学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅲ(法規) 問4
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。中間検査は、工事の途中で、後から見えなくなる重要な部分などを確認する検査です。鉄筋コンクリート造では、コンクリートを流し込むと内部の鉄筋の配置が見えなくなるため、その前の配筋の段階を確認することに意味があります。
国が定める特定工程の一つは、階数3以上の共同住宅で、床やはりに鉄筋を配置する工事があるものの、2階の床及びそれを支えるはりの配筋工事です。ここで対象としている用途は『共同住宅』です。本問は鉄筋コンクリート造3階建て、800m²ですが、用途は『寄宿舎』なので、この国の指定による特定工程には当たりません。
特定行政庁が別途指定する工程があれば中間検査が必要になる場合はありますが、本問はその指定もないと明記されています。したがって、2階床等の配筋を終えたことを理由に中間検査を申請しなければならないとした選択肢4が誤りです。配筋の品質を確認しなくてよいという意味ではなく、この法定の中間検査を必要とする対象かどうかの問題です。建物の用途を、似た居住施設というだけで同じものに扱わないことが要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)正しい記述です。本問の4階建て事務所のエレベーターは、定期検査と結果報告の対象です。エレベーターは使用を続けると部品の摩耗や機能不良が起こる可能性があり、定期的に専門家が安全を確認します。義務を負うのは所有者ですが、所有者と管理者が異なる場合は管理者です。建物全体の用途が事務所であることだけを理由に、昇降機の定期検査まで不要にはなりません。建築物本体とエレベーターでは、対象の決め方を別々に確認します。
選択肢2
(2)正しい記述です。指定確認検査機関が完了検査を引き受けた場合などを除き、完了検査の申請は原則として工事完了日から4日以内に建築主事等へ到達するよう行います。期限までに郵便を発送しただけでは、到達が遅れることがあります。完成した建物が適法かを速やかに確認するため、手続の時期が定められています。『4日以内』が申請側の期限であることと、『到達』が基準であることを、検査する側の実施期限とは区別して整理します。
選択肢3
(3)正しい記述です。用途変更の確認済証を指定確認検査機関から受けても、用途変更の工事完了届は建築主事等へ提出します。工事前の確認を担当した相手へ、完了時の全手続を必ず出すという制度ではありません。新築等の完了検査の申請と、用途変更の工事完了届は別の手続です。『確認を受けた機関』『工事の種類』『完了時に求められる手続』を分けることで、提出先を取り違えずに判断できます。
選択肢4
(4)誤りです。国が指定するこの配筋工程の中間検査は、3階以上の共同住宅が対象です。寄宿舎は、人が生活する用途として似ていても、ここにいう共同住宅ではありません。特定行政庁が指定する工程もないという前提なので、本問の寄宿舎には、この2階床・はりの配筋による中間検査義務は生じません。構造がRC造で、階数も3階という二条件が合っているだけで結論を出さず、用途と別途指定の有無も含めて確認します。
周辺知識
建築の検査には、工事途中の中間検査、完成時の完了検査、使用開始後の定期検査・調査があります。中間検査は後から見えにくくなる工程などを確認し、完了検査は出来上がった建物と敷地を確認し、定期報告は使用中の劣化や管理状態を確認します。時期と目的が違うため、一つを受けたことで他がすべて不要になるわけではありません。
共同住宅と寄宿舎も分けて考えます。共同住宅は、複数の世帯がそれぞれの住戸で独立した生活をする形が基本です。寄宿舎は、学生寮など、一定の生活設備を共同で利用する形が含まれます。どちらも人が寝泊まりしますが、条文が共同住宅だけを指定している場合、寄宿舎まで勝手に広げられません。
法定検査の対象外であっても、施工者による品質管理や、建築士による工事監理は必要です。コンクリートを打つ前に鉄筋を確認する実務上の重要性と、行政等の中間検査を申請する義務の有無は別です。問題文が『特定行政庁の指定なし』と条件を置くのは、国の指定以外に追加される工程を除いて判断を一つにするためです。こうしたただし書も、数字や用途と同じく重要な情報として読みましょう。