学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問11
問題・正答・学習用解説
問題
図のような空気調和設備の方式A及びBに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、空調機、外調機及びターミナル空調機には、それぞれ、冷温水コイルは1 つのみ設置されている。
選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
正解は(4)です。方式Aにも、外気を取り入れて室内へ送る経路があるため、外気の温湿度が適していれば外気冷房ができます。方式Aではできないという断定が不適当です。
原図でOAは外気ダクト、SAは室内へ送る給気ダクト、RAは室内から戻る還気ダクトです。方式Aでは、各ゾーンの空調機へOAとRAが入り、処理後にSAとして室内へ戻ります。室内に冷房が必要で外気が十分に涼しく乾いている場合、このOAの割合を増やして室内の熱を外気で運び出せます。外調機という独立した装置がないことは、外気を使えないことを意味しません。
方式Bは外調機で外気を先に処理し、その後に各ゾーンのターミナル空調機で室の負荷を処理する構成です。こちらでも外気条件を利用できます。AとBの大きな違いは、外気処理と各室の温度調整を別のコイルで行えるかです。図に機器名があるかどうかで可否を決めず、矢印に沿って外気がどこから入り、どこへ届くかを追うことが大切です。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。図の黒い三角形は変風量装置で、必要な冷暖房量が小さいときに給気風量を減らせます。同じ温度の空気を送る場合、風量を減らせば部屋へ運ぶ熱の量も減ります。送風機の制御と組み合わせれば空気を運ぶ動力も低減できます。AとBの両方にこの装置が描かれているため、両方式で可能です。負荷は、室を目標温度に保つために取り除いたり補ったりする熱の量です。人や機器、日射が減っても最大風量で送り続ける無駄を抑えます。
選択肢2
(2)適当です。冷暖房の負荷が小さくなったときに全体の送風量を減らすと、外気が一定割合で混ざる方式では、取り入れる新鮮な外気量も減ることがあります。しかし二酸化炭素などを薄めるのに必要な外気は、室温を調整する熱負荷とは別に決まります。涼しい季節でも人が多ければ十分な換気が必要です。A・Bとも、低負荷時に必要な外気量を確保する制御が重要です。温度が目標どおりだから空気の質も良好、と判断しないことがポイントです。
選択肢3
(3)適当です。方式Aは各空調機の冷温水コイルが一つなので、温度調整と除湿を同じコイルで行います。室温に合わせて冷却を弱めると除湿も弱まり、湿度だけを細かく調整しにくい面があります。方式Bは外調機で外気の湿分を処理し、ターミナル空調機で各ゾーンの温度を調整できるため、二つの役割を分けやすくなります。問題が「コイルは一つのみ」と指定するのは、Aに別の除湿・再熱機能を勝手に加えて比較しないためです。図と付記の両方に意味があります。
選択肢4
(4)不適当です。方式Aの各空調機の左側にはOAの矢印があり、外気が空調機を通ってSAから室へ届く構成です。外気が室内より冷房に適した状態なら、その経路で外気冷房を行えます。方式Bだけが外気冷房可能という区別は成立しません。Bに外調機が描かれていることから、外気を使う機能がBにしかないと思い込むと誤ります。外調機は外気を専用に処理する装置であり、外調機がない空調機でも外気取入れ経路を持つ場合があります。
周辺知識
空調の図は、機器の名前より先に空気の経路を読むと整理できます。OAは外から取り入れる空気、RAは室から戻る空気、SAは処理して室へ送る空気です。室へ送った空気の全てを外へ捨てるとは限らず、一部を還気として再使用し、必要な外気を混ぜる方式があります。外気は新鮮な空気の供給と、条件が良いときの冷房の両方に関係します。
空気で運ぶ顕熱は、おおむね です。 は風量、 は給気と室内の温度差です。温度差が同じなら風量を半分にすると運ぶ熱も半分になります。しかし必要換気量はこの熱の式だけで決められません。人の数や汚染物質の発生に応じた最低外気量を別に確保します。
湿度を下げる冷却除湿は、コイルを露点以下に冷やして水蒸気を水に変えます。室温の負荷が小さいから冷却を止めると、湿気の処理も止まる場合があります。外気処理と室内の顕熱処理を分ける構成が有用になるのは、この温度と湿度の負荷が常に同じ割合で変わるわけではないためです。