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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅰ(計画) 問7

問題・正答・学習用解説

問題

事務所ビルの平面計画・配置計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    斜線制限の規定を適用せずに天空率を用いることで、基準階の合理化、床面積と地上部分の空地の確保を実現した。
  2. (2)
    基準階の平面形状は、南北面にコアを配置することで南北面の窓を減らし、東西面に開口部を設けることで、夏期の熱負荷の影響を軽減させた。
  3. (3)
    一つの階を分割して貸し出すことを想定した場合、両端コアタイプを採用するとレンタブル比が低下するおそれがあったので、共用廊下、エレベーター、避難階段、トイレ等の共用部分を集約したセンターコアタイプとした。
  4. (4)
    公道から敷地内や建築物内、事務室等への動線は、セキュリティレベルの低いほうから高いほうへと連続させた。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。夏の熱負荷を抑える目的なら、一般に東西面の大きな開口を抑え、コアなどで日射の影響を受けにくくする考え方が有効です。記述では南北面をコアでふさぎ、東西面に開口を設けているため、日射対策の方向が適切ではありません。
コアは階段、エレベーター、トイレ、設備シャフトなどをまとめた部分です。これを日射の厳しい側に配置すると、執務室の窓をその側に大きく取らずに済みます。東面は朝、西面は午後から夕方に、低い高度の太陽が窓へ正面に近い角度で当たりやすくなります。特に西日は外気温が高い時間帯と重なり、冷房負荷やまぶしさを増やします。
南面も日射を受けますが、夏の昼は太陽高度が高く、水平な庇で遮りやすいという違いがあります。したがって単に「南は暑いからふさぐ」と考えるのでなく、方位ごとの太陽の高さと遮蔽のしやすさを見ます。実際の配置では敷地、眺望、周囲の建物なども関係しますが、本問の夏期熱負荷の説明としては東西面を開く理由が逆です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。天空率の制度は、所定の位置から見える空の割合を用いて、通常の斜線制限に適合した建物と同程度以上の採光・通風などが確保されるかを確認する仕組みです。条件を満たせば斜線制限の適用除外を受け、上部を斜めに切り取る形だけに限定されず計画できます。その結果、合理的な基準階や空地を確保できる場合があります。天空率を計算すれば容積率などすべての制限が自由になるわけではありません。

選択肢2

(2)不適当です。東西面では低い角度の日射が入るため、水平な庇だけでは遮りにくくなります。南北面の窓を減らして東西面に大きな開口を設けることは、夏の熱負荷の軽減につながる一般的な配置ではありません。コアを東西側に置く、東西の開口を抑える、外部の日射遮蔽を適切に設けるなどの対策を考えます。方位は名称だけで暗記せず、朝・昼・夕の太陽がどの高さから当たるかを図にすると理解できます。

選択肢3

(3)適当です。センターコアは共用の階段やエレベーター、トイレなどを中央へまとめ、その周囲へ貸室を配置する方式です。一つの階を複数のテナントに貸す場合、各貸室へ短い共用動線を設けやすく、共用部分を効率化できます。レンタブル比は貸せる面積の割合なので、長い共用廊下が増えると低下します。ただし中央コアが常に最良とは限らず、建物の形、貸室分割の大きさ、採光や避難の条件に応じて比較します。

選択肢4

(4)適当です。道路のような誰でも使える場所から、建物の入口、受付、入退室管理区域、事務室へと段階的に進む動線にします。セキュリティレベルは入れる人をどの程度限定するかの強さです。重要な執務区域へ外部から直接入り込める経路があると、受付で確認しても管理が成立しません。来客、職員、搬入業者などの経路も整理し、避難時には安全に出られる機能と両立させる必要があります。

周辺知識

事務所の平面計画では、貸室の広さだけでなく、自然光、熱負荷、移動、設備、避難、管理を同時に考えます。コアはこれらの多くをまとめる部分なので、その位置が執務空間の使い方を大きく左右します。中央に置けば周囲に貸室を分けやすく、片側に寄せれば連続した広い執務室を取りやすいなど、それぞれ特徴があります。
レンタブル比を単純化して、基準階1,000 m2\displaystyle \mathrm{m^2}のうち貸室が800 m2\displaystyle \mathrm{m^2}なら80%です。共用廊下などが50 m2\displaystyle \mathrm{m^2}増え、貸室が750 m2\displaystyle \mathrm{m^2}になれば75%へ下がります。ただし実際の算定では契約や基準の面積範囲を確認します。比率を高めるために避難階段や必要な廊下を不足させることはできません。
省エネルギーも設備だけの問題ではありません。方位に応じた開口やコアの配置で日射負荷を減らせば、空調機が処理する熱を初めから小さくできます。建築の平面や断面で負荷を抑え、そのうえで効率のよい設備を選ぶという順序が、合理的な事務所計画につながります。