学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問14
問題・正答・学習用解説
問題
給水・給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
正解は(1)です。節水器具を使用する一般的な事務所の設計用給水量として、一人一日120〜150Lは大きすぎる値です。一般に40〜60L程度などを目安に、実際の器具や使用条件を加味して計画します。
給水量は建物の用途で変わります。住宅では入浴や洗濯などにも水を使いますが、事務所では在勤中の便器洗浄、手洗い、飲用などが中心です。節水型の便器や水栓を使えば、同じ人数でも一回当たりの使用量が減ります。したがって、一人当たりという単位が同じでも、住宅や宿泊施設などの値を事務所へそのまま当てはめることはできません。
設計では、在勤者数だけでなく、来客、食堂の有無、清掃、冷却設備など、水を使う項目と算定範囲を確認します。人数に対する基本量と、別途計上する用途を二重に数えないことも必要です。本問は「節水器具」「事務所」「在勤者一人当たり」という条件に合う目安かを問うています。多めなら常に安全という考え方ではなく、用途に合う見積りで水槽やポンプを適切に計画します。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)不適当です。一般的な節水器具を使う事務所では、一人一日の給水量は40〜60L程度などを基に計画し、120〜150Lは過大な目安です。便器洗浄や手洗いが中心の在勤者の利用と、入浴・洗濯まである暮らしの利用では水量が違います。例えば100人在勤で50Lなら一日5,000Lです。120Lで見積もると12,000Lになり、水槽などの計画へ大きく影響します。実際の値は器具と用途を確認して決めますが、本肢の条件でその大きな値を一般化するのは誤りです。
選択肢2
(2)適当です。事務所では便器洗浄など、飲める水質までは求めない用途の割合が大きいため、飲用水30〜40%、雑用水60〜70%程度という使用量の比率で計画できます。系統を分ければ、処理した再利用水などを雑用水へ使い、上水の使用を減らせます。飲用水が少ないのは人が飲む量だけを意味するのでなく、手洗いや給湯など飲用系で扱う用途を含めた計画です。雑用水を飲料水の管へ直接つながないこと、用途に合う水質を確保することが前提です。
選択肢3
(3)適当です。給湯機の1号は、毎分1Lの水の温度を25℃上げる能力です。例えば20号なら、温度差25℃で毎分20Lを温める能力になります。給湯に必要な熱は水量と温度上昇の積に比例するので、同じ機器で温度上昇を2倍にすれば、出せる湯量は概ね半分です。冬の冷たい水を同じ給湯温度まで上げると、夏より出せる量が減る理由もこれで分かります。号数は湯の温度そのものやタンク容量ではなく、連続して水を温める速さを表す数値です。
選択肢4
(4)適当です。循環式の中央給湯では、湯を貯湯槽と配管で循環させ、各所ですぐ使えるようにします。レジオネラ属菌の増殖を抑えるため、貯湯槽内は60℃以上を維持する必要があります。ただし槽だけ高温でも、循環配管の一部がぬるく滞留すれば管理上の問題が残るため、末端や返湯の温度も重要です。貯える温度と人が実際に使う温度は別で、使用時には適切に混合して扱います。衛生のための温度管理と、利用時の安全性の両方を計画します。
周辺知識
給水・給湯の計算では、L、、、kWなど、数値が何の量を表すかを最初に確認します。Lは水量、は一日の使用量、は流れる速さです。受水槽の容量と、短時間に蛇口へ送るためのポンプ能力は同じ数値だけでは決められません。一日の平均使用量が少なくても、休憩時間に同時使用が集中する場合があります。
給湯の必要な熱は という関係で、水量と温度差に比例します。1Lの水を約1kg、水の比熱を約とすれば、1号の熱出力の目安は です。1分を60秒へ直すことで、毎秒の熱の速さであるkWになります。実際の燃料消費には機器効率も関係します。
水槽や配管を大きくしすぎると、設置場所や費用だけでなく、水の入れ替わりや温度維持にも影響します。節水器具を用いるなら、それに合う使用量を見積もり、飲用水と雑用水の用途を分けます。給湯では、衛生のため高温を維持する部分と、利用者へ適温で届ける部分を分けて考えることが大切です。