学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅰ(計画) 問12
問題・正答・学習用解説
問題
住まいの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が暮らし続けるための住宅に、状況把握、つまり安否の確認と、生活相談のサービスを備える仕組みです。段差を減らすなどのバリアフリーも基本ですが、「リハビリテーションを受けて家庭へ戻ること」を制度全体の目的にする施設ではありません。
家庭への復帰を目指し、医学的な管理のもとでリハビリテーションや介護を提供する説明は、介護老人保健施設に対応します。リハビリテーションとは、病気などで難しくなった動作や生活を取り戻し、できることを増やすための支援です。サ高住にも医療や介護の事業所が併設されたり、入居者が必要なサービスを利用したりする例はあります。しかし「そこで利用できるサービス」と「その住宅制度を定義する必須の機能」は別です。
例えば、一人暮らしの不安を減らすため、見守りのある住宅へ住み替える場合がサ高住のイメージです。退院後に在宅生活へ戻る準備をする施設の説明に入れ替えてしまった点が、本肢の誤りです。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。問題が指定する令和3年の全国計画では、単身者の最低居住面積水準は原則25㎡です。住戸専用面積は、寝室だけの広さではなく、台所や浴室などを含む住戸全体の面積を指します。最低水準は健康で文化的な暮らしの基礎を確保する考え方であり、ゆとりある暮らしの目標である誘導居住面積水準とは異なります。学生等の比較的短期の居住や共用設備がある場合などの扱いがあるため、本肢の「原則として」も大切です。
選択肢2
(2)適当です。この事業は、共同住宅の住戸内などで起こり得る子どもの事故を減らす設備と、子育て世帯が交流しやすい環境の整備を支援します。転落防止の手すりや、子どもが窓を簡単に開けにくくする補助錠は、安全面の具体例です。交流の場は、保護者が孤立せず情報交換する機会にもつながります。ただし設備を一つ付ければ無条件で支給されるのではなく、対象事業や整備水準など所定の条件を満たす必要があります。
選択肢3
(3)適当です。シルバーハウジング・プロジェクトは、住宅の構造面での配慮と、生活援助員による相談、安否確認等の支援を組み合わせます。ライフサポートアドバイザーは、暮らしの困り事を受け止める役割であり、建物の段差をなくすだけでは解決しない不安にも対応します。基本は高齢者世帯のための事業ですが、要綱上、事業主体の長が特に必要と認める障害者世帯も対象にできます。本肢はその条件付きの対象拡大を述べています。
選択肢4
(4)不適当です。サ高住の基本サービスは、状況把握と生活相談です。身体機能を回復させて元の家庭へ戻るという説明は、介護老人保健施設の役割と取り違えています。サ高住でも外部の訪問介護や医療等を利用することはあり得ますが、全入居者にリハビリを提供して退去・在宅復帰を目指す施設という意味ではありません。「住まいとしての安定」と「在宅復帰を支える介護施設」という目的の差を見分けることが判断の鍵です。
周辺知識
高齢者の住まいは、名称に「高齢者」「サービス」が付くかだけでは区別できません。まず、日々生活する住宅なのか、医療・介護を提供する施設なのかを確認し、次に誰がどのような支援を提供するかを見ます。階段をなくすなどの建物の配慮、安否確認や相談、食事や介護、医療やリハビリは、それぞれ異なる機能です。
例えば、歩行には困らないが一人暮らしに不安がある人と、退院後に日常動作の回復が必要な人では、必要な環境が違います。見守りのある住宅が合う場合も、医療・介護職による支援が必要な場合もあります。建築計画では、この違いが住戸の独立性、職員の拠点、浴室や共用室、移動距離の計画に表れます。
住宅の面積についても、専用部分と共用部分を区別します。共用食堂が広いからといって、すべての制度で個室の必要面積を自由に減らせるわけではありません。数値は制度・計画の年度や例外と組み合わせて読む必要があります。本問は指定された計画時点の知識を確認する問題です。