学科Ⅰ(計画)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅰ(計画) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
木質系材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。構造用集成材は、ひき板などの繊維方向を互いにほぼ平行にそろえて接着した材料です。隣り合う層の繊維方向を直交させるという本肢の説明は、合板やCLT等の構成と混同しています。
木材は、木が成長した方向に沿う繊維の束のような組織を持ち、繊維に沿う方向と直角方向で強さや伸び縮みが異なります。集成材ではその方向をそろえ、品質を管理した板を組み合わせることで、柱や梁として必要な性能を持つ部材をつくります。ひき板は丸太等からのこぎりで切り出した板で、薄くむいた単板とは材料の形が違います。
小さな板を集成するため、大きな断面や長い部材、曲線形の部材もつくりやすくなります。したがって大スパン、つまり柱と柱の間隔が大きい場所に使用できるという後半は適切です。ただし全ての板の向きを変えて強くする材料ではありません。「原料の大きさ・形」「繊維方向」「主な用途」の三つを比較すれば、集成材、合板、OSB、MDFを整理できます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。構造用集成材のひき板は、基本的に繊維方向を平行にそろえて集成接着します。層ごとに直交させるという部分を訂正します。大断面や湾曲した梁を製作し、大きな空間を支える用途に使えることは適切です。例えば体育館の屋根で、途中の柱を減らしたいときに大断面の集成材梁等が考えられます。CLTはひき板の層を主に直交させる大判の板材なので、同じ「板を接着する」材料でも向きと使い方が異なります。
選択肢2
(2)適当です。合板は薄い単板を重ね、隣り合う主な層の繊維方向を直交させることで、板の二方向に性能を持たせた材料です。JASの特類は、屋外又は常時湿潤となる環境での使用を想定した接着性能の区分です。ただし、接着が水に強いことと、木材が腐朽しないことや、表面防水が不要であることは同じではありません。構造上必要な強度や厚さを選び、雨水の処理や保護も考えるという条件のもとで、本肢の材料説明は適切です。
選択肢3
(3)適当です。OSBは、細長い木片であるストランドの向きを層内でそろえ、その層を主に直交させて接着・成形した板です。細かな木片を無秩序に固めた板とは、方向を整える点が異なります。耐力壁の面材として使うと、柱や土台等と適切に接合されることで、地震や風による横方向の力に抵抗する働きを持ちます。ただし板だけを置けば耐力壁になるわけではなく、材料の等級、厚さ、釘の種類や間隔等を含む構成で性能を確保します。
選択肢4
(4)適当です。MDFは木材等を繊維状にほぐし、接着剤等を用いて板に成形した中密度繊維板です。表面が比較的均質で加工しやすく、家具や下地材等に使われます。また、構造用として必要な性能を持つ製品区分もあり、構造面材に使われる例があります。「MDFは家具専用で構造には一切使えない」とするのは誤りです。一方、家具用の任意の板をそのまま耐力壁に流用できる意味ではなく、用途に適合した製品と工法を選びます。
周辺知識
木質材料は、丸太をどこまで細かくし、どのように再構成するかで性質が変わります。集成材は比較的大きなひき板、合板は薄い単板、OSBは細長い木片、MDFは繊維を原料にします。原料の姿を思い浮かべると、製品名だけの暗記よりも区別しやすくなります。
繊維の向きをそろえる材料は、主にその方向の性能を生かします。向きを交差させて重ねる材料は、板の方向による性質の偏りや伸縮を調整できます。ただし、全ての方向で完全に同じ性質になるわけではありません。積層数、各層の厚さ、接着剤、木の種類なども性能に関係します。
また、構造用、接着性能、防腐、防蟻、表面仕上げは異なる評価です。水で接着層が剥がれにくい板でも、長時間ぬれたままなら木材の耐久性を別に考える必要があります。構造面材では、板の強さだけでなく周囲への接合が力を伝えます。材料の名前を見て万能な性質を想像せず、使用環境と部材の役割に合った性能を確認することが重要です。