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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問9

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。ただし、居室については、内装の制限を受ける「窓その他の開口部を有しない居室」には該当しないものとする。

選択肢

  1. (1)
    地階に設ける物品販売業を営む店舗の売場及びこれから地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを、準不燃材料とした。
  2. (2)
    延べ面積15,000m²、地上15階建て、高さ60mの店舗及び事務所の用途に供する建築物において、非常用エレベーターの乗降ロビーの天井及び壁の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でし、その下地を不燃材料で造った。
  3. (3)
    壁付暖炉を設ける居室において、壁付暖炉可燃物燃焼部分の間柱、下地並びに壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを特定不燃材料でし、その他の部分の仕上げを木質系の難燃材料等でした。
  4. (4)
    主要構造部を耐火構造とした延べ面積1,800m²、地上3階建て、高さ12mの有料老人ホーム(当該用途に供する3階の床面積が600m²)において、100m²以内ごとに耐火構造の床、壁及び所定の防火設備で区画された3階の居室の天井の室内に面する部分の仕上げを、不燃材料、準不燃材料及び難燃材料以外の材料とした。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。非常用エレベーターは、高層建築物で消防隊が消火・救助のために使う設備です。その乗降ロビーは、消防隊が活動の準備をする重要な場所なので、壁・天井の室内に面する部分の仕上げだけでなく、その下地も不燃材料にします。
仕上げは目に見える表面の材料、下地はその裏側で仕上げを支える板などです。選択肢2では下地を不燃材料にしていますが、表面を準不燃材料にしているため、必要な条件を満たしません。不燃と準不燃は似た名前でも法令上の性能区分が違い、『準』が付いていても不燃材料の代わりになるとは限りません。正しくは仕上げも不燃材料に直します。
本問の高さ60mの建物では、消防隊が上階へ到達するための経路を火災から守る必要があります。下地が燃えなくても、ロビーの表面が火災によって危険な状態になれば活動に支障が出ます。ほかの選択肢の売場の準不燃仕上げや小区画による例外を、この特別なロビーの条件へ取り違えて適用しないことが大切です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適合します。地階の売場は、火災時に煙がこもりやすく、客は階段等を上がって地上へ逃げる必要があります。そのため売場と地上へ通じる主な廊下・階段等の壁・天井は、準不燃材料の仕上げなどとします。本問は準不燃材料なので、この条件を満たします。地上の売場の一部で使える難燃材料の区分と混同しないよう、まず『地階』という位置を確認します。避難通路も売場とあわせて保護する点が要点です。

選択肢2

(2)適合しません。非常用エレベーターの乗降ロビーは、壁・天井の仕上げと下地をともに不燃材料とする必要があります。本問は下地だけが不燃で、仕上げは準不燃なので不足です。例えば不燃の下地の上に準不燃の化粧板を取り付けた場合、裏の材料の性能だけを見てロビー全体を適合とはできません。表面と裏側をそれぞれ検討します。修正箇所は『仕上げを準不燃材料』の部分で、不燃材料に置き換えます。

選択肢3

(3)適合します。暖炉の熱によって周囲の物が燃え始める危険がある範囲を、告示に従って特定不燃材料で保護する方法です。間柱は壁の内部に立つ細い部材で、下地や仕上げだけでなく内部も所定の材料にします。その範囲を確実に保護することで、ほかの部分には所定の木質系の難燃材料等を使えます。暖炉の近くだけ見た目を金属板にするという意味ではなく、告示が定める範囲と構成を一組で満たす方法です。

選択肢4

(4)適合します。耐火構造の建物で居室を100m²以内ごとに耐火構造の床・壁と所定の防火設備で区画する条件により、本問の居室には当該内装制限の例外を適用できます。火が一度に広い範囲へ拡大しないよう小さく区切ることが代わりの安全条件です。3階全体600m²を一室のまま使う場合とは異なります。また、問題文で内装制限上の無窓居室ではないと明示されている点も、別の規制を重ねないために重要です。

周辺知識

内装制限は、室内の壁や天井から急速に火が広がったり、大量の煙が発生したりすることを抑え、避難時間を確保する仕組みです。法令の材料区分は、所定の火熱を受けたときの燃焼や有害な煙などの性能で決まり、不燃材料、準不燃材料、難燃材料では要求される条件が異なります。名前の印象や厚さだけでは判定できません。
どの性能が必要かは場所によって違います。地下売場とその避難通路、消防活動の拠点となるロビー、暖炉の近くでは危険の生じ方が違うためです。『この建物は耐火構造だから内装は自由』とも、『人が使う室は全部不燃』とも決められません。用途、階、面積、区画、火気設備、無窓かどうかを組み合わせます。
また、内装の仕上げと下地は別の層です。表面を安全な材料にしても、裏側が燃えやすいと十分でない規定があります。図を思い浮かべるなら、人が見る化粧板、その裏の下地板、さらに壁内部の間柱と分けると分かりやすくなります。本問のロビーは表面と下地の両方、暖炉周囲は指定範囲の内部まで確かめます。