学科Ⅱ(環境・設備)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅱ(環境・設備) 問7
問題・正答・学習用解説
問題
照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(2)
正答の考え方
正解は(2)です。均等拡散面で成り立つ関係は、輝度 です。 は照度、 は反射率なので、照度を求めると 。照度は輝度に比例しますが、反射率には反比例します。反射率を掛けるとした点が逆です。
均等拡散面は、見る方向によって輝度が変わらない理想的な拡散反射面です。つやの強い鏡面と違い、ざらついた白い紙などを近似的に考えると分かりやすくなります。照度はその紙へ入る光の量、反射率は入った光のうち反射する割合、輝度は紙から目へ向かう明るさに関係します。入る光を一定にすれば、反射率の高い白い紙の方が明るく見えます。
逆に、同じ輝度にしたいなら、反射率の低い暗い紙へは多くの光を当てる必要があります。反射率が半分なら必要照度は2倍です。本肢の式の形だと、反射しにくい面ほど少ない照度で同じ明るさになることになり、実感とも矛盾します。式を暗記するだけでなく、白い面と黒い面の比較で掛け算か割り算かを確かめます。
各選択肢の解説
選択肢1
(1)適当です。放射束は、光を含む放射エネルギーが1秒間に運ばれる量で、単位はWです。しかし人の目は、同じエネルギーでも波長によって感じる明るさが違います。そこで各波長のエネルギーへ比視感度という目の感度の重みを掛け、見える範囲で合計して光束を求めます。光束の単位はlmです。単に光源の電気消費Wが大きいほど同じ割合で明るい、とはいえない理由も、電気から光へ変わる効率と、光の波長による感じ方の両方があるためです。
選択肢2
(2)不適当です。 を変形すると です。例えば反射率0.8の面と0.4の面を同じ輝度にしたい場合、後者の必要照度は前者の2倍になります。反射する割合が少ないので、その分多くの光を当てる必要があるからです。照度をに比例させると、暗い面ほど少ない照度でよいという逆の結果になります。式の文字の場所だけでなく、入る光、反射する割合、見える明るさの順に考えます。
選択肢3
(3)適当です。CIE標準晴天空は、太陽が見える晴れた空の輝度分布のモデルです。太陽の周辺は強く明るく、天頂を挟んで太陽から約90度離れた部分が暗くなる分布を持ちます。曇天空のように、同じ高さなら方位を変えても同じ明るさというモデルではありません。例えば写真を撮るとき、太陽の方へカメラを向けた背景と、離れた空を背景にした場合では明るさが違うことに対応します。天空の「標準」は全体が一様な明るさという意味ではありません。
選択肢4
(4)適当です。UGRは、室内の照明器具による不快なまぶしさを評価する指標です。光源の輝度、見える大きさ、位置、周囲の明るさなどを考慮します。窓のように広い面から入る昼光のまぶしさは、適用条件が違うため一般にUGRをそのまま使いません。例えば小さく強い照明器具が視野にある場合と、壁一面の明るい窓がある場合は、目への入り方が異なります。指標の名前にグレアとあっても、全てのまぶしさへ無条件に使えるわけではありません。
周辺知識
照度と輝度を区別するには、机へ光が届き、紙で反射し、目へ入るまでを順に考えます。照度Eは受ける側の光の量でlx、輝度Lはある方向から見る面の明るさに関わり 、反射率は入った光のうち反射する割合で無次元です。均等拡散面の関係 は、受けた光をさまざまな方向へ拡散して反射する性質を表します。
例えば反射率0.5の面に200lxを当てると、輝度は次のように求められます。
同じ面へ400lxを当てれば輝度も2倍になります。照度が同じでも反射率が半分なら輝度は半分です。ただし鏡のように特定の方向へ強く反射する面には、この均等拡散の式をそのまま当てはめません。
まぶしさは、面の輝度が高いことに加え、周囲との対比、視線からの位置、見える面積に関係します。必要な作業面照度を確保する一方、光源が目へ直接入りすぎない配置や遮光を考える必要があります。照明計画は、数値として机を明るくすることだけでなく、見やすい文字の対比と、目に負担となる光を調整する仕事です。