学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問25
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、建築物は、いずれも無窓階を有しないものとし、指定可燃物の貯蔵又は取扱いは行わないものとする。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。消火器等は、火災が小さいうちに消火するための設備です。飲食店では客が利用する空間があり、火災時にすぐ初期消火できる備えが重要になるため、消防法令は用途や面積に応じて設置を求めています。
本問の飲食店は延べ面積150m²です。飲食店は、延べ面積150m²以上で消火器又は簡易消火用具の設置対象になります。『以上』は150m²ちょうどを含むため、本問は対象です。したがって、設置しなくてもよいとする選択肢2が誤りになります。無窓階がないことや、指定可燃物を扱わないことは、この用途と面積による義務を消す条件ではありません。
また、飲食店には火を使用する設備・器具に関する別の設置条件もあります。面積が150m²未満なら必ず消火器が不要と覚えるのも不正確です。本問では、その追加条件を検討するまでもなく150m²以上という面積条件に該当します。用途による基本の条件を確認し、地階・無窓階・火気設備などの条件を必要に応じて加えるという順番で判断しましょう。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)正しい記述です。屋内消火栓は、ホースを接続して建物内の火災へ放水する設備です。本問の倉庫では、各階のどの部分からも一つのホース接続口までの水平距離が25m以下となるよう配置します。一つの消火栓を建物の中央へ置くだけでは、遠い端部に届かないことがあるため、平面上の距離を確認します。『階ごと』という条件も重要で、別の階の消火栓が近いことだけでは、その階に必要な配置を満たしたことにはなりません。
選択肢2
(2)誤りです。飲食店の延べ面積150m²は、消火器等の設置対象となる150m²以上に当たります。151m²から必要になるのではなく、150m²ちょうどで既に必要です。無窓階がないという前提は、無窓階に関する追加の条件を外すだけで、飲食店の通常の面積基準を免除しません。問題の条件を一つ満たさないことから設備全体を不要と判断せず、用途・面積から直接該当する設置義務をまず確認することが大切です。
選択肢3
(3)正しい記述です。店舗と共同住宅が、開口部のない耐火構造の壁又は床で完全に区切られている場合、消防用設備等の設置・維持の基準では、区画ごとに別の防火対象物とみなします。防火対象物は、消防法が防火管理や設備を規制する建物等の単位です。火災が相互に広がる経路を耐火構造で遮ることが、この扱いの前提です。防火戸があれば何でもよいのではなく、『開口部がない』『耐火構造』という二条件を正確に確認します。
選択肢4
(4)正しい記述です。本問の大学は、避難口誘導灯を用途だけで必須とする対象には入りません。さらに無窓階がなく、地上5階建てという条件なので、ここで避難口誘導灯の設置義務は生じません。学校は人が集まるから全設備が必須と推測するのではなく、設備ごとに列挙された用途や階の条件を確認します。誘導灯が不要という結論は、消火器や他の設備、建築基準法上の避難経路まで不要という意味ではありません。
周辺知識
消防用設備は、火災を発見する設備、知らせる設備、消す設備、避難を助ける設備などに分かれます。自動火災報知設備は火災を感知して知らせ、消火器や屋内消火栓は消火に使い、避難口誘導灯は出口の位置を示します。目的が違うため、ある建物に一つの設備が必要だから、残りもすべて必要とは限りません。用途、面積、階数などを設備ごとに確認します。
無窓階は、単に窓が全くない階だけを意味するわけではありません。避難や消防活動に使える開口部が十分でない階も、所定の基準により無窓階と扱われます。そのような階は煙がこもりやすく、外からの救助も難しいため、設備の基準が厳しくなる場合があります。本問は無窓階を除いているので、通常の用途・規模の条件に集中して判断できます。
建築基準法の防火区画と、消防法令の別の防火対象物とみなす区画も区別しましょう。前者の区画があるから、必ず消防設備の面積を別々に計算できるわけではありません。本問のように、開口部のない耐火構造の壁・床で区切るという条件が必要です。似た名称でも、どの法律の何の計算に効く区画かを確かめます。