資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問23

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、都市計画法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は、その土地の規模にかかわらず「開発行為」である。
  2. (2)
    市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、仮設建築物を新築する場合は、都道府県知事の許可を受ける必要がある。
  3. (3)
    開発許可の申請書には、開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得たことを証する書面、開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者等との協議の経過を示す書面その他国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。
  4. (4)
    開発許可の基準においては、排水路その他の排水施設が、当該地域における降水量などの事項を勘案して、開発区域内の下水を有効に排出するとともに、その排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていることとされている。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。市街化調整区域は、無秩序に市街地が広がることを抑えるための区域です。土地を造成していない場合でも、開発許可を受けた区域以外で建物を新築するなどの行為には、原則として都道府県知事等の許可が必要になります。これは土地を変える開発行為の許可とは別に、建築そのものを調整する規定です。
ただし、この建築許可には列挙された例外があり、仮設建築物の新築も対象から除かれています。選択肢2は、仮設建築物という条件を示しているのに、必ず許可が必要とした点が誤りです。市街化を抑える区域だからあらゆる建築行為が同じ手続になる、とはいえません。
ここで不要になるのは、都市計画法のこの建築許可です。仮設建築物であれば建築基準法や消防などの安全規定もすべてなくなるという意味ではありません。選択肢1の小規模な開発行為も同様で、『用語の定義に入るか』『その行為に許可が必要か』『ほかの法令の規定があるか』を別々に考えると、例外を正確に適用できます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。建築目的で土地の区画形質を変更することは、面積の大小にかかわらず開発行為に当たります。区画形質の変更は、敷地の区切り方、地面の形、土地の利用上の性質などを変えることです。小規模だから許可が不要となる場合でも、開発行為という定義から外れるとは限りません。例えば小さな宅地造成でも、建築目的で地形を変えるなら定義と許可要否を二段階で調べます。

選択肢2

(2)誤りです。開発許可区域以外の市街化調整区域で行う建築に関する許可では、仮設建築物の新築は例外として除かれます。本問は仮設と明示されているので、この許可を必ず受ける必要があるとはいえません。市街化調整区域は一般に建築を抑える場所ですが、法は一時的な建物などを別に扱っています。永久的な建物を仮設と呼びさえすればよいという意味でもなく、実際の条件で判断します。

選択肢3

(3)正しい記述です。開発で既存の道路や排水路へ影響を与える場合、その管理者との調整が必要です。既存の関係公共施設の管理者から得た同意を示す書面や、新設する公共施設を今後管理する人等との協議経過を、開発許可申請へ添付します。施設を造って終わりにせず、接続の支障や完成後の維持管理も確認するためです。同意を得る相手と、新設施設について協議する相手を分けて理解します。

選択肢4

(4)正しい記述です。排水施設は、地域の雨量などを考慮して区域内の下水を有効に排出し、区域内と周辺の双方にあふれ水等の被害を生じさせない構造・能力・配置にします。自分の土地から速く水を流し出せば、それだけで適合するわけではありません。例えば放流先の水路の能力を超える水を一度に送れば下流が浸水するため、区域外への影響まで含めて排水計画を考えます。

周辺知識

都市計画法の開発許可は、建物一棟の構造安全を調べる建築確認とは目的が違います。道路、排水、公園、防災など、土地を建築に使うための基盤と街全体への影響を調べます。確認済証があるから開発許可が不要、開発許可があるから建物の安全確認も済んだ、という関係ではありません。
市街化区域は計画的に市街化を図る区域、市街化調整区域は市街化を抑える区域です。同じ土地の変更や建築でも、区域によって許可の要否や基準が異なります。市街化調整区域では、造成を伴わない建築にも別の許可規定があるため、『土を動かさなければ都市計画法は関係ない』とはいえません。
開発許可の技術的な基準には、敷地内で安全に暮らせることに加え、周囲へ被害を移さないことが含まれます。舗装や屋根が増えると地中にしみ込まず水路へ流れる雨水が増えるため、下流の能力を踏まえた計画が必要になります。用語や手続を覚えるときも、土地の変更が周辺の人の生活へどう影響するかを考えると、同意や排水能力の規定の意味がつながります。