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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和7年度 学科Ⅴ(施工) 問4

問題・正答・学習用解説

問題

建築工事の届出等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    消防本部及び消防署を置く市町村の区域において、危険物に係る貯蔵所を設置しようとする者が、その設置に先立ち、危険物貯蔵所設置許可申請書を市町村長あてに提出した。
  2. (2)
    床面積が10m²を超える既存建築物を除却するに当たり、当該除却工事を施工する者が、建築物除却届を、建築主事等を経由して都道府県知事あてに提出した。
  3. (3)
    つり上げ荷重が3tのクレーンを設置するに当たり、事業者が、その工事開始日の30日前までに、クレーン設置届を労働基準監督署長あてに提出した。
  4. (4)
    床面積の合計が500m²の建築物の新築工事において、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律で定める特定建設資材を用いるので、発注者が、工事に着手する日の7日前までに、使用する特定建設資材の種類等その他必要な事項を記載した届出書を特定行政庁あてに提出した。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4は、届出先を「特定行政庁」としている点が誤りです。ここで扱っているのは建設リサイクル法、正式には建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律による届出です。対象となる工事について、発注者等が工事着手の7日前までに都道府県知事へ届け出ます。法律により事務を行う市等では、その市長等が窓口となります。
本問では特定建設資材を用いる新築工事で、床面積の合計が500m²です。新築・増築工事の対象規模は500m²以上なので、ちょうど500m²も含みます。発注者が行うこと、着手7日前までという時期は適当です。正しい数字が二つ並んでいても、届出先まで適切とは限りません。
特定行政庁は、建築基準法で用いられる行政上の区分です。ある自治体の長が複数の法律に基づく仕事を担当する場合でも、どの法律のどの手続を述べているかを区別する必要があります。建築確認などに関する名称を、建設リサイクル法の届出先にそのまま置き換えてはいけません。「何の法律で、誰が、誰へ、何日前までに」という四つの欄に分けて本肢を読むと、提出先の取り違えに気付けます。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:危険物の貯蔵所は、火災や爆発などの危険を持つ物を一定の条件で保管する施設です。危険物という日常語だけでなく、消防法上の区分や数量に従って規制されます。本肢は消防本部・消防署を置く市町村の区域という条件を指定しているので、設置に先立ち市町村長へ許可を申請する扱いが適当です。許可申請は、行政へ知らせれば終わる届出とは異なり、認めてもらうための手続です。提出先は施設の種類だけでなく、自治体の消防体制という条件にも着目します。

選択肢2

選択肢2:除却は、既存の建築物を取り壊してなくすことです。建築物除却届は、建築物がどれだけ建てられ、除かれたか等を把握するための届出で、解体工事の安全確保や廃棄物処理の手続とは別に整理します。本肢の10m²を超える建築物では、除却工事を施工する者が、建築主事等を経由して都道府県知事へ届け出る記述が適当です。新しく建てるときの建築主の手続と、取り壊すときの施工者の手続は、行う人が同じとは限りません。「誰が」の部分も判断対象です。

選択肢3

選択肢3:クレーンの設置届は、危険性のある機械をどの計画で設置するかを、工事を始める前に把握するための手続です。本肢のつり上げ荷重3tのクレーンでは、設置工事の開始日の30日前までに、事業者から労働基準監督署長へ届け出る扱いが適当です。ここでの30日前は、機械を使用し始める日から数えるのではありません。完成後に行う検査と区別し、「計画段階の届出→設置工事→完成後の検査」という順に並べると、起算点や順序を混同しにくくなります。

選択肢4

選択肢4:特定建設資材は、コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材など、分別して再資源化等を進める対象の材料です。新築等で床面積500m²以上という本肢は、届出の対象規模に該当します。また、工事着手7日前までに発注者が届け出る点も適当です。しかし届出先は建設リサイクル法に基づく都道府県知事等であり、建築基準法上の特定行政庁という表現へ入れ替えることはできません。正しい数字の部分を残して、間違いである提出先だけを訂正して読むことが大切です。

周辺知識

工事の手続を整理する際、まず「許可」「届出」「検査」を分けます。許可は、法令上制限された行為について認めてもらう手続です。届出は、法令に定められた情報を行政へ知らせる手続です。検査は、計画や完成した物が基準に適合しているかを確かめる行為です。書類の名前が似ていても、目的や行う時期は異なります。
次に、対象、提出者、提出先、期限を組にします。例えば、危険物貯蔵所では消防の体制という条件が提出先に関係し、クレーンではつり上げ荷重と設置工事の開始日が重要になります。建設リサイクル法では、工事の種類ごとに対象規模が異なるため、本問の新築500m²を、解体など別種類の工事へそのまま使ってはいけません。
「以上」と「超える」も意味が違います。500m²以上なら500m²を含み、10m²を超えるなら10m²ちょうどは含みません。期限の数え方でも、工事の着手前なのか完成後なのかを先に確認します。このように文を役割ごとに分解すれば、すべての数字をばらばらに覚えるより、どの部分を変えると誤りになるかが理解しやすくなります。