学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅰ(計画) 問11
問題・正答・学習用解説
問題
都市計画やまちづくりに関する用語の説明として、最も不適当なものは、次のうちどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。風致地区の根拠は都市計画法であり、歴史まちづくり法ではありません。風致という言葉が両方に登場するため混同しやすいですが、法律と制度の組合せを確かめる必要があります。
風致地区が守る「都市の風致」は、水や緑などの自然的な要素を含む良好な景観です。例えば市街地の近くの緑豊かな丘や水辺で、建物や造成が無秩序に増えると、それまでの景観が失われます。そこで都市計画で地区を定め、条例によって建築、木竹の伐採、宅地造成等に必要な規制を行います。単に名所を紹介する区域や、公園だけを指定する制度ではありません。
一方、歴史まちづくり法は、歴史上価値のある建造物と、そこで受け継がれてきた人々の活動等が一体となる歴史的風致の維持・向上を図る仕組みです。祭礼などの活動と町並みが結び付く場を考えると、自然的な景観に着目する風致地区との違いが分かります。重なり合う地域はあり得ますが、名称に似た語があるから同じ法律の制度というわけではありません。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。区域区分は、市街地として整えていく市街化区域と、市街化を抑える市街化調整区域に分けることです。無秩序に住宅等が広がると、道路や下水道などを効率よく整備しにくくなるため、都市の成長を計画的に扱います。ただし全ての都市計画区域が必ず線引きされるわけではなく、必要に応じて定める点も本肢のとおりです。また、市街化調整区域ならどんな建築も絶対に不可能という意味ではなく、個別の許可要件等があります。
選択肢2
(2)適当です。まちづくり三法は、都市計画、大規模店舗の立地に伴う周辺環境、中心市街地の活性化を組み合わせて扱う法律群の呼び方です。本肢は制定時の法律名を用いてその三つを示しています。大規模小売店舗立地法は、単に小さな店の売上を保護する法律として読むのではなく、交通、騒音等の周辺の生活環境に着目します。中心部を活性化する施策と、郊外を含む立地の調整を別々にせず考えるための枠組みです。
選択肢3
(3)適当です。連担建築物設計制度は、既存建築物を含む複数の敷地を一体的に捉え、合理的な設計のもとで同一敷地にあるものとみなして規制を適用する制度です。敷地境界ごとに個別判断するだけでは難しい有効利用を、区域全体の安全、防火、衛生等を確かめて可能にします。ただし土地の所有権が自動的に一つになる制度でも、規制を全てなくす制度でもありません。既存建物の存在を前提とし、特定行政庁が支障ないと認めることが必要です。
選択肢4
(4)不適当です。風致地区は都市計画法に基づく地域地区です。水や緑を含む良好な自然的景観を維持するため、地区内の建築、造成、樹木の伐採等について条例に基づく規制を行います。歴史まちづくり法に基づくとした部分を訂正します。歴史的な行事や建造物を含むまちの環境を守る制度と、都市の自然的景観を守る制度は、目的が関連していても根拠が異なります。「風致」の二文字だけから法律を選ばないようにします。
周辺知識
まちづくりの制度は、対象の大きさと目的で整理すると理解しやすくなります。区域区分は都市がどこへ広がるかという広い範囲の調整、風致地区は自然的な景観を守る地域の指定、連担建築物設計制度は既存建物を含む複数敷地の具体的な計画を扱います。同じ土地に複数の制度が関わることもあります。
道路や下水道を整えるには長い時間と費用がかかるため、建物を自由に散在させた後で追いかけて整備するより、まとまりを考えることに意味があります。一方、都市内の緑や水辺は、宅地化すると元に戻しにくいため、風致地区等で土地の改変や建築の仕方を調整します。建築物だけではなく、その周辺の空間も都市計画の対象です。
制度の名前を覚える際は、根拠法まで一緒に確認します。都市計画法、建築基準法、景観法、都市緑地法、歴史まちづくり法は、互いに関係しながら異なる道具を用意しています。似た言葉でも同じ制度とは限りません。「何を守るか」「どの範囲を扱うか」「どの法律の手続か」を順に問うと、語句の置換に気付きやすくなります。