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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問8

問題・正答・学習用解説

問題

色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    XYZ表色系におけるxy色度図上の2 点間の距離は、知覚される色の隔たりである色差に比例する。
  2. (2)
    XYZ表色系における三刺激値X、Y、Zのうち、Yは、反射物体の色の場合、視感反射率を示す。
  3. (3)
    マンセル表色系におけるバリュー(明度)は、0 から10 までの数値で表される。
  4. (4)
    カラーユニバーサルデザインを考慮したサイン計画とする場合、一般に、色相の差だけではなく、明度の差を重視した配色にするとよい。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。xy色度図の上で定規で測った距離が2倍になったからといって、人が感じる色の違いも2倍になるわけではありません。この図は、色を数値で表し、色の混合などを扱いやすくするための座標であって、どの場所でも見た目の違いを等間隔に並べた地図ではないためです。
XYZ表色系は、人が色を見る働きを三つの数値X・Y・Zで表す体系です。そこから明るさに関する情報を分け、色みをx・yの二つの座標で表したものがxy色度図です。ところが人の色の見分け方は、色の領域によって敏感さが違います。そのため、ある場所では近い2点でも十分に違って見え、別の場所では同じ距離でも違いが小さく感じられます。
色差を数値化したい場合には、L*a*b*など、座標上の距離と知覚される違いがより近くなるように作った色空間を用います。ただし、これも完全に人の感覚と一致する魔法の尺度ではありません。本問では「数値で表せる」と「距離が色差に比例する」を区別し、xy図を均等な色差の図とした点を訂正します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。xy色度図は、座標間の同じ距離が、どこでも同じ見た目の色の差に対応する図ではありません。地図でも作図法によって距離や面積がゆがむように、色を二次元へ表す方法によって、距離が何を意味するかが変わります。見た目の差を距離で扱いやすくする目的には、CIELABやCIELUVなどの、より均等な色空間を用います。「色度図に点を置けるから距離もそのまま色差になる」という推論をしないことが大切です。xy図は色の混合や色みの表現に有用ですが、用途を区別します。

選択肢2

(2)適当です。視感反射率は、物体が反射する光の割合を、人の目が波長ごとに感じる明るさの違いを考慮して表したものです。同じ量の光でも、目は全ての波長を同じ明るさに感じるわけではありません。XYZのYはこの明るさの働きに対応するように定められ、反射物体の色では視感反射率に対応します。白い紙が多くの光を反射し、黒い紙が少なく反射する差を数値で扱うイメージです。X・Y・Zを単純に赤・緑・青の量そのものと読み替えないようにします。

選択肢3

(3)適当です。マンセル表色系は、色相・明度・彩度という三つの性質で色を整理します。バリューは明度、つまり明るいか暗いかで、理想的な黒を0、理想的な白を10として表します。赤か青かという色相や、鮮やかか灰色っぽいかという彩度とは別の軸です。例えば同じ赤でも、明るい薄い赤と暗い赤では明度が違います。数値0と10は理想的な両端であり、実際の塗料や紙で完全な黒・完全な白を作れると断言しているわけではありません。

選択肢4

(4)適当です。色覚の特性は人によって異なり、色相だけで区別した表示は伝わりにくい場合があります。明るい背景に暗い文字を置くなど、明度差を確保すると、色の違いが分かりにくくても文字や形を見分けやすくなります。例えば赤と緑だけで経路を分けるより、明暗の差に加えて路線名・番号・線種も併用する方が情報を確かめやすくなります。カラーユニバーサルデザインは特定の色を一律に禁止する考え方ではなく、多様な見え方でも必要な情報が伝わるよう複数の手掛かりを用意するものです。

周辺知識

色を考えるときは、光の物理的な性質と、目を通して知覚する性質を分けます。同じ塗料でも照らす光が変われば見え方が変わり、周囲の色や見る人の特性にも影響されます。そのため色の数値を比べるには、どの表色系で、どの照明や観察条件を用いているかをそろえる必要があります。
XYZから求める色度座標は、次のとおりです。
x=XX+Y+Zy=YX+Y+Z\begin{aligned}x&=\frac{X}{X+Y+Z}\\[4pt]y&=\frac{Y}{X+Y+Z}\end{aligned}
三つの値全体に対する割合にすることで、色みを扱います。X・Y・Zが同じ割合で増えてもx・yは変わらないので、色度だけでは明るさの大きさを表せません。xyとYを組み合わせる表現が使われる理由はここにあります。
一方、マンセルでは、赤・黄・緑などの種類が色相、白黒に近い明暗が明度、鮮やかさが彩度です。建築の案内表示では、色相が違っても明度が近いと文字が読みにくい場合があります。白黒で印刷したときにも情報が区別できるかを確かめると、明度差の役割を理解できます。ただし白黒確認だけで全ての見え方を保証できるわけではなく、実際の配色と文字・形の併用まで確認します。