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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問16

問題・正答・学習用解説

問題

電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    埋設又は打込み接地極の種類には、銅板、銅被覆板等があり、地中に埋設又は打込む際は、なるべく水気があり、かつ、酸などで腐食するおそれがない場所を選ぶことが望ましい。
  2. (2)
    外部雷保護システムは、保護レベルに応じて、保護角法、回転球体法、メッシュ法のいずれかを選択し、重要度の高い建築物は保護レベルⅣで計画する。
  3. (3)
    航空障害灯設備は、原則として、高さ60 m以上の建築物等に設置が義務づけられており、建築物等の形状等により航空障害灯の種類、設置箇所、設置個数が異なる。
  4. (4)
    太陽電池モジュールは、一部のセルに影が当たると発電能力が低下するだけではなく、ホットスポットが生じるおそれがあり、その対策の一つとして、バイパスダイオードの設置がある。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。雷保護レベルはⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの順に保護性能が低くなり、Ⅰが最も厳しい水準です。重要度の高い建築物へ最も低いⅣを選ぶという説明は不適当です。数字が大きいほど高性能という日常の感覚を、そのまま当てはめないようにします。
外部雷保護システムは、雷を受ける部分、雷電流を地面へ導く導体、大地へ流す接地で構成されます。雷そのものの発生を止めるのではなく、落雷した電流に安全な道を用意し、建物の損傷や人への危険を抑えるものです。建物の用途、被害の影響、落雷リスクなどに応じて必要な保護水準を決め、それに合う配置を計画します。
保護角法は受雷部から一定の角度で保護範囲を考え、回転球体法は仮想の球を建物の周囲に転がして雷が届き得る場所を探し、メッシュ法は受雷導体を網状に配置します。どの方法でも、レベルに合った寸法や適用条件を使う必要があります。方法の名前が正しくても、重要な施設に選ぶレベルの方向が違えば、本肢全体は不適当になります。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。接地極は、電気設備を大地につなぐため地中に設ける金属です。一般に適度に湿った土は乾いた土より電流を流しやすく、接地抵抗を小さくしやすくなります。ただし酸などで金属が腐食すると、断面が減ったり接続が切れたりして機能が失われるため、腐食しにくい場所を選びます。「湿っていればどこでもよい」とはせず、電気を流しやすいことと、長期間健全であることの両方が必要です。漏電や雷の電流を扱う接地は、金属を単に地面へ触れさせるだけではありません。

選択肢2

(2)不適当です。保護レベルⅠが最も高く、Ⅳは四段階の中で最も低い水準です。重要な建物でより厳重な保護が必要な場合にⅣを選ぶという方向は逆です。回転球体法であれば、レベルごとに仮想球の半径などの条件が変わり、保護対象へ雷が届かない配置を検討します。レベルをラベルだけと考えず、受雷部の配置や寸法を変える設計条件と理解します。重要度だけで一律に全て決まるわけではありませんが、重要度が高いから低い保護水準にするという本肢の判断は誤りです。

選択肢3

(3)適当です。航空障害灯は、航空機の操縦者へ建物などの障害物の存在を知らせる灯火です。原則として高さ60m以上の建築物等が設置対象となり、形状によって上端や中間の必要な位置へ配置します。例えば一つの尖塔と横に長い大きな建物では、離れた場所から輪郭を知るために必要な灯の数が変わります。建物内の避難を助ける誘導灯や、周辺の歩行者を照らす照明とは目的が異なります。高さの基準だけでなく、誰へ何を知らせる設備かを理解します。

選択肢4

(4)適当です。太陽電池のセルを直列につないだ回路では、一部だけ影になると、そのセルが十分に発電できず、他のセルからの電流で局所的に熱を持つことがあります。これがホットスポットです。バイパスダイオードは、影の部分を迂回して電流を流す道を設け、異常な発熱や発電低下の影響を抑えます。単に影の面積分だけ出力が下がるとは限らないのは、セルが電気的につながっているためです。屋根の煙突やアンテナなど、部分的な影も配置計画で考慮します。

周辺知識

電気設備の安全対策は、何が起きたときの対策かで整理できます。漏電への接地は、絶縁の不良などによって本来流れない場所へ電流が流れる場合を扱います。外部雷保護は、非常に大きい雷電流を受け、安全に大地へ流す経路を計画します。航空障害灯は電気事故を防ぐ装置ではなく、航空機へ障害物を知らせる設備です。名称に「保護」や「灯」があっても、守る対象と現象が異なります。
雷保護では、屋根上に受雷部を置くだけでは完成しません。そこから接地まで電流が通る道が必要で、その途中で危険な火花や電位差が生じないように考えます。外部雷保護とは別に、配線から侵入する雷サージから電子機器を守る対策もあります。
太陽電池については、直列回路では基本的に同じ電流が流れることが、一部の影の影響を広げます。直列に並んだ人が荷物を手渡すとき、一人だけ受け渡せないと列全体が滞るのに似ています。ただし実際には電気的な逆方向の電圧と発熱が関係するので、迂回路を持つバイパスダイオードが必要になります。回路のつながりから考えると、部分的な影を避ける意味が分かります。