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学科Ⅰ(計画)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅰ(計画) 問19

問題・正答・学習用解説

問題

建築積算に関する次の記述のうち、建築工事積算研究会「建築数量積算基準・同解説」に照らして、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    工事費における工事価格は、純工事費と一般管理費等を合わせたものである。
  2. (2)
    木取りは、規格長さの製材から1 本又は複数の部材を挽き出すことをいう。
  3. (3)
    工事費における複合単価は、材料、副資材、施工等をまとめた単価のことである。
  4. (4)
    仕上の計測・計算において、木製間仕切下地を材料と施工手間に分離する場合の材料価格に対応する数量は、所要数量とする。

正答と解説

正答:(1)

正答の考え方

正解は(1)です。工事価格を構成する費用は、段階を追って足し合わせます。まず、建物を直接つくるための直接工事費に、現場全体で共用する仮設などの共通仮設費を加えたものが「純工事費」です。そこへ、現場を運営・管理するための「現場管理費」を加えて「工事原価」とし、さらに会社全体の経費や利益等に当たる「一般管理費等」を加えると「工事価格」になります。
(1)は純工事費に一般管理費等だけを足しているため、現場管理費が抜けています。正しい関係は、次のとおりです。
工事価格=純工事費+現場管理費+一般管理費等\begin{aligned}&\text{工事価格}\\&=\text{純工事費}\\&\quad+\text{現場管理費}\\&\quad+\text{一般管理費等}\end{aligned}
例えば説明用に、純工事費1億円、現場管理費1,000万円、一般管理費等1,500万円と置けば、工事価格は1億2,500万円です。設問の計算では1億1,500万円となり、現場管理費1,000万円を計上できません。これは費率を示す例ではなく、費用の包含関係を示す例です。さらに消費税等相当額を加えた工事費と、税を加える前の工事価格も区別します。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)不適当です。純工事費に現場管理費を加えたものが工事原価で、工事原価に一般管理費等を加えたものが工事価格です。現場を管理する担当者の人件費等は、材料や施工手間そのものとは別に必要になります。「純」という字から全費用が含まれると思うと、この管理費を落とします。純工事費、工事原価、工事価格の順に、どの費用が追加されるかを確認すれば、設問で不足する項目を判断できます。

選択肢2

(2)適当です。木取りは、一定の規格長さをもつ製材から、必要な長さの部材を切り出すことです。例えば長さ4mの材から1.8mの部材を2本取る場合、単純な長さの合計は3.6mですが、切断幅や端部の処理も考える必要があります。残った部分が別の部材に使えるかによって、購入する材料の量も変わります。完成後の部材寸法を足すだけでは材料費を正しく見込めないことが、木取りを考える理由です。

選択肢3

(3)適当です。複合単価は、材料だけでなく副資材や施工手間などを組み合わせた単位当たりの価格です。例えば壁仕上げ1 m2\displaystyle 1\,\mathrm{m^2}当たりの費用に、主な仕上げ材、接着材等の副資材、施工する作業の費用を含めると、面積から費用を求めやすくなります。ただし単価に何が含まれるかを確認せず、別途材料費や手間を足すと二重計上になります。「複合」とは、必要な構成要素をまとめた単価であることを表しています。

選択肢4

(4)適当です。所要数量は、設計寸法から求めた完成部分の数量に、材料の切断や加工等に必要な増分を考慮した数量です。木製間仕切下地の材料費を施工手間と分けて計算する場合、材料を実際に用意するための数量が必要なので、材料価格に対応させるのは所要数量です。完成壁の中に残る木材だけを数えると、切れ端などの分を購入できません。どの数量にどの単価を掛けるかを、材料と施工の区分に合わせて考えます。

周辺知識

積算は、図面等から数量を求め、対応する単価を掛け、必要な経費を組み立てて費用を求める作業です。基本形は数量×単価\displaystyle \text{数量}\times\text{単価}ですが、数量と単価の対象が一致していなければ正しい金額になりません。1 m2\displaystyle 1\,\mathrm{m^2}当たりの複合単価に掛けるなら面積、材料1本当たりの価格に掛けるなら必要本数、というように単位も合わせます。
設計数量と所要数量の違いは、工作用の紙で考えると分かりやすくなります。完成品に使う部分の面積が設計数量に相当し、切り抜きの余りを含めて買う紙が所要数量に相当します。ただし実際の積算では、全材料に同じ割合を一律に足すのではなく、基準に従って材料の性質や計測方法を扱います。木取りを工夫すれば余りが減ることもあります。
費用全体では、材料等の直接費だけで現場は運営できません。共用の仮設、現場の管理、会社としての経費も必要です。費用の階層を順番にたどり、数量の計算漏れ、経費の計上漏れ、複合単価と別計上との重複をそれぞれ確認することが、信頼できる見積りにつながります。