学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問21
問題・正答・学習用解説
問題
建築士又は建築士事務所に関する次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。構造計算によって建物の安全性を確かめた建築士は、原則として、その旨の証明書を設計の委託者に交付します。設計を頼んだ人が、構造安全の確認が行われたことを明確に受け取るための手続です。
ただし、一定の大規模な建物などについて、構造設計一級建築士が自ら構造設計を行い、図書に構造設計一級建築士である旨を表示した場合には、この証明書の交付を要しない例外があります。構造設計一級建築士は、一級建築士のうち、所定の経験や講習を経て構造設計について特別の資格を得た人です。
選択肢2は、一級建築士でなければ設計できない対象建物を、構造設計一級建築士本人が構造設計し、所定の表示まで行った条件なので、この例外に当たります。それでも証明書が必須とした点が誤りです。安全性の確認そのものを省略するのでなく、専門資格者による設計と図書への表示があるときの書類交付の扱いです。資格の有無だけでなく、誰が実際に設計し、何を表示したかまで確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)正しい記述です。本問の初回定期講習は、試験合格年度の翌年度の開始日から3年以内という期限で判定します。令和7年度合格なので起算は令和8年4月1日、そこから令和8・9・10年度の3年間で、期限は令和11年3月31日です。令和8年度に事務所へ所属した本問はこの期限になります。所属した日から単純に3年後の日付を出すのでなく、合格年度と所属時期を制度の条件に当てはめます。
選択肢2
(2)誤りです。構造設計一級建築士が対象建物の構造設計を自ら行い、その資格である旨を構造設計図書へ表示した本問では、所定の安全確認の証明書の交付を要しません。計算をしなくてもよい制度ではなく、交付する書類についての例外です。『構造設計一級建築士が在籍している事務所』というだけでは本問の条件と同じにならず、本人の設計と図書への表示の二点が重要です。
選択肢3
(3)正しい記述です。管理建築士は、その事務所の技術上の業務を管理するため、専任である必要があります。設計等の仕事量と所属者の能力を踏まえ、適切に業務を行えるようにする立場です。一人だけの小さな事務所でも、管理責任をほかの事務所と安易に兼ねてよいという扱いにはなりません。事務所の人数や売上が少ないことと、責任を持って継続的に管理する必要性は分けて考えます。
選択肢4
(4)正しい記述です。300m²を超える建物の新築に関する設計等の契約では、業務内容や報酬などを記載した書面を相互に交付します。500m²の本問は対象で、他事務所から業務の一部だけを受託する契約にも適用されます。元の建築主との契約だけを明確にしても、再委託先の担当範囲が曖昧では責任や報酬の争いが生じるためです。誰がどの図書を作り、いついくら支払うかを書面で共有します。
周辺知識
建築士法は、個人の資格だけでなく、仕事を依頼されたときの説明、契約、図書への表示、事務所の管理なども定めます。建物の安全は設計者の知識だけでは確保できず、誰が何を担当したか、必要な確認が行われたかを追えることも重要だからです。
一級建築士、構造設計一級建築士、管理建築士は同じ意味ではありません。一級建築士は設計等を行う資格、構造設計一級建築士は一定の構造設計に関する専門資格、管理建築士は事務所を技術面で管理する役割です。一人が複数の立場を持つこともありますが、それぞれの規定で求める行為を確認します。
定期講習は、資格取得後も法改正や新しい知識に対応するための制度です。合格した時点の知識だけでは、その後に変わる確認制度や安全基準へ対応できないため、所定の期限で学び直します。一方、契約書面は業務ごとの責任を明確にします。本問のように年や面積が出てきたら、何の義務の対象・期限を決める数値かを切り分けると、書類や資格の規定を混同しにくくなります。