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学科Ⅱ(環境・設備)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問16

問題・正答・学習用解説

問題

電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    特別高圧受電となる超高層ビルにおいて、電力供給の信頼度を高めたい場合には、一般に、2 回線受電方式やスポットネットワーク方式を採用する。
  2. (2)
    大規模な商業施設において、非常用の照明装置の予備電源には、経済性や保守性に配慮する場合、一般に、電源別置型を採用する。
  3. (3)
    中小規模の事務所ビルにおいて、照明・コンセント用幹線の配電方式には、一般に、単相3 線式100 V/200 Vを採用する。
  4. (4)
    低圧受電となる戸建て住宅において、接地端子付きのコンセントの接地工事には、一般に、A種接地工事を採用する。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

正解は(4)です。戸建て住宅の低圧の接地端子付きコンセントに用いるのは、一般にD種接地工事です。A種は高圧・特別高圧の機器などに用いる区分で、用途を取り違えています。
接地は、機器の金属部分などを大地へつなぎ、絶縁が壊れて漏電したときの危険を抑えるための設備です。洗濯機などのアース線がその身近な例です。普段は外側の金属部分へ電流が流れないよう絶縁されていますが、故障で内部の電線が金属へ触れることがあります。接地は、その状態で人が触れたときの危険を抑え、保護装置が適切に働くようにする役割を持ちます。
接地工事のA・B・C・Dは、単純に上等・下等を並べた品質ランクではなく、電圧や設備の用途に応じた区分です。住宅の一般的な100V・200Vのコンセントへ、名前が立派だからA種を使うという判断にはなりません。本問は供給方式や電源の配置など複数の分類を扱っていますが、それぞれ何を目的とする分類かを読み分けることが大切です。

各選択肢の解説

選択肢1

(1)適当です。2回線受電は、電力を受ける経路を複数用意し、一方の事故や停止に対して別経路を使えるようにする方式です。スポットネットワーク方式も、複数の配電線と変圧器を組み合わせて信頼性を高めます。多数の人や重要設備を抱える超高層ビルでは、一つの故障で全ての電力を失う影響が大きいため、供給経路の冗長性が重要です。ただし系統が同じ災害の影響を受ける可能性は残り、複数回線が非常用発電機などの全ての代わりになるわけではありません。

選択肢2

(2)適当です。電源別置型は、非常用照明の予備電源を器具ごとに内蔵せず、別の場所へまとめて設ける方式です。大規模商業施設で照明が多数あれば、各器具の電池を個別交換・点検するより、まとめて管理する方が経済性や保守性で有利な場合があります。一方で、電源から各器具までの配線の確実性も必要です。電池内蔵型は各器具で独立しやすいという特徴があり、どちらが常に優れているという問題ではありません。規模と維持管理方法に合わせて選びます。

選択肢3

(3)適当です。単相3線式は、二つの電圧線と中性線を使い、中性線とそれぞれの電圧線の間で100V、二つの電圧線の間で200Vを取り出せる方式です。照明や一般コンセントに100Vを使い、対応する機器に200Vを使えるため、中小規模事務所などに適します。同じ電力なら、電圧を高くすると必要電流を小さくできる利点もあります。三本の線だから三相という意味ではありません。線の本数と、交流の位相がいくつあるかは別の分類です。

選択肢4

(4)不適当です。住宅の一般的な低圧コンセントの接地はD種です。A種は高圧・特別高圧の機器の外箱などに用いるので、住宅用コンセントの一般的な区分ではありません。接地端子は機器のアース線を接続するためのもので、電流を通常使う二つの差込口とは役割が違います。接地があるから絶縁や漏電遮断器が不要になるわけでもなく、複数の保護を組み合わせます。Aという名称を最高級の意味に捉えず、対象電圧と設備の用途で工事の種類を対応させます。

周辺知識

電気設備では、電源が途切れにくいことと、故障時に人を危険へさらさないことの両方を計画します。複数回線やスポットネットワークは供給継続の信頼性に関係し、非常用照明の予備電源は停電時にも必要な光を確保します。接地は、絶縁不良などが起きたときの感電などの危険を抑える側の対策です。同じ安全対策でも対象が異なります。
単相3線式では、100Vの負荷を二つの側へ適切に分け、偏りを小さくすることが重要です。中性線は電圧を安定して取り出すための電路の一部で、接地線と同じ線ではありません。「大地につながることがあるから同じ」と考えないようにします。
電源別置型は電池を集中管理しやすい一方、電源や配線を共用するため、その共通部分の故障を考慮します。電池内蔵型は独立性がある一方、台数が多いと各電池の点検交換の負担が増えます。設備方式を選ぶ問題では、単体の機器が優れているかだけでなく、建物の規模、使い続けるための点検、故障の影響範囲を並べて比較すると、各選択肢の理由を説明できます。