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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    全熱交換器による換気において、外気の絶対湿度が室内の絶対湿度よりも高い場合、室内の吹出し空気の絶対湿度は、外気の絶対湿度より低くなる。
  2. (2)
    温度差による換気において、外気の温度が室内の温度よりも高い場合、外気は中性帯よりも下側の開口から流入する。
  3. (3)
    風圧力による換気において、外部風向と開口条件が同じ場合、その換気量は、概ね外部風速に比例する。
  4. (4)
    容積の異なる2 つの室において、それぞれの室内の二酸化炭素発生量及び換気回数が同じ場合、定常状態での室内の二酸化炭素濃度は、一般に、容積が大きい室より小さい室のほうが高くなる。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は(2)です。温度差による換気は、空気の温度によって重さが違うことを利用します。同じ圧力なら、暖かい空気は膨らんで密度が小さく、冷たい空気は密度が大きくなります。本肢の条件は「外が暖かく、室内が冷たい」です。室内の重い空気が下側の開口から外へ流れ、その分を補う暖かい外気が上側から入るため、流入する位置の説明が逆です。
中性帯とは、その高さで室内外の圧力がほぼ等しくなる位置です。それより上と下では、内外の空気の密度差によって圧力の大小が逆になります。冬に室内を暖房すると、暖かい室内空気が上から出て冷たい外気が下から入りますが、これは今回と温度関係が反対です。「暖かい空気は上昇する」という言葉だけで入口を暗記せず、まずどちら側の空気が暖かいかを確かめます。室内より外気が暖かい夏の冷房室を思い浮かべ、冷たい室内空気が下側からこぼれ出ると考えると、本問の向きを判断できます。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。絶対湿度は、乾き空気に含まれる水蒸気の量を質量で表す指標です。全熱交換器は、排気と給気の間で温度の熱だけでなく湿気に伴う熱も受け渡します。蒸し暑い外気と、それより乾いた室内排気がある場合、水蒸気の一部が外気側から排気側へ移るので、室内へ送る空気の絶対湿度は外気より低くなります。例えば乾いた室内の空気を捨てる前に、その乾燥の効果を新しい空気へ渡す仕組みです。温度だけを交換する顕熱交換器とは区別します。

選択肢2

(2)不適当です。外気の方が暖かいという条件では、室内の空気の方が重くなります。中性帯より下では室内側の圧力が外側より高くなって室内空気が流出し、上では外側から室内へ流入する向きになります。したがって「下側の開口から流入」を「上側の開口から流入」と直します。冬の暖房室で見られる下から給気・上から排気の組合せを、そのまま夏の冷房室へ当てはめたことが誤りです。温度差が逆転すれば流れも逆になる点が判断の中心です。

選択肢3

(3)適当です。風上側で建物に風が当たると圧力が高まり、風下側では低くなるため、開口間に空気の流れが生まれます。風による圧力差 Δp\displaystyle \Delta p はおおむね外部風速 v\displaystyle v の二乗に比例し、開口を通る換気量 Q\displaystyle Q は Δp\displaystyle \sqrt{\Delta p} に比例します。両者をつなぐと Q∝v2=v\displaystyle Q\propto\sqrt{v^2}=v です。したがって風速が2倍なら換気量も概ね2倍です。圧力が4倍になることと、換気量が4倍になることを混同しないようにします。

選択肢4

(4)適当です。換気回数 n\displaystyle n は、1時間に室容積の何倍の空気を入れ替えるかを示し、換気量は Q=nV\displaystyle Q=nV です。同じ1回毎時でも、容積が100立方メートルの室は毎時100立方メートル、50立方メートルの室は毎時50立方メートルしか換気しません。二酸化炭素の発生量が同じなら、小室では汚れを薄める新鮮空気が少なくなります。定常状態は濃度が時間とともに増減しなくなった状態で、その濃度は小室の方が高くなります。

周辺知識

換気を考えるときは、空気を「動かす力」と、汚染物質を「薄める量」を分けると整理できます。温度差換気では密度差、風圧換気では風による圧力差、機械換気ではファンが空気を動かします。どの場合も、空気の入口と出口、その間の通り道が必要です。開口を一つ設けただけで、いつでも十分な流れになるわけではありません。
二酸化炭素のように室内で一定量が発生する物質は、よく混ざる室を仮定すると、定常状態で C=Co+GQ\displaystyle C=C_o+\frac{G}{Q} と表せます。C\displaystyle C は室内濃度、Co\displaystyle C_o は外気濃度、G\displaystyle G は単位時間当たりの発生量、Q\displaystyle Q は同じ時間単位の換気量です。発生した量を換気で外へ運び出す収支から導く式で、単位をそろえる必要があります。G\displaystyle G が同じで Q\displaystyle Q が半分になると、外気濃度からの上昇分 C−Co\displaystyle C-C_o は2倍です。人数が同じ小さな教室でも大きな教室でも、「換気回数が同じなら同じ空気環境」とは限りません。容積ではなく、実際に何立方メートルの外気を送っているかまで確認します。