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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    建築基準法第22条第1項の市街地の区域の内外にわたる共同住宅の屋根の構造は、その全部について、同項の規定の適用を受け、通常の火災を想定した火の粉による火災の発生を防止するために屋根に必要とされる所定の性能を有するものとしなければならない。
  2. (2)
    都市計画区域内においては、火葬場は、都市計画においてその敷地の位置が決定していない場合であっても、特定行政庁が都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合においては、新築することができる。
  3. (3)
    地区計画等の区域内における建築物の敷地が特定行政庁の指定した予定道路に接する場合、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該予定道路を前面道路とみなして建築物の容積率の規定が適用される。
  4. (4)
    建築協定書の作成に当たって、建築協定区域内の土地で借地権の目的となっている土地については、その土地の所有者及び借地権を有する者の合意がなければならない。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は4です。建築協定は、地域の土地所有者や借地権者などが合意して、建物の用途、高さ、形態などに地域独自のルールを設ける制度です。例えば良好な住宅地の環境を守るため、法律の一般的な基準に加えて建て方をそろえることができます。
協定書には、原則として土地の所有者等の全員の合意が必要です。ただし、借地権の目的となっている土地では、その土地所有者を除く土地の所有者等の全員の合意で足りるとされています。借地権は、建物を所有する目的で他人の土地を使う権利です。その土地で実際に建物を所有し利用する立場の借地権者が、協定に参加します。
したがって、選択肢4のように借地権のある土地で、所有者と借地権者の両方の合意が常に必要とするのは誤りです。『全員の合意』という原則だけを読み、借地権のある場合のただし書を落としています。合意後は協定書を行政へ提出して認可を受ける手続も必要で、地域の有志が口頭で賛成しただけで法の建築協定になるわけではありません。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。法第22条の区域は、屋根について火の粉による着火を防ぐ所定の性能を求める市街地の区域です。建物がその区域の内外にまたがる場合、屋根は全体に同条の規定を適用します。屋根の一部だけが火の粉で燃えれば建物全体へ火が広がり得るためです。共同住宅の屋根を行政上の境界線で切り分け、区域外の半分は性能不要としてよいわけではありません。

選択肢2

(2)正しい記述です。都市計画区域内の火葬場は、原則として都市計画で敷地の位置を決める必要がありますが、所定の許可による別の方法もあります。特定行政庁が都市計画審議会の議を経て、都市計画上支障がないと認めて許可した場合です。周辺土地利用や街全体との調整を確認する仕組みなので、所有者が自分の土地であれば自由に選べるわけではありません。都市計画の位置決定だけが唯一の方法でもありません。

選択肢3

(3)正しい記述です。地区計画等に基づいて指定する予定道路に接し、交通・安全・防火・衛生の面で支障がないとして所定の許可を受けた建物は、その予定道路を前面道路とみなして容積率を適用できます。将来の道路整備と建築計画を調整するための特例です。予定道路が図に描かれているだけで当然に幅員を容積率計算へ使えるわけではなく、本問の行政による許可が条件となります。

選択肢4

(4)誤りです。借地権の目的になっている土地については、その土地の所有者を除いた土地の所有者等の全員の合意で足ります。したがって所有者と借地権者の両方の合意が必須という記述は正確ではありません。例えば土地を借りて建物を所有している人がいる場合、建築協定の合意では借地権者を確認します。通常の土地所有者全員の原則を、そのまま借地権の設定された土地へ重ねないことが要点です。

周辺知識

建築に関する地域のルールには、行政が都市計画等で決めるものと、土地の権利者が合意して行政の認可を受ける建築協定があります。用途地域や防火に関する区域は、法令に基づいて建物に適用されます。一方、建築協定は地域の環境をさらに整えるための合意を出発点とします。誰が定め、誰の合意が必要かが異なります。
借地権者は、単に建物の部屋を借りて住む入居者とは違います。ここでの借地権は建物所有を目的とする土地の使用権なので、土地を借りてその上に自分の建物を所有する関係を思い浮かべます。建築協定の『土地の所有者等』を、住民全員や建物の利用者全員と言い換えてはいけません。
本問のほかの選択肢は、区域をまたぐ屋根の規制、施設の位置に関する許可、予定道路の特例です。共通する読み方は、原則のあとにある条件付きの扱いまで確認することです。『区域内の部分だけ』『都市計画がなければ絶対不可』『予定だから使えない』『所有者全員だから例外なし』と、原則だけで結論を固定すると誤りやすくなります。