学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問16
問題・正答・学習用解説
問題
図のような敷地において、準耐火建築物を新築する場合、建築基準法上、建築することができる建築面積の最大のものは、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等は考慮しないものとする。
選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4の294.5m²です。最初に、北側の幅2mの道は法第42条第2項の道路なので、中心線から2mの位置を道路境界線とします。現況の中心から敷地側の端までは1mですから、さらに1m後退します。後退部分は敷地面積に含めず、奥行きは次のとおりです。
西側の第一種中高層住居専用地域は次のとおりです。
東側の第二種住居地域は次のとおりです。
指定建蔽率はそれぞれ50%、60%ですが、角地として行政の指定があるので両方に10ポイントを加算できます。
さらに、敷地が準防火地域と指定のない区域にまたがり、敷地内の建物全部を準耐火建築物とするため、建蔽率の特例では敷地全体を準防火地域内とみなせます。防火性能による10ポイントの加算も両方に使えます。したがって西側70%、東側80%となり、最大建築面積は次のとおりです。
区域ごとに面積と適用率を分け、最後に足し合わせます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)230.0m²は、道路後退前の西100m²・東300m²に指定建蔽率だけを掛けたの値です。北側の1m後退と、角地・防火性能の二種類の緩和が反映されていません。まず敷地面積を西95m²・東285m²へ直し、率を70%・80%として計算します。面積を大きく取りすぎる誤りと率を小さくする誤りが重なっても、たまたま正しい最大値になるわけではありません。
選択肢2
(2)256.5m²は、後退後の各部分に10ポイントずつだけ加算したの値です。本問は角地指定に加え、準防火地域にまたがる敷地全体で準耐火建築物とする条件もあります。このため加算は各部分とも合計20ポイントです。図で準防火地域と書かれている東側だけでなく、建蔽率の特例上、西側も同地域内とみなされる点を確認しないと、許される最大面積を過小に計算します。
選択肢3
(3)270.0m²は、道路後退前の西100m²・東300m²に、10ポイントずつだけ加えた率を掛けたでも生じる値です。この計算では後退による面積減少と、二種類目の加算が抜けます。正しくは北側1mの後退後に西95m²・東285m²を求め、70%・80%を掛けます。図中の角地指定と、準防火地域にまたがる敷地全体の準耐火建築物という条件の両方を使います。
選択肢4
(4)294.5m²が最大値です。西側は次のように計算します。
東側は次のように計算します。
合計294.5m²です。70%と80%は、それぞれの指定建蔽率に角地10ポイントと防火性能10ポイントを足した値です。異なる用途地域にまたがる建蔽率は、多数側の率を敷地全体へ適用するのでなく、各地域の面積に応じて合算します。この方法なら率を平均してから掛ける際の取り違えも防げます。
周辺知識
建蔽率は、敷地に対して建物が地面を覆う面積の割合です。法律上は建築面積を敷地面積で割って表します。延べ面積を使う容積率とは違い、基本的には上から見た建物の広がりを制限して、空地や防火上の余地などを確保します。建蔽率50%の100m²の敷地なら、原則として建築面積50m²までという意味です。
法第42条第2項の道路では、現況の道が狭くても、将来一定の幅を確保するため後退した線を境界と扱います。本問は向かいが宅地なので中心から両側2mです。向かいが崖や川などのケースとは後退方法が変わり得るため、図の『宅地、崖地等ではない』という注記も計算に関係します。
緩和の『10分の1を加える』は、元の率を1.1倍する意味ではありません。50%なら60%へ、さらにもう一つ該当すれば70%へというポイントの加算です。また、区域をまたぐ敷地では、用途制限は過半側、建蔽率や容積率は面積に応じた扱いなど、規定ごとに方法が異なります。本問では各地域の面積を先に確定させることが計算の土台になります。