学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問9
問題・正答・学習用解説
問題
次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は2です。屋外避難階段は、火災時に建物の外側を通って地上へ逃げるための階段です。屋外にあるため煙がこもりにくい利点がありますが、室内の火災が階段への出入口から噴き出せば、その階段を使う人が危険にさらされます。そこで、屋内から屋外避難階段へ通じる出入口には、所定の防火設備を設けて階段を火災から守ります。
ここで必要な遮炎性能は、通常の火災の火熱を受けたとき、加熱開始から20分間、反対側へ火炎を出さないことです。遮炎とは文字どおり炎を遮る性能であり、戸を閉めたときに室内の火炎が階段側へ通り抜けないようにする働きです。本問は10分間としているため、要求される20分に達していません。
10分間でもある程度耐えられるという感覚ではなく、法定の時間以上であることが必要です。避難の開始が遅れたり、上階から多くの人が降りてきたりすることを考えると、火災の初期だけ出入口を守れば十分とはいえません。屋外階段だから戸の性能を低くできる、と考えないことが判断の要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適合します。窓のない居室には、原則として周囲の主要構造部に防火上の措置を求めますが、寝室等を除く床面積30m²以内の居室で、所定の自動火災報知設備を設けた建物の居室には緩和があります。本問のシアタールームは就寝用ではなく30m²ちょうどなので、この方法を使えます。火災を早く知らせて逃げ始める時間を確保する考え方です。単独の住宅用火災警報器を付けることと、ここでいう所定の自動火災報知設備を設けることは同じではありません。
選択肢2
(2)適合しません。屋外避難階段への出入口には、原則として20分間、加熱していない側へ炎を出さない防火設備が必要です。本問の10分間では、その半分しか性能を示していません。防火設備は、単に金属製の戸を置けばよいものではなく、戸本体や枠などを含む構造として所定の性能を満たす必要があります。屋内の火炎から避難階段を守るための戸なので、日常の出入りのしやすさとは別に、火災時の働きを確認します。
選択肢3
(3)適合します。内装制限は、室内の壁や天井を燃え広がりにくい材料で仕上げ、煙や熱の急増を抑える規定です。本問は耐火建築物である2階建て映画館で、客席合計500m²の壁・天井を難燃材料で仕上げており、当該客席の内装の基準を満たします。3階以上に居室がある場合の天井の扱いを、2階建てへそのまま当てはめないようにします。また、客席の内装と、客席から地上へ通じる避難通路の内装は別に確認する必要があります。
選択肢4
(4)適合します。自動車車庫は、車両や燃料などによる火災の危険に配慮し、その用途部分の壁・天井の内装を準不燃材料等とする規定があります。平家で延べ面積200m²という小さめの建物でも、車庫という用途による内装制限を見落としてはいけません。本問は準不燃材料で仕上げるので適合します。耐火建築物かどうかという建物全体の構造と、表面の仕上げ材に必要な燃えにくさは、異なる確認事項です。
周辺知識
火災対策を読むときは、構造部、仕上げ材、出入口の設備を分けて考えましょう。耐火構造は、壁・柱・床などが火災を受けても所定の働きを保つ構造です。内装材料の不燃・準不燃・難燃という区分は、室内表面から火災が拡大することなどを抑える材料の性能です。防火設備は、壁の開口部に設ける戸などで火炎の通過を防ぎます。名称に『火』や『燃』が入っていても、同じものを評価しているわけではありません。
内装は、居室より避難通路のほうが厳しい仕上げを要求される場合があります。人がいる部屋から出られても、その先の廊下や階段が燃えてしまえば避難できないためです。本問の映画館の客席を難燃材料で仕上げられることから、すべての廊下や階段も難燃材料で十分とは判断できません。
また、法令には原則の構造を使う方法のほか、設備を組み合わせて安全を確保する方法があります。無窓居室の自動火災報知設備は、その例です。早期に火災を発見して逃げ始める時間を確保することで、所定条件の下で別の構造制限を緩和します。緩和を使うときも、対象の用途・面積と必要な設備条件を一緒に確認します。