全ての条件を満たすわけではありませんが、本肢が示す長さの条件は正しく、道路全面を覆うような突出部を自由に無視できません。
選択肢4
(4)誤りです。対象の用途だけからなる地階の水平投影面積が建築面積の8分の1以下なら、階数に算入しません。8分の1ちょうどは除外の範囲に入ります。地下にあるから必ず一階分として数えるとも、小さければ用途を問わず数えないともいえません。倉庫・機械室とそれらへの階段室という用途の条件を確認します。階数不算入は、床面積や避難上の規定等を一括してなくす扱いではないので、別の数値の算定へこの特例をそのまま使わないようにします。
周辺知識
建築物の面積や高さには、実際の形を測る数値と、特定の規制を適用するために特例を加えた数値があります。容積率の計算では防災備蓄倉庫等を一定範囲で除く一方、階数では小さな屋上部分や所定用途の地階を除く場合があります。特例の目的と条件が違うため、一つの部分がある計算で除外されたことから、他の計算でも除けると推測してはいけません。
分数の基準は、分母となる面積を確認します。防災備蓄倉庫の50分の1は各階の床面積合計を基準にし、小さな地階の8分の1は建築面積を基準にします。どちらも面積の割合ですが、同じ面積から計算するわけではありません。階を重ねた建物では、建築面積と延べ面積の差が大きくなるため、取り違えると除外できる範囲も大きく変わります。
『以下』は境目を含み、『超える』は境目を含みません。1,000m²の50分の1は20m²で、20m²全部が限度内です。8分の1ちょうども8分の1以下です。数値の計算が合っていても、用途、算定目的、境目の扱いが違えば結論を誤ります。どの規定の何を求める式かを言葉で添えることが、正しい計算の確認になります。