学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問6
問題・正答・学習用解説
問題
ある地点における南中時の太陽高度が60 度のときの法線面直達日射量はJNであった。このときの水平面直達日射量JHと南向き鉛直面直達日射量JVの値の組合せとして、最も適当なものは、次のうちどれか。選択肢
- (1)
3JN/2JN - (2)
2JN/3JN - (3)
2JN/23JN - (4)
23JN/2JN
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。水平面は JH=23JN、南向き鉛直面は JV=21JN となります。まず、法線面とは太陽光線に直角な面であり、JN はそこへ単位面積当たりに届く直達日射です。直達日射は、空で散らばらず太陽から直接届く日射を指します。 面を傾けると、同じ光の束がより広い面積へ分散するので、単位面積当たりの日射は小さくなります。その割合は、光線と「面の法線」のなす角の余弦です。水平面の法線は鉛直方向なので、太陽高度が60度なら入射角は 90∘−60∘=30∘。従って、水平面の日射は次のようになります。 JH=JNcos30∘=23JN 南中時の太陽を正面に受ける南向き壁の法線は、水平方向に南を向きます。太陽光線との角は60度なので、鉛直面の日射は次のようになります。
JV=JNcos60∘=21JN 高さのある太陽は壁より水平面を照らしやすく、約0.866対0.5という大小もその感覚に合います。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。鉛直面の 2JN は正しいのですが、水平面の値が違います。水平面と太陽光線の角は60度でも、日射の投影に用いるのは光線と面の法線の角30度です。cos30∘=23 であり、31 ではありません。31 は tan30∘ などに現れる値です。tanは直角三角形の二辺の比で、入射する光の束を面へ投影する今回の係数ではありません。三角関数の値だけでなく、何の比を求めているかを確認します。 選択肢2
(2)不適当です。水平面を 2JN としていますが、太陽高度60度なら水平面への入射角は30度で、係数は 23 です。さらに南向き鉛直面の係数は cos60∘=21 であり、31 ではありません。したがって両方が異なります。太陽高度をそのまま水平面の入射角に使うと、最初の誤りが生じます。図がなくても、水平面から上へ60度、法線の鉛直方向からは30度と、二つの角を言葉で置いてから計算します。 選択肢3
(3)不適当です。二つの係数自体は使いますが、水平面と鉛直面が逆です。日射を面へ投影する式を太陽高度 h で書けば、水平面は JH=JNsinh、南中時の南向き鉛直面は JV=JNcosh です。h=60∘ では水平面の方が大きくなるはずなのに、本肢は鉛直面を大きくしています。真上から光が来る場合、地面が強く照らされ、垂直な壁には直接当たりにくいという極端な場合で確かめると、入れ替わりに気付けます。 選択肢4
(4)適当です。水平面の係数は sin60∘=23、南向き鉛直面の係数は cos60∘=21 なので、本肢の組合せと一致します。例えば法線面直達日射量を仮に 800W/m2 と置くと、水平面は約693、鉛直面は400 W/m2 です。800を二つに分配して合計800にする計算ではありません。別々の向きの各1平方メートルが、同じ太陽光をどれだけ受けるかを比較しています。 周辺知識
日射の計算では「太陽高度」と「入射角」を混同しないことが大切です。太陽高度は地平線から太陽を見上げる角度、入射角は光線と受ける面の法線との角度です。法線は、その面に直角に立てた仮想の線です。面へ真っすぐ光が当たると入射角は0度で最大、面に沿うように当たると90度で直達日射は0になります。
一般式は J=JNcosi です。i は入射角で、日射量の単位は JN と J でそろいます。水平面では i=90∘−h なので、余弦が正弦に変わって JH=JNsinh になります。南向き鉛直面の式が単純に JNcosh となるのは、今回のように太陽の方位と面の向きが合う条件です。午前や午後には方位のずれも考慮します。 本問は直達日射のみの比較であり、空で散乱して届く天空日射や地面からの反射は含めていません。日射の全体を求める場合は、それらを別に扱います。まず直接届く光の束を投影し、次に必要な成分を足す、という順序にすると、窓や屋根へ入る熱の計算へもつなげられます。