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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問13

問題・正答・学習用解説

問題

建築物の構造計算に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    鉄筋コンクリート造、高さ31mの建築物の地上部分について、保有水平耐力計算を行う場合、各階の偏心率が、それぞれ\(\frac{15}{100}\)を超えないことを確かめなくてもよい。
  2. (2)
    鉄骨造の建築物において、限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
  3. (3)
    鉄筋コンクリート造、高さ25mの建築物において、保有水平耐力計算を行う場合、外装材について、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。
  4. (4)
    限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。鉄骨の柱脚とは、柱の最下部で基礎につながる部分です。アンカーボルトは基礎のコンクリートなどに定着させたボルトで、柱が浮き上がったり横へずれたりする力を伝えます。通常、滑節構造という動きを許す特別な支持方法を除き、告示の基準による緊結などが必要です。
しかし、本問は『限界耐力計算を行う場合』です。この方法で安全性を確かめる場合に残る仕様は、施行令第36条で耐久性等関係規定に限定され、柱脚の緊結方法を定める第66条はその中に含まれません。したがって、選択肢2のようにこの仕様に必ず従わなければならないとはいえません。
これは柱を基礎に適当に載せてよいという意味ではありません。実際の柱脚が力や変形をどう伝えるかを計算の条件に入れ、安全性を確かめます。決まったつなぎ方を義務付ける仕様と、構造全体の安全確認を区別します。また、保有水平耐力計算の場合には同じ柱脚の規定が残るため、計算方法の名前を読み替えないことも重要です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。偏心率は、重さの中心と水平力に抵抗する中心のずれが、建物をどれほどねじれやすくするかを表す指標です。保有水平耐力計算では、必ず0.15以下に抑えるのでなく、偏心による不利な影響を必要保有水平耐力などへ反映して安全を確かめます。31mのRC造という本問でも同じです。偏心を無視してよいのではなく、形状の不利に応じて必要な強さを増やす扱いと理解します。

選択肢2

(2)誤りです。限界耐力計算を行う場合、この柱脚の緊結に関する仕様規定は適用除外です。アンカーボルトによる所定の緊結という具体的な構造方法に、必ず限定されるわけではありません。ただし柱脚が伝える引張り、圧縮、水平力などは構造の安全を左右します。実際に採用する構造の性能を計算で扱うことが必要です。『仕様が適用されない』と『接合部分の安全確認が要らない』を区別します。

選択肢3

(3)正しい記述です。外装材は、外壁の仕上げや屋外側のパネルなど、建物の外側を覆う材料です。RC造25mの建物の骨組について保有水平耐力を確認しても、強風で外装材がはがれる危険は別に残ります。そのため告示の基準に従う構造計算で、風圧に対する安全性を確認します。建物本体が倒れなくても、外壁材が飛散すれば周囲の人に危害が及ぶため、骨組と外装の検討を分けて行います。

選択肢4

(4)正しい記述です。限界耐力計算でも、建物の重さが常にかかる場合や積雪・暴風時の所定の応力度は、各許容応力度以下であることを確認します。応力度は断面の単位面積が負担する力です。大地震時の変形を詳しく検証する方法であっても、日常の荷重で柱が過大な負担を受けてよいわけではありません。長期の常時・積雪時、短期の積雪時・暴風時という組合せを、それぞれ対応する許容値と比較します。

周辺知識

構造の安全には、日常の使用で支障がないことと、非常に大きな地震などでも人命を守ることの両面があります。小さい力で壁がひび割れたり、床が大きくたわんだりすれば日常生活に支障が出ます。一方、大地震に対しては部材の変形の進み方も考え、倒壊を防ぐ性能を確認します。計算方法によって、これらを確かめる具体的な手順が異なります。
建物のねじれも重要です。片側だけに丈夫な壁が集中している建物を横へ押すと、単に平行移動するだけでなく回転しやすくなります。偏心率はその不均衡を数値で捉えるものです。ある計算方法では偏心率の限度を設け、別の方法では不利な形状を必要耐力へ反映します。数値0.15の規定がどの計算にも共通するわけではありません。
また、構造計算を選ぶときは、計算本体だけでなく『残る仕様規定』もセットです。材料の品質や腐食を防ぐ規定は、将来も計算した性能を維持するために必要です。柱脚、外装、天井などを同じ扱いと考えず、対象となる条文と計算方法の組合せを確認すると、複雑な適用関係を整理できます。