学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
内外装工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
選択肢4が不適当です。コンクリート下地の表面含水率20%は、仕上塗材を施工するには水分が多過ぎます。一般に8%以下など、使用する仕上塗材と測定器に応じた乾燥条件を確認してから吹き付けます。木材など別の材料で使う含水率の基準を、そのままコンクリートの仕上げへ当てはめないようにします。
コンクリートは固まっていても内部に水分が残っています。その上を塗膜で覆うと、水が外へ出にくくなり、日射などで温められたときに塗膜の下へ水蒸気圧が作用したり、接着面の状態が悪くなったりします。その結果、膨れ、剥離、仕上がりの不良などが生じる恐れがあります。
「硬くなった」「触ると乾いている」「必要な圧縮強度が出た」は、塗装に適した乾燥状態と同じ意味ではありません。例えば雨の翌日に表面だけ乾いて見えても、内部には多くの水が残る場合があります。下地の状態を測定して、材料の施工条件に達したことを確認する必要があります。接着剤を使う床工事も同じく、仕上材と下地の組合せ、湿気の条件をそろえて選定します。強い接着剤なら、ぬれた下地の問題を全て解決できるという考え方は適切ではありません。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:適当です。複合フローリングは複数の層を組み合わせた木質床材で、直張りは下地へ直接接着する施工方法です。木材は湿度の変化で伸び縮みし、モルタル下地とは動き方が異なります。ウレタン樹脂系接着剤は、必要な接着性と動きへの対応を考慮した材料として、この組合せに用いられます。接着剤の名称だけで施工条件が全て決まるわけではなく、床材の指定に合う製品、必要な塗布量、下地の乾燥と平滑さを確認します。床材と下地の間に働く材料として選ぶことが要点です。
選択肢2
選択肢2:適当です。ビニル床シートを湿気の影響を受けやすい場所へ張る場合、接着層が水分で弱くならないことが重要です。エポキシ樹脂系の耐水性を持つ接着剤を用いる本肢は適当です。ただし、耐水性とは所定の条件で水への抵抗を持つということで、下地に水たまりがあっても張れるという意味ではありません。床シートの下へ水分を閉じ込めると、浮きや膨れの原因になります。材料を耐水形へ選ぶことと、下地を施工可能な状態へ整えることの両方を行います。
選択肢3
選択肢3:適当です。ALCは内部に細かな気泡を持つ軽量なコンクリートで、ロッキング構法ではパネルが回転するように動き、建物の変形へ追従します。目地のシーリングを左右二面だけへ接着させれば、目地幅の変化に応じて伸び縮みしやすくなります。底面にも付く三面接着では中央が拘束され、変形が一部へ集中して切れや剥離を起こしやすくなります。接着する面を増やせば常に強いというわけではありません。底には適切なバックアップ材などを用い、必要な二面接着を確保します。
選択肢4
選択肢4:不適当です。表面含水率20%のまま吹き付けると、下地に残る水分が塗膜の付着や乾燥後の安定性を損なう恐れがあります。一般的な乾燥の目安は8%以下などですが、最終的には仕上塗材の種類と指定された測定方法に対応する条件で確認します。含水率計の方式が違えば表示値の意味も異なるため、数字だけ切り離して比べません。「表面」という語があっても、外観でぬれていないというだけの判定ではありません。十分な乾燥を待ち、所定の方法で確認して施工します。
周辺知識
仕上げ材の剥がれを防ぐには、表面を強く接着するだけでなく、その下で起きる水分と変形を考えます。水分が多ければ接着状態を悪くし、温度や湿度による伸縮が拘束されれば接着面へ力が作用します。接着剤やシーリング材は、この条件に応じて選びます。
接着剤とシーリング材の目的も分けましょう。接着剤は床材などを下地へ固定するために使います。シーリング材は目地の水密性などを保ちながら、部材間の相対的な動きへ追従します。ALC目地で底まで接着させないのは、必要な動きを妨げないためです。広い面を貼り付ける床と、動く継ぎ目をふさぐ目地では、接着の設計が異なります。
施工前の下地確認では、乾燥、清掃、平滑さ、強度などを別々に調べます。ほこりがあれば接着剤が下地でなくほこりに付くことになり、凹凸があれば均等に接触しません。水分だけ改善しても、他の条件が不足すれば不具合は残ります。材料の性能が発揮できる下地と施工手順を用意する、という一連の考え方で理解しましょう。