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学科Ⅲ(法規)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅲ(法規) 問7

問題・正答・学習用解説

問題

次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    準防火地域内における共同住宅の屋根の構造は、市街地における通常の火災による火の粉により、防火上有害な発炎をしないものであり、かつ、屋内に達する防火上有害な溶融、亀裂その他の損傷を生じないものでなければならない。
  2. (2)
    耐火構造の耐力壁と準耐火構造の耐力壁は、いずれも、通常の火災による火熱がそれぞれについて定められた時間加えられた場合に、加熱終了後も構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものでなければならない。
  3. (3)
    防火構造として、建築物の軒裏の構造は、軒裏に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものでなければならない。
  4. (4)
    準防火性能に関する技術的基準に適合する構造として、建築物の耐力壁以外の外壁の構造は、外壁に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものでなければならない。

正答と解説

正答:(2)

正答の考え方

正解は2です。耐力壁は、建物の重さや地震・風の力を支える役割を持つ壁です。火災でこの壁が変形したり壊れたりすると、建物を支えられなくなるおそれがあります。このため、耐火構造と準耐火構造には、定められた火熱を受けても支障のある損傷を生じない性能が求められます。ただし、性能を保つべき時間の考え方が同じではありません。
耐火構造では、所定の加熱を受けた後、加熱が終了した後も含めて、構造耐力上の支障を生じないことが必要です。火が弱まっても、部材の内部に熱が残り、変形や強度低下が進むことがあるためです。これに対し、準耐火構造の規定は所定の加熱時間について性能を求めるもので、耐火構造と同じように加熱終了後までの性能を要求する内容ではありません。
選択肢2は、両者に『加熱終了後も』という同一の条件を課した点が誤りです。耐火と準耐火の差を、単に耐える時間の長短だけで覚えると、この加熱後の扱いを見落とします。火災中の安全と、火災が収まった後まで支え続ける性能の違いを理解しましょう。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)正しい記述です。準防火地域では、周囲の建物が燃えたときに飛んでくる火の粉への対策が必要です。屋根が火の粉によって有害に燃え出さないことに加え、溶けたり割れたりして火が屋内へ届くような損傷を起こさないことが求められます。表面が燃えない材料であっても、熱で穴が開けば内部へ火が入り得ます。このため、『発炎しない』ことと『屋内に達する有害な損傷を生じない』ことの両方を確認する記述は正しい内容です。

選択肢2

(2)誤りです。耐火構造の耐力壁は、加熱が終わった後も建物を支える性能が失われないことを求められます。一方、準耐火構造は所定の加熱時間に対する性能を定めており、加熱終了後までを耐火構造と同じ条件にする規定ではありません。火災で熱せられた壁は、炎が消えてもすぐ冷えるわけではないため、加熱後の安全を含むかどうかには意味があります。『いずれも』とまとめたことで、この二つの構造の違いを消してしまった記述です。

選択肢3

(3)正しい記述です。軒裏は、屋根が外壁から張り出した部分の下面です。隣家からの火熱が当たると、そこを通じて屋根の内部へ火災が及ぶおそれがあります。防火構造の軒裏には、加熱開始から30分間、屋内側の面を可燃物が燃え始める温度以上にしない遮熱性能が求められます。これは『材料自体が燃えない』という説明だけでは足りません。裏側へ熱を伝えすぎず、内部の木材などが熱によって燃え始めることを抑える性能です。

選択肢4

(4)正しい記述です。準防火性能に適合する非耐力外壁では、周囲の火災による加熱に対し、20分間の遮熱性能が求められます。非耐力外壁は、建物の主要な荷重を支える役割を持たない外壁ですが、外から火が入ることを抑える役割はあります。支える役割がないから防火性能も不要ということではありません。防火構造の30分と、ここでいう準防火性能の20分は別の区分なので、名称と要求時間を対応させて判断します。

周辺知識

火に対する性能は、三つの働きに分けると整理できます。非損傷性は、壁や柱などが大きく変形・破壊せず、その役割を保つことです。遮熱性は、火に接していない側へ熱が伝わりすぎることを防ぐことです。遮炎性は、炎が反対側へ通り抜けることを防ぐことです。例えば金属の板は炎を通さなくても熱をよく伝えるので、遮炎できることと遮熱できることは同じではありません。
どの性能が必要かは、部位の役割によって違います。荷重を支える壁には支え続ける性能が重要で、室内を守る外壁には熱や炎を内部へ通さない性能が重要です。また、屋根に飛来する火の粉と、壁に直接加わる火災の熱では、想定する危険のかかり方も違います。
『耐火構造』『準耐火構造』『防火構造』『準防火性能』は、同じ試験時間を少しずつ変えただけの名称ではありません。想定する火災、対象の部位、守る性能、加熱後まで評価するかを組み合わせて定義されます。本問では、耐火と準耐火の加熱後の違い、防火構造の30分、準防火性能の20分を、それぞれの目的とともに確認することが大切です。