学科Ⅲ(法規)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問8
問題・正答・学習用解説
問題
避難施設等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は1です。非常用の進入口は、消防隊が外から建物に入り、救助や消火活動をするための入口です。設置が必要な場合、道路又は道路に通じる幅4m以上の通路などに面する各階の外壁に設け、進入口同士の間隔を40m以下にします。ここで規定されているのは『進入口の間隔』です。
選択肢1は、これを『外壁面の長さ40m以内ごと』に設けると述べています。外壁全体を長さ40mずつに区分し、各区分に一律に入口を置くという規定ではありません。消防隊が近づける道路等に面する外壁を対象とし、そこに設ける進入口間の間隔を確認します。40という数値自体を30や10へ直せばよい問題ではないことに注意してください。
なお、非常用の進入口を設ける代わりに、所定の大きさで外から入れる窓等を設ける方法があります。その場合に用いるのが、対象となる外壁面の長さ10m以内ごとという基準です。専用の進入口の『間隔40m以下』と、代替となる窓等の『外壁面の長さ10m以内ごと』では、数値だけでなく規定の表し方も違うことが本問の要点です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)誤りです。専用の非常用進入口は、道路等に面する所定の外壁に設け、入口同士の間隔を40m以下とします。『外壁面の長さ40m以内ごと』に一律に設けるという記述とは異なります。特に、外壁を単純に40mずつ分割して各区分へ設けると読むのは適切ではありません。代替となる窓等については、外壁面の長さ10m以内ごとという別の規定があります。入口の種類、設置する外壁の条件、距離の表現の三点を対応させて読み取ります。
選択肢2
(2)正しい記述です。特別避難階段は、屋内と階段室の間に付室やバルコニーを置き、煙が階段へ入ることを抑えます。高層階では避難に時間がかかるため、階段室と付室等に一定の面積を確保します。本問のホテルでは、15階以上の各階について居室床面積の合計の3%以上です。例えば居室が合計600m²なら必要面積は18m²以上になります。多人数が集まる一定の用途の8%という値を、ホテルへそのまま適用しないようにします。
選択肢3
(3)正しい記述です。二つ以上の直通階段は、一つが煙や火で使えなくても別の経路を確保するためのものです。本問の耐火構造の共同住宅では、各階の居室床面積が200m²を超えるかが、この規定の判断点になります。与えられた面積は200m²ちょうどで、200m²超には当たりません。また地上5階建てなので、より上層の階についての別の条件もここでは生じません。この二直通階段の規定によって、二つの階段を設けることまでは要求されません。
選択肢4
(4)正しい記述です。集会場から大勢が避難するとき、出口の戸が内開きだと、後ろから押されている人が戸を手前に引けなくなるおそれがあります。そのため客用の屋外出口を内開きにしません。また、屋外へ出た後も道や公園等まで通れるよう、敷地内に幅1.5m以上の通路を確保します。本問は延べ面積1,200m²なので、小規模建物についての幅90cmの扱いには入りません。建物の出口だけでなく、その先の安全な場所まで避難経路を連続させます。
周辺知識
避難に関する設備は、利用者が外へ逃げるためのものと、消防隊が中へ入るためのものを区別しましょう。直通階段、屋外出口、敷地内通路は主に前者、非常用の進入口は後者です。非常用進入口があっても、利用者が安全に降りられる階段の代わりにはなりません。逆に、避難階段があっても、外から救助に入るための入口の要件が自動的に満たされるわけではありません。
直通階段は避難階まで連続する階段です。避難階は直接地上へ出られる階で、必ずしも1階とは限りません。避難階段は壁や戸等で火災から守る構造を備え、特別避難階段では付室やバルコニーを挟んで煙の侵入を抑えます。階段の数と、階段そのものの防火・防煙構造は別々に確認します。
法規の距離表現にも注意が必要です。『間隔が40m以下』は配置した入口相互の間隔を制限し、『外壁面の長さ10m以内ごと』は所定の外壁の長さに応じて代替窓等を配置する規定です。数値だけを抜き出すと両者を混同します。何と何の距離か、何の長さを区分するかまで文章のまま確認することが、正確な判断につながります。