学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問17
問題・正答・学習用解説
問題
電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。出題時点の低圧の区分は、交流600V以下、直流750V以下です。交流の上限を750Vとした記述は、直流の数値との取り違えです。
交流は電圧や電流の向きが周期的に変わり、家庭へ供給される電気などに使われます。直流は向きが一定で、電池や太陽電池の出力などが身近な例です。電圧の高低の区分は、電気設備に必要な保護や取扱いを決める基礎となるため、交流か直流かを先に確認します。「家庭の100Vより高いから高圧」という日常的な印象で決めるものではありません。
境目も重要です。交流600Vは低圧に含まれ、600Vを超えるものは低圧の範囲を外れます。一方、750Vという数値は直流の低圧の上限です。同じ数字でも交流・直流の条件が変われば区分が変わるため、数値だけを切り離して覚えないことが大切です。なお、低圧という名称は人が触れても安全という意味ではありません。本問は電圧の法的な区分を、出題時点の基準に沿って正確に対応させる問題です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。交流の低圧は600V以下であり、750V以下ではありません。750V以下は直流の区分です。交流と直流を左右の欄に分け、交流600・直流750と組で整理すると取り違えを防げます。「以下」なので境界の600Vまたは750Vをそれぞれ含むことも確認します。家庭の100V・200Vが低圧に属することは身近な例ですが、低圧という言葉は危険が小さく対策不要という意味ではありません。設備の分類と人体への危険の有無を別に考えます。
選択肢2
(2)適当です。電動機などでは、磁界を作るため電圧より電流の位相が遅れ、実際の仕事をする有効電力に対して多くの電流が必要になることがあります。進相コンデンサは逆向きの無効電力を補い、力率を改善します。力率は有効電力を皮相電力で割った比です。例えば有効電力100Wに対して皮相電力125VAなら0.8で、改善すると同じ100Wをより少ない電流で送れます。コンデンサが負荷の仕事そのものを無くすのではなく、電流の余分な往復を減らす考え方です。
選択肢3
(3)適当です。ディーゼル機関はピストンが往復する運動を回転へ変えるため振動が生じやすいのに対し、ガスタービンは連続した回転を基本とし、同じ出力では振動や設置面積を小さくしやすい方式です。一方で大量の空気を圧縮して燃焼・膨張させるため、燃焼用空気量は多く必要になります。機械を小さくできても、吸気・排気のための開口や経路まで小さくできるとは限りません。本体の寸法と、運転に必要な空気の量を分けて機械室を計画します。
選択肢4
(4)適当です。直接埋設式は、電線を所定の保護の下で地中へ埋める方式です。車両が通る場所では、地表からの荷重や掘削などの影響を受けるため、原則として土被り120cm以上を確保します。土被りは、埋設物の上端から地表までを覆う土の厚さです。穴の底の深さとそのまま同じとは限りません。車両が通らない場所や別の保護方式とは条件が違うため、「地中の電線はどこでも120cm」と一般化せず、埋設方法と地表の使われ方を確認します。
周辺知識
電気で使うW、VA、varは、同じ電力に関わっていても意味が違います。Wは実際に熱や動力などとして仕事をする有効電力、VAは電圧と電流から求める皮相電力、varは磁界などとの間を行き来する無効電力です。力率は で、 が有効電力、 が皮相電力です。
単相では と表せます。 が力率で、電圧と必要な有効電力が同じなら、力率が低いほど電流が大きくなります。進相コンデンサで力率を改善すると、配線の電流や損失を抑えやすくなります。ただし負荷の使い方や過剰な補償にも配慮が必要で、ただ大きなコンデンサを付ければよいわけではありません。
設備の数値問題では、電圧の種別は交流・直流、埋設深さは車両の有無・工法という前提条件が付いています。ガスタービンの特徴も、本体の大きさと吸排気量という異なる項目を比較しています。一つの性能が有利だから他の全ても有利という推測を避け、項目ごとの因果関係を整理します。