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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問18

問題・正答・学習用解説

問題

ガラス工事及び金属工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    はめ込み構法によるガラス工事において、地震時における建築物の躯体の面内変形によって窓枠が変形した場合の板ガラスと窓枠との接触防止のため、エッジクリアランスを確保した。
  2. (2)
    アルミニウム製笠木の取付けにおいて、割付けを事前に検討したうえで、直線部分を先に取り付け、コーナー部分を最後に取り付けた。
  3. (3)
    内装改修工事において、天井に点検口を取り付けるに当たり、軽量鉄骨天井下地の野縁や野縁受けを切断したので、その開口部を補強した。
  4. (4)
    軽量鉄骨天井下地工事において、JISによる建築用鋼製下地材を使用したので、高速カッターで切断した面には、亜鉛の犠牲防食作用が期待できることから、錆止め塗料塗りを省略した。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

選択肢2が不適当です。アルミニウム製笠木はコーナー部分を先に取り付け、それを基準に直線部分を納めます。直線を先、コーナーを最後とした本肢は、取付けの順序が逆です。割付けを事前に検討するという前半は適当でも、その後の順序まで適切とは限りません。
笠木は、屋上の立上り壁などの上端にかぶせ、雨水が壁の上から入り込むのを防ぐ部材です。コーナーには二方向が交わる形があり、専用の部材で角度や止水の納まりを整えます。直線部に比べ、現場の最後の寸法に合わせて簡単に形を変えにくい部分です。
例えばL字形の壁で、二つの直線部を別々に端から固定すると、角へ来たときに寸法の誤差が集まり、用意したコーナーが合わなくなることがあります。無理に押し込めば、継ぎ目の幅や止水の状態が崩れます。先に角の基準を決めてから直線部を配置すれば、継ぎ目や端部で計画した寸法に整えやすくなります。組立てでは、形の自由度が小さい部分を基準にして、全体の位置と継ぎ目の連続性を確保することが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。エッジは板ガラスの縁、クリアランスは部材同士の隙間です。地震で四角い窓枠がひし形に変形しても、ガラスが同じように大きく変形できるわけではありません。縁が枠へ強く接触すると、その部分へ力が集中し、割れる原因になります。エッジクリアランスを確保するのは、枠の動きに対して接触しない余地をつくるためです。大きな隙間なら何でもよいわけではなく、ガラスの掛かり代や支持との関係も満たす寸法を選びます。固定と変形への余裕を両立させます。

選択肢2

選択肢2:不適当です。笠木のコーナーを先に取り付け、直線部を後から納めます。曲がり角では二方向の寸法と接合が集まるため、最後に誤差を押し込む場所にすると、部材が合わない、目地が不均一になる、止水部分が適切に納まらないといった問題を起こしやすくなります。コーナーを基準にすれば、その位置から直線部分の継ぎ目を計画して配置できます。事前に割付け図があっても、実際の下地寸法や取付け誤差はあるため、施工順序を適切にする必要があります。

選択肢3

選択肢3:適当です。野縁は天井板を直接支える細い下地材、野縁受けはその野縁を支える材です。点検口のためにこれらを切ると、天井板などの重さを吊り材へ伝える経路が途中で切れます。そのままでは端部がたわんだり、点検口周囲が不安定になったりするため、開口周囲を補強します。点検口は完成後も開閉するので、枠を取り付けるだけでなく、周囲を含めて支持できる構成が必要です。改修では、元の部材が何を支えていたかを確認してから切断計画を立てます。

選択肢4

選択肢4:適当です。亜鉛めっき鋼材では、亜鉛が鉄より先に腐食して周囲の鉄を守る犠牲防食の働きがあります。本肢の規格に適合する天井下地材の高速カッターによる切断面について、錆止め塗装を省略する取扱いは適当です。切断面には鉄が露出しても、その近傍の亜鉛による保護が期待できるという理由です。ただし、広い範囲のめっきを削り落とした場合や、別の鋼材、厳しい腐食環境にも一律に同じ扱いができるわけではありません。対象の材料と処理の条件をそろえて判断します。

周辺知識

建具や金属下地の施工では、完成直後の形が整っているだけでなく、建物が動いた後も性能を保てることが必要です。ガラスは枠の変形に対する隙間を確保し、笠木は継ぎ目で雨水が入らないように納めます。動きを完全にゼロへするのではなく、動いてもぶつからない、接合が破綻しない仕組みをつくります。
隙間には異なる意味があります。ガラスのエッジクリアランスは接触を避ける余地、笠木の継ぎ目は部材の接合や伸縮を納める部分です。見た目だけを優先して隙間をなくすと、かえって割れや変形につながる場合があります。一方、ガラスを支える掛かり代まで減らしてよいわけではないので、それぞれの必要寸法を組み合わせます。
改修の開口では、仕上げの下にある支持の経路を意識します。天井材→野縁→野縁受け→吊り材という経路が切れれば、新しい経路を補強材でつくります。また、腐食対策は鋼材の表面処理や環境によって異なります。取付け順序、力の伝達、変形の余地、材料保護を一つずつ確認することが、不具合の少ない施工につながります。