資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問24

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、建築物は、いずれも無窓階を有しないものとし、指定可燃物の貯蔵又は取扱いは行わないものとする。

選択肢

  1. (1)
    地上3階建ての患者を入院させるための施設を有しない診療所(避難階は地上1階)で、各階の収容人員が20人以上のものについては、原則として、2階以上の階に避難器具を設置しなければならない。
  2. (2)
    延べ面積(地階に係るものを除く。)25,000m²、高さ40mの耐火建築物のホテルについては、原則として、消防用水を設置しなければならない。
  3. (3)
    延べ面積3,000m²、地上7階建ての共同住宅については、原則として、連結送水管を設置しなければならない。
  4. (4)
    地上1階に設ける自動車車庫で、床面積が1,000m²のものについては、原則として、排煙設備を設置しなければならない。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。消防法の排煙設備は、火災で生じる煙を排除して消火活動などをしやすくする設備です。自動車車庫について床面積1,000m²以上で設置を求める本問の規定は、『地階または無窓階』にあるものが対象です。
選択肢4の車庫は地上1階で、問題文に無窓階を有しないと明示されています。したがって、地階でも無窓階でもありません。床面積が1,000m²ちょうどで面積の条件を満たしていても、階の位置・開口の条件を満たさないため、この規定による排煙設備の義務は生じません。面積だけを見て設置が必要とした点が誤りです。
無窓階は、日常語で窓が一枚もない階というだけではなく、消防法上、避難や消防活動に有効な所定の開口部が不足する階を指します。地階や有効な開口が少ない階は、煙が抜けにくく活動が難しくなるため、設備を求める条件が厳しくなります。なお、本問は消防法の判断なので、建築基準法に別途ある排煙設備の対象を混ぜずに検討します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。本問の入院施設のない診療所では、避難階を除く2階以上の階等で、収容人員20人以上という条件により避難器具が原則必要です。3階建てで各階20人以上なので2階と3階が該当します。収容人員は日々たまたま来ている人数でなく、法令の方法で用途等から算定する人数です。入院施設がないから避難器具も不要とするのでなく、用途区分、階、人数を組み合わせます。

選択肢2

(2)正しい記述です。高さ31mを超え、地階を除く延べ面積25,000m²以上の建物は消防用水の設置対象です。本問の40m・25,000m²のホテルは両方を満たします。消防用水は消防隊が消火に使用する水源で、大きく高い建物の消火活動を支えます。この区分は耐火建築物でも適用されます。耐火構造は火災で建物が崩れにくくする性能で、客室内の物などが燃えないことを保証するものではありません。

選択肢3

(3)正しい記述です。地階を除く階数7以上の建築物は、連結送水管の設置対象です。本問は地上7階なので、延べ3,000m²でも必要です。連結送水管は、消防車から建物の配管へ水を送り、上階の放水口で消防隊がホースを接続して使う設備です。5階以上かつ6,000m²以上という別の対象条件もありますが、本問は7階以上の条件だけで該当するため、6,000m²未満を理由に除外できません。

選択肢4

(4)誤りです。車庫の床面積1,000m²以上という基準は、地階または無窓階の車庫に関するものです。本問は無窓階でない地上1階なので、この階の条件に該当しません。1,000m²という面積だけは合っていても、必要条件の一部が欠けています。『地階又は無窓階で、1,000m²以上』というひとまとまりで読むことが大切です。建築基準法の排煙の規定とは別の根拠なので、同法の面積基準を代わりに使いません。

周辺知識

消防設備は、利用者が初期に消火する設備、火災を知らせる設備、避難を助ける設備、消防隊の活動を支える設備などに分けて考えると理解しやすくなります。本問の避難器具は避難を助け、消防用水や連結送水管は主に消防隊の活動を支えます。高い階へ大量のホースを階段で運ぶ負担を、建物内の送水管によって減らすことができます。
設備の対象は、用途だけでなく階数、面積、高さ、人数、無窓階かどうかで決まります。例えば連結送水管の7階以上という条件と、5階以上かつ6,000m²以上という条件は別の対象ルートです。前者に該当すれば、後者の面積に達していなくても対象です。『かつ』で組み合わせる条件と、『または』で並ぶ条件を整理します。
また、同じ名前の排煙設備でも、建築基準法と消防法では目的や対象の定め方が異なります。消防法の無窓階の判断を、建築基準法の採光上の無窓居室と同じものにしないことも重要です。最初に問われている法律を確かめ、その法律の定義と設備ごとの表を使うことが、数値の混同を防ぐ基本です。