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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅳ(構造) 問10

問題・正答・学習用解説

問題

木造軸組工法による地上2階建ての建築物において、「木造の建築物の軸組の構造方法及び設置の基準を定める件(昭和56年建設省告示第1100号)」第4(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    建築物の平面を分割する14\displaystyle \frac{1}{4}の線上に耐力壁の中心線があったので、当該壁を側端部分の存在壁量に算入した。
  2. (2)
    壁量充足率の算定において、側端部分は、建築物の張り間方向にあっては桁行方向の、桁行方向にあっては張り間方向の両端から14\displaystyle \frac{1}{4}の部分とした。
  3. (3)
    各階の張り間方向及び桁行方向のそれぞれについて、「壁量充足率の小さいほう」を「壁量充足率の大きいほう」で除して壁率比を求めた。
  4. (4)
    検討する方向の各側端部分の壁量充足率がそれぞれ0.4及び1.2であったので、当該階のその方向については、偏心率の確認を行わず、壁率比の規定を満足すると判断した。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

四分割法は、木造建物の両端にある耐力壁の釣合いを、平面を四つに分けて確認する方法です。壁量充足率は、その側端部分に実際にある壁量を、必要な壁量で割った値です。1.0なら必要量と同じ、0.4なら必要量の40%、1.2なら120%あるという意味です。
本問では両端が0.4と1.2なので、小さいほうを大きいほうで割った壁率比は、次のとおりです。
0.41.2=13≃0.333\frac{0.4}{1.2}=\frac{1}{3}\simeq0.333
要求される0.5以上を満たしません。さらに、両側の充足率がともに1以上ならよいという扱いについても、一方が0.4なので該当しません。したがって、この数値だけで釣合いの規定を満足するとした選択肢4が不適当です。
片側の1.2という余りが、反対側の0.4という不足を自動的に埋めるわけではありません。地震で床が横へ動こうとすると、強い側は動きにくく、弱い側は大きく変形し、平面が回るような揺れにつながります。壁の追加や配置の見直し、あるいは所定の偏心率による確認などが必要です。全体の必要壁量を満たす確認と、両側の釣合いの確認は別に行います。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)四分割する線の上に耐力壁の中心線がある場合、その壁は側端部分の存在壁量へ算入します。存在壁量は、所定の壁倍率を掛けた耐力壁の長さを集計する量です。「線に触れているから半分だけ」「壁の厚さまで全て側端部分に収まる場合だけ」といった独自の扱いにはしません。境界上の壁をどう数えるかも方法の一部であり、両端を同じルールで評価することで、壁率比の比較を一定の基準で行えます。

選択肢2

(2)検討する壁の方向に直角な方向へ平面を四等分し、その両端の四分の一を側端部分とします。例えば東西方向の揺れへ抵抗する壁を調べるなら、北側と南側でその壁の量が釣り合うかを見ます。東西方向へ壁があるかだけでなく、平面のどちら側で抵抗するかがねじれに関係するためです。「張り間方向を検討するときは桁行方向の両端」という文章を、力の向きと、それに直角な配置の比較に置き換えると読みやすくなります。

選択肢3

(3)壁率比は、小さい壁量充足率大きい壁量充足率です。必ず1以下となり、1に近いほど両側の釣合いがよいと読み取れます。例えば0.8と1.0なら0.8、0.4と1.2なら約0.333です。逆に大きいほうを小さいほうで割ると、釣合いが悪いほど数が大きくなり、0.5以上という判定に合わなくなります。各階・各方向をそれぞれ別に計算し、ある方向が良好だから他方向の確認を省くことはできません。

選択肢4

(4)0.4と1.2の平均を取れば0.8ですが、四分割法は平均値で判定しません。必要なのは小さい値と大きい値の比で、0.41.2≃0.333<0.5\displaystyle \frac{0.4}{1.2}\simeq0.333<0.5です。両端がともに1以上という別の条件にも該当せず、このまま適合とはできません。偏心率の確認もしていないと明記されているので、その計算で安全性を確かめたと読み替える余地はありません。0.4の側の耐力壁の量や配置などを再検討する必要があります。

周辺知識

重心は建物の重さが集まって働くと考える点、剛心は水平力に対する抵抗が集まって働くと考える点です。二つの位置が離れていると、地震の水平力と壁の抵抗が同じ線上に並ばず、建物を回す作用が生じます。片側に本を詰めた棚を押すと回りやすいように、平面内で力が偏ることがねじれにつながります。
四分割法は、この偏りを簡便に確認するための方法です。両側の壁量をそのまま比べず、それぞれの必要壁量で割った充足率を比べるのは、側端部分が負担する面積や条件の違いをそろえるためです。同じ壁長さでも必要量が違えば、余裕の程度は同じではありません。
壁率比がよくても、建物全体の必要壁量が不足してよいわけではありません。左右0.3と0.3なら比だけは1ですが、強さの総量の確認は別です。反対に、総量が十分でも左右0.4と1.2のような偏りを放置できません。「全体の量」「各階・各方向の配置」「床と壁と基礎をつなぐ接合」の三つを分けて確認すると、数字の基準が何を守るためかを理解できます。