学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、特定行政庁の許可は考慮しないものとする。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。一団地の認定は、複数の建物を総合的に配置し、安全、防火、衛生上支障がないと認められる場合、一定の規定について土地のまとまりを一つの敷地として扱う制度です。例えば、建物同士の間に十分な空地を配置し、敷地ごとに別々に計算するより合理的に全体の環境を確保することを考えます。
ただし、一つの敷地として扱える規定は法律に列挙されており、あらゆる規定に広がるわけではありません。建築基準法48条の用途地域による用途制限は、その対象に含まれていません。したがって、認定を受けたことを理由に、用途制限まで一団地全体を一つの敷地として適用するという選択肢1は誤りです。
例えば、認定の区域が異なる用途地域にまたがっているとき、認定を受けたから団地全体で多いほうの用途地域の使い道へ統一できる、とは判断できません。配置や空間の条件をまとめて評価することと、まちの土地利用を定める用途制限を変更することは別です。制度の名前から『一切が一敷地扱いになる』と広げず、特例の対象として挙げられた規定を確認します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)誤りです。法86条の認定で一団地を一敷地とみなすのは、接道、容積率、高さ制限など、列挙された特例対象規定についてです。法48条の用途地域による用途制限は含まれません。建物の間隔や全体配置をまとめて安全に計画できることから、禁止される使い道まで認める制度ではないためです。『一の敷地とみなす』という文言だけを切り出さず、その直前に並ぶ、どの規定の適用についての特例かを確認する必要があります。
選択肢2
(2)正しい記述です。建築協定は、地域の土地所有者等が合意し、敷地、用途、形態などについて建築のルールを定める制度です。市町村の条例などの所定の条件の下で、都市計画区域や準都市計画区域の外でも締結されることがあります。都市計画として行政が一方的に区域を指定する制度とは異なるため、都市計画区域内だけに限定されません。住民等が地域の環境を守るための合意を、法定の認可を受けて継続的に機能させる仕組みです。
選択肢3
(3)正しい記述です。低層住居専用地域で都市計画上の高さ限度が10mであっても、政令所定の敷地規模と空地を確保し、良好な住環境を害するおそれがないと特定行政庁が認める場合は、12mとできます。周囲へ十分な空間を確保することで、少し高くしても環境を保てる場合を扱います。自分で『広い庭がある』と判断するだけではなく、所定の規模・空地の条件と行政庁の認定が必要です。本問の『許可を考慮しない』条件とも区別される制度です。
選択肢4
(4)正しい記述です。ホテルは建物に不慣れな人が就寝する用途なので、停電や火災時にも避難に必要な明るさを確保することが重要です。本問は避難階が1階で、宿泊室が3階以上、かつ30m²超なので、所定の小さな室等についての免除を使えず、非常用照明が必要です。採光窓があっても、夜間や停電時の避難経路を照らすことはできません。昼の自然光を取り入れる採光と、非常時の照明は目的が違うので、一方で他方を代替できるとは限りません。
周辺知識
法規の特例では、『認定』『許可』『協定』などの制度の違いが問われます。認定は、所定の条件に適合すると行政庁等が認める手続です。許可は、原則として制限される行為を、定められた条件の下で例外として認める手続です。建築協定は、土地所有者等の合意に基づく地域のルールを、法定の手続で成立させるものです。似た手続名でも、成立の仕方と効果が違います。
一団地の認定は、建物の配置をまとめて計画する利点を、限定された規定について認める制度です。広い中庭や通路を共有して全体の環境を確保することはできても、用途地域が認めない用途を自由に置ける制度ではありません。『特例の対象外』であることと、『その特例を使っても条件を満たさない』ことも区別しましょう。
設備の免除も同じ考え方です。ホテルの非常用照明では、部屋の大きさや避難階からの位置など、定められた条件を満たした場合に限って免除を検討できます。窓があるから明るいという日常感覚だけで判断しません。特例を見つけたら、その目的、対象、必要条件、効果の範囲の順に読み、本問の条件が全て当てはまるかを確認します。