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学科Ⅳ(構造)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅳ(構造) 問10

問題・正答・学習用解説

問題

図のような1階平面を有する木造軸組工法による地上2階建ての建築物(屋根は日本瓦葺きとし、1階と2階の平面形状は同じであり、平家部分はないものとする。)の1階において、建築基準法における「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)によるX方向及びY方向の壁率比の組合せとして、最も適当なものは、次のうちどれか。ただし、図中の太線は耐力壁を示し、その軸組の倍率(壁倍率)は全て2とする。なお、壁率比は次の式による。壁率比=\displaystyle \text{壁率比}=壁量充足率の小さい方壁量充足率の大きい方ここで、壁量充足率=\displaystyle \text{壁量充足率}=存在壁量必要壁量問10の図1
壁率比 X方向壁率比 Y方向
1.0.500.75
2.0.750.50
3.0.751.00
4.1.000.75

選択肢

  1. (1)
    0.50:0.75
  2. (2)
    0.75:0.50
  3. (3)
    0.75:1.00
  4. (4)
    1.00:0.75

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

壁率比はX方向0.75、Y方向0.50で、選択肢2です。四分割法では、建物の両端の4分の1ずつの帯状部分を取り出し、その部分に必要な壁量に対して、実際の壁量がどれだけあるかを比べます。L字形なので、両端の床面積が等しいとは限りません。
X方向の力に抵抗するのは横向きの壁です。Y方向の全長8 m\displaystyle 8\,\mathrm{m}の4分の1は2 m\displaystyle 2\,\mathrm{m}なので、上端2 m\displaystyle 2\,\mathrm{m}と下端2 m\displaystyle 2\,\mathrm{m}を見ます。上側は床面積10×2=20\displaystyle 10\times2=20 m2\displaystyle \mathrm{m^2}、壁長2+1=3\displaystyle 2+1=3 m\displaystyle \mathrm{m}。下側は床面積5×2=10\displaystyle 5\times2=10 m2\displaystyle \mathrm{m^2}、壁長1+1=2\displaystyle 1+1=2 m\displaystyle \mathrm{m}です。壁倍率2と単位面積当たり必要壁量の係数は共通なので、充足率の比は、次のとおりです。
320210=0.75\frac{\frac{3}{20}}{\frac{2}{10}}=0.75
Y方向は縦向きの壁を使い、X方向全長10 m\displaystyle 10\,\mathrm{m}の4分の1である2.5 m\displaystyle 2.5\,\mathrm{m}の左右の帯を見ます。左側は2.5×8=20\displaystyle 2.5\times8=20 m2\displaystyle \mathrm{m^2}、右側は2.5×4=10\displaystyle 2.5\times4=10 m2\displaystyle \mathrm{m^2}で、縦壁の長さはともに1+1=2\displaystyle 1+1=2 m\displaystyle \mathrm{m}です。よって壁率比は
220210=0.50\frac{\frac{2}{20}}{\frac{2}{10}}=0.50
必ず小さい充足率を大きい充足率で割ります。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)X方向とY方向の答えを入れ替えています。X方向の地震力へ抵抗する壁は、図で横に描かれた太線で、調べるのは上側と下側の帯です。Y方向なら縦に描かれた太線を数え、左側と右側の帯を調べます。「X方向だから左右を比べる」と機械的に対応させると逆になります。力と平行な向きの壁を選び、その壁の配置が力と直角の方向に偏っていないかを調べていると理解しましょう。

選択肢2

(2)面積で割った壁量は、X方向が上側320=0.15\displaystyle \frac{3}{20}=0.15、下側210=0.20\displaystyle \frac{2}{10}=0.20、Y方向が左側0.10、右側0.20です。共通係数を省略した値どうしの比を取れば、0.75と0.50となります。日本瓦葺きで同じ階、上下階の平面も同じという条件から、比較する側端部分の必要壁量の単位係数が共通になります。係数を勝手に無視したのではなく、分子と分母に同じものがあるため約分できるのです。

選択肢3

(3)X方向0.75は正しいものの、Y方向1.00が違います。Y方向の存在壁量は左右とも壁長2 m×2\displaystyle 2\,\mathrm{m}\times2(壁倍率)で等しいですが、必要壁量は床面積に比例します。左の側端部分は20 m2\displaystyle 20\,\mathrm{m^2}、右は10 m2\displaystyle 10\,\mathrm{m^2}なので、左は同じ壁で2倍の面積を受け持ち、充足率は右の半分になります。同じ長さの壁があればバランスが同じ、とは限りません。L字形の欠けた部分を床として数えないことが重要です。

選択肢4

(4)X方向の上下は、存在壁量も必要壁量も異なり、充足率は一致しません。上側は下側の1.5倍の壁長ですが、床面積は2倍あるため、充足率は1.52=0.75\displaystyle \frac{1.5}{2}=0.75倍です。また、Y方向は壁長が同じで面積が2倍なので0.50となり、0.75ではありません。図の中央付近にある太線を側端部分の外から加えたり、縦壁をX方向の壁として数えたりすると、両方向の比を正しく比較できません。

周辺知識

壁の量が足りていても、一方の端にだけ壁を集めると、地震で建物がねじれるように動くことがあります。床の重さの中心と、水平力に抵抗する硬さの中心がずれるためです。四分割法は、両端の側端部分に壁が大きく偏っていないかを、簡便に確認する方法です。
存在壁量は、壁の実際の長さに壁倍率を掛けて求めます。壁倍率2の壁が3 m\displaystyle 3\,\mathrm{m}あれば、基準の壁に換算して6 m\displaystyle 6\,\mathrm{m}分の壁量です。一方、必要壁量は、その部分の床面積に、階や建物の重さなどに対応する係数を掛けます。両者を同じ長さの単位へそろえて割ると、壁量充足率という単位のない値になります。比が1なら、その部分の必要量と存在量が等しい状態です。
壁率比は、左右または上下の充足率の小さい方を大きい方で割るため、0〜1の範囲です。1に近いほど相対的な偏りが小さいと読めます。ただし壁率比だけで必要な壁量そのものが確保されたとは判断できません。両端とも不足していても同じ割合なら比は1になるからです。本問ではバランスの比を問うているので、必要量の絶対値の判定と混同せず、図から面積と方向別の壁長を正確に拾うことが中心になります。