学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問10
問題・正答・学習用解説
問題
建築設備に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、エレベーター及びエスカレーターは、所定の特殊な構造又は使用形態のものを除くものとする。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は4です。エスカレーターの踏段は、人が乗る階段状の部分です。強度を確かめる際には、人が乗ることによる荷重を小さく見積もると危険なので、踏段面の水平投影面積1m²当たり2,600N以上の積載荷重を採用します。水平投影面積は、斜めのエスカレーターを真上から見たときの面積です。
本問の面積は13m²なので、必要な積載荷重は次のとおりです。
1kNは1,000Nなので、33,800Nは33.8kNとなります。選択肢の33kNは33,000Nに相当し、必要値より800N、すなわち0.8kN小さいため、採用できません。
この値は、現在たまたま乗っている人数から計算する荷重ではなく、設計で最低限見込まなければならない荷重です。空いている時間帯が多いことを理由に減らすことはできません。また、33.8を33へ切り捨てると安全側ではなく、必要な強度を小さくする側に働きます。単位をそろえて計算し、『以上』という最低値の条件を最後まで守ることが重要です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)正しい記述です。非常用エレベーターの乗降ロビーは、消防隊が活動する場所であり、煙が昇降路へ入り込むことを防ぐ役割も担います。通常はバルコニーを設ける規定がありますが、所定の構造方法又は大臣認定によって煙の流入を有効に防止できる場合は、バルコニーを省略できます。見た目として必ず屋外の床を設けることだけが目的ではなく、火災時にも利用できる防煙上の機能を確保することが目的だからです。
選択肢2
(2)正しい記述です。中央管理室は、火災時に設備の状態を把握して操作する拠点です。排煙設備については作動状態の監視と制御ができ、非常用エレベーターについてはかごを呼び戻す装置を操作できる必要があります。呼戻しは、通常の利用者の操作を停止させ、かごを避難階等へ戻すための機能です。設備が建物の各所に分散していても、管理側が状況を確認し、消防活動へ切り替えられるようにする仕組みです。
選択肢3
(3)正しい記述です。令和6年度の出題時点では、放流水の大腸菌群数は3,000以下です。また、衛生上特に支障があるとして指定された区域で処理対象400人なら、51〜500人の区分に入り、BOD除去率70%以上、放流水BOD以下となります。BODは、水中の汚れを微生物が分解するときに必要な酸素の量で、一般に大きいほど有機物による汚れが多いことを示します。区域、人員、三つの性能値を対応させた記述です。
選択肢4
(4)誤りです。積載荷重は、2,600に水平投影面積13m²を掛けて33,800N、つまり33.8kN以上です。33kNでは0.8kN不足します。『k』は1,000倍を表すので、NからkNへ直すときは1,000で割ります。計算結果を整数に丸めるとしても、最低値以上を確保する必要があるため33へ切り下げることはできません。使う式、面積の種類、力の単位、最低値以上かという四つの段階で確認しましょう。
周辺知識
設備の基準は、装置の形だけでなく、何が起きたときに何をするかを読むと理解できます。非常用エレベーターでは、煙を入れない、火災時にかごを呼び戻す、停電時にも所定の機能を確保するなど、複数の条件が組み合わさります。ロビーのバルコニー省略は、防煙上の機能を別の所定方法で確保できる場合の緩和です。単にスペースが足りないという理由だけでは使えません。
浄化槽のBODには、除去率と放流水の濃度という二つの見方があります。除去率70%とは、例えば流入水のBODがで放流水がなら、差の140を200で割って70%という意味です。流入水が非常に汚れていれば、同じ除去率でも放流水がまだ汚れている場合があるため、最終的な濃度の上限も併せて定めます。
法令の年度にも注意します。大腸菌に関する浄化槽の基準は令和7年4月に指標が改められていますが、この問題は令和6年度の規定で判断します。現在の資料の数値だけを過去問へ上書きせず、出題時点の条件を使うことが必要です。計算問題でも制度の問題でも、どの基準を適用するかを最初に確定させます。