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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問11

問題・正答・学習用解説

問題

図はデシカント空調機の模式図である。構成部等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。問11の図1

選択肢

  1. (1)
    冷温水コイルは、予冷、予熱を行うものであり、予冷することで、デシカントローターの除湿性能を上げることができる。
  2. (2)
    デシカントローターは、除湿剤による吸湿を行うものであり、除湿剤の種類(シリカゲル系、ゼオライト系等)により、それぞれ再生温度が異なる。
  3. (3)
    再生コイルは、デシカントローターの再生のために冷却を行うものであり、井水や地下水を利用して冷却することで、省エネルギー化が図れる。
  4. (4)
    加湿器は、冬期において加湿を行うものであり、デシカントローターを使用して還気より回収した湿分だけでは室内の湿度が目標値に達しない場合に稼働する。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

正解は(3)です。デシカントローターの「再生」は、冷やすことではなく、吸い込んだ水分を熱によって放出させ、再び除湿できる状態へ戻すことです。したがって再生コイルは加熱を行います。
デシカントは乾燥剤です。菓子の袋の乾燥剤が周囲の湿気を取り込むのと同じように、ローター内の材料が空気中の水分を吸着します。しかし水分を取り込むだけでは、やがて材料が湿って働きにくくなります。そこでローターを回転させ、除湿していた部分を高温の再生空気に当てて水分を放出させ、乾いた状態に戻してから再び給気側で使います。
原図の下側は、左の外気から右の給気へ進む流れです。上側は、右の還気から左の排気へ進み、再生コイルを通ってからローターに達します。この位置関係も、上側の空気を加熱してローターを乾かし、水分を屋外へ運び出すことを示します。井水を使う「冷却」は予冷など別の役割と混同しています。再生用に太陽熱や排熱を使うことが、省エネルギーの考え方です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。予冷は、空気がローターに入る前にあらかじめ冷やすことです。吸着材の吸湿能力は温度や湿度に左右され、一般に給気側の空気を適切に低温にすると水分を取り込みやすくなります。原図では外気がフィルター、冷温水コイルを通り、その後にローターへ進むので、コイルを前処理に使えます。冷却によって相対湿度が高まることと、空気中の水蒸気そのものを取り除くことは同じではありません。予冷がローターの除湿を助け、ローターが実際の湿分移動を担うと整理します。

選択肢2

(2)適当です。シリカゲルやゼオライトは、表面に水分を取り込む性質を持つ吸着材です。吸着する強さや細かな孔の性質が違うので、十分に水分を放出させるための再生温度も同一ではありません。高い温度を用いればどの材料でも同じ効率になるわけではなく、利用できる温水や排熱の温度に適した材料と装置を組み合わせます。乾燥剤という名称だけで覚えるより、水分を一度捕まえ、温めて放し、再び捕まえるという循環を理解すると、材料の種類が性能に影響する理由が分かります。

選択肢3

(3)不適当です。再生コイルは、排気側の空気を温めてローターの水分を放出させます。冷たい空気を当てて吸着材をさらに湿気を取り込みやすい状態にするだけでは、除湿によって蓄えた水分を捨てる再生の目的を果たせません。原図の上段を右から左へたどると、還気、フィルター、再生コイル、ローター、排気の順で、水分を受け取った空気を外へ出せる構成です。省エネルギー化は、再生を冷却へ置き換えるのではなく、必要な加熱へ有効な排熱などを利用して考えます。

選択肢4

(4)適当です。冬は外気が乾燥し、取り入れる空気へ湿気を補う必要があります。ローターを介して室内の還気から湿分を回収できても、外気の状態や必要な室内湿度によっては、それだけでは不足します。その不足分を加湿器で補います。図でも加湿器は給気側のローターの後に配置されています。熱や湿分の回収は、捨てるはずのものを再利用する機能であり、常に目標値まで完全に調整できることを意味しません。回収と最終調整の二段階で考えます。

周辺知識

空調には、温度を変える仕事と水蒸気の量を変える仕事があります。前者は顕熱、後者は潜熱の処理と呼ばれます。通常の冷却除湿は、空気を露点以下へ冷やし、冷たいコイル表面に水滴として水分を取り出します。デシカント除湿は材料の吸着を利用するので、温度と湿度を別々に調整しやすくする方法です。
ただし、吸着の際には熱が発生し、除湿後の空気が暖かくなることがあります。そのため、除湿しただけでそのまま快適な給気になるとは限らず、後段の冷却コイルなどで適切な温度へ調整します。原図の給気側に、ローターの後にも冷却コイルが描かれていることに意味があります。
図を読む際は、機器名を一つずつ暗記するより、矢印に沿って空気がどの順番で通るかを追います。フィルターは粉じんを除き、コイルは熱を受け渡し、ローターは水分を受け渡し、送風機は流れを作ります。外気は屋外から取り入れる空気、還気は室内から戻る空気、排気は屋外へ捨てる空気、給気は室内へ送る空気です。この四つの空気の名称を先に理解してから、どこで水分を取り、どこへ捨てるのかを確認すると、再生コイルの誤りを自分で見抜けます。