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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問3

問題・正答・学習用解説

問題

品質管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    押出成形セメント板への現場での孔あけは、振動ドリルを用いず、電気ドリルを用いた。
  2. (2)
    工事現場に搬入されたロールカーペットの保管については、縦置きとせずに、横に倒して3段までの俵積みとした。
  3. (3)
    ビニル床シート張りの下地において、セルフレベリング材塗りの養生期間は、特記がなかったので、5日間とし、低温の場合は10日間とする計画とした。
  4. (4)
    あと施工アンカーの施工において、引抜き耐力の引張試験に合格したものは、そのまま工事に採用するので、試験荷重は設計用引張強度までとした。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

選択肢3の5日間・低温時10日間では、特記のない場合の標準の養生期間が足りません。セルフレベリング材は、水などを加えると流れやすくなり、自ら広がる性質を使って床面の凹凸をならす材料です。上にビニル床シートを張る前に、この下地が必要な状態まで硬化・乾燥する時間を確保します。本問では7日以上、低温の場合は14日以上とする必要があります。
ビニル床シートは、水分を容易に通す材料ではありません。下地に水分が多く残るうちに接着して覆うと、水分の逃げ道が狭まり、接着剤の働きや接着面の状態に悪影響を及ぼし、膨れや剥がれの原因になります。表面を触って乾いているように感じても、内部まで十分に乾燥しているとは限らないことにも注意します。
低温時は、材料の硬化や水分の乾燥が進みにくいため、より長い期間を見込みます。「5日を10日にしたので2倍に延ばしてあり安全」とは判断できません。比率が同じでも、出発点となる必要日数を満たしていないからです。指定された養生期間を確保したうえで、気象条件や下地の状態も確認し、仕上げ工程へ進むという順序で理解しましょう。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:押出成形セメント板は、セメントを主成分とする材料を押し出して成形した板で、外壁や間仕切り等に使います。金属板のように大きく変形して力を逃がす材料ではないため、局所的な衝撃によって孔の周囲に欠けやひび割れが生じることがあります。振動ドリルは回転に打撃・振動を加える工具なので、この板の現場孔あけには使用せず、電気ドリルによる回転で孔をあける本肢が適当です。工具を選ぶときは、速さだけでなく母材を傷めない力の加え方を考えます。

選択肢2

選択肢2:ロールカーペットは、長い帯状のカーペットを筒状に巻いたものです。縦に立てると、巻いた全体の重さが下端の狭い部分へ掛かり、端がつぶれたり、内部の巻き位置がずれたりするおそれがあります。横に寝かせて保管すれば荷重を長さ方向に分散しやすくなります。ただし、高く積みすぎると下段を圧迫し、転がり落ちる危険も増すので、本肢の3段までの俵積みとする方法は適当です。搬入した材料も、施工前の保管で品質を損なうことがあると理解しましょう。

選択肢3

選択肢3:養生という言葉には、材料を適切な環境に置き、必要な性質が得られるまで保護する意味があります。ここでは、平らに仕上がった下地をすぐに使用するのではなく、床シート張りに適するまで待つことが問題です。特記がなければ7日以上、低温時14日以上が基準で、5日・10日という計画は不足します。「通常より長いか」だけでなく、「通常・低温のそれぞれで必要日数を満たすか」を確認します。床シートの種類や接着剤に応じた下地条件の確認も必要です。

選択肢4

選択肢4:あと施工アンカーは、既に硬化したコンクリートへ孔をあけ、金具などを固定するために設ける部材です。引抜き耐力は、そのアンカーを抜く方向の力にどれだけ抵抗できるかを表します。合格後もその場所で使い続けるアンカーを、壊れるまで引っ張って性能を測ると、肝心の取付け部を傷めてしまいます。本肢のように設計用引張強度まで荷重を掛け、必要な力を支えられるかを確かめる試験が適当です。使用を続ける確認試験と、限界まで調べる破壊試験を区別します。

周辺知識

品質管理は、完成時に見た目を検査するだけの作業ではありません。材料を搬入したとき、保管している間、加工するとき、別の材料で覆う直前など、品質が変わる節目ごとに確認します。本問の四つの肢は、板を傷めない工具、カーペットを変形させない保管、床下地の状態、アンカーの確認方法という別々の節目を扱っています。
特に、後の工程で見えなくなる部分は、覆う前の確認が重要です。床シートを張ってしまうと、下地の表面を直接見たり、補修したりすることが難しくなります。施工の速さを優先して養生を省くと、後でシートを剥がしてやり直す結果になることがあります。作業間の待ち時間にも、仕上がりを守る役割があるのです。
また、確認の方法自体が製品を傷めないかも考えます。使う予定のアンカーに必要な荷重だけを掛けて確認するのは、製品の役目を残したまま安全性を確かめるためです。「何を守るための規定か」「どの工程で確認するか」「確認後も使うのか」を結び付けると、保管日数や試験荷重の丸暗記から一歩進んだ理解になります。