学科Ⅳ(構造)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅳ(構造) 問5
問題・正答・学習用解説
問題
図のような荷重を受けるトラスの斜材A、B及びCに生じる軸方向力をそれぞれ、及びとするとき、それらの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての部材は弾性部材とし、自重は無視する。
| 1. | 1 | 1 | 1 |
|---|---|---|---|
| 2. | 3 | 2 | 1 |
| 3. | 4 | 2 | 1 |
| 4. | 5 | 3 | 1 |
選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
軸方向力の比はです。軸方向力は、棒の長さ方向に引っ張る、または押す力です。このトラスでは5か所に同じ鉛直荷重が左右対称に作用するので、左右の支点が受け持つ上向きの反力は、それぞれです。
斜材Aを横切るように骨組を仮に切り、左側だけを取り出します。水平材は鉛直力を持たないので、斜材Aの鉛直成分が左支点の反力を打ち消します。Bの位置で切ると、左側には下向き荷重が一つ含まれるため、Bが受け持つ鉛直成分は、次のとおりです。
Cでは下向き荷重が二つなので、
となります。
図では各パネルの幅と高さがともにで、A・B・Cはいずれも45°の斜材です。したがって軸方向力は、それぞれの鉛直成分をで割り、、、です。共通のを取り除くとになります。3本とも、切断した左側を下向きへ引く向きとなり、引張材です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)荷重も斜材の角度も同じだから軸力も同じ、と考えるとこの比になりがちです。しかし各斜材が分担するのは、その近くの荷重一つだけではありません。切断した片側にある支点反力と、そこまでの荷重の差を伝えます。A・B・Cの位置へ進むたびに左側の下向き荷重が一つずつ増えるため、伝える鉛直力は、、へ減ります。部材の形が同じでも力の大きさは位置によって異なります。
選択肢2
(2)3本に残る荷重の個数を3個、2個、1個と数えるだけでは、この比になります。しかし左支点の反力はではなくです。中央の荷重も含めた全荷重を、左右二つの支点が半分ずつ支えます。そこから各切断位置までの荷重を差し引くと、係数はです。最後の0.5で全体を割るため、整数比はとなり、にはなりません。
選択肢3
(3)斜材AとBの鉛直成分の差は、BとCの差もです。角度が同じなので、軸方向力の差もどちらもとなります。では隣どうしの差が2と1で異なり、同じ荷重を一つずつ越えるという関係に合いません。中央へ近づくほど小さくなるという順番だけでは判断できず、支点反力を起点に、各節点荷重による減り方まで確かめる必要があります。
選択肢4
(4)左支点からの反力を起点にすると、鉛直成分はなので、比を2倍して整数で表すとです。三つの斜材の角度が等しいため、鉛直成分から軸力へ戻す係数が共通で、比は変わりません。もし斜材の角度が異なっていれば、それぞれので別々に割る必要があります。この図で同じ傾きであることを確認して初めて、成分の比をそのまま答えにできます。
周辺知識
トラスは、棒を主に三角形に組み、接合点を回転できるものとして考える骨組です。部材の途中ではなく節点に荷重が作用する理想化の下で、各棒は主に引張りまたは圧縮の軸方向力を伝えます。普通の梁のように、各棒の曲げモーメントを先に求める必要がないことが特徴です。
一部分を仮に切り離して力を調べる方法を切断法と呼びます。切り口で棒が相手側から受けていた力を矢印で置き換え、取り出した部分の上下・左右の力と回転のつり合いを立てます。本問のように切断する上弦材・下弦材が水平なら、それらの力に鉛直成分がないので、鉛直方向のつり合いだけで斜材の力が求まります。
支点から中央へ進むと、支点反力の一部が各荷重を支えるために使われ、さらに先へ伝える鉛直力が減ります。これは梁でいうせん断力の変化と同じです。斜材はその力を斜めの棒に沿って伝えます。浅い角度の斜材ほど、同じ鉛直力を受けるために大きな軸力が必要です。のは鉛直成分であり、荷重を無条件に代入するのではないことを、切断図の矢印で確かめましょう。