学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問24
問題・正答・学習用解説
問題
建築工事に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。| 用語 | 説明 | |
|---|---|---|
| 1. | クラックスケール | コンクリート等に発生したひび割れの長さの測定に用いる器具である。 |
| 2. | 複層ガラス | 2枚以上のガラスをスペーサーで一定の間隔に保ち、周囲を封着材で密閉し、内部に乾燥気体を満たしたガラスである。 |
| 3. | インバート | 排水系統において、汚水ますやマンホールの底部に設けられる下面を半円形に仕上げた導水溝である。 |
| 4. | スランプ | 高さ30cmのスランプコーンにコンクリートを3層に分けて詰め、コーンを引き上げた直後の、コンクリートの頂部からの下がりを計測した数値である。 |
選択肢
正答と解説
正答:(1)
正答の考え方
選択肢1が不適当です。クラックスケールは、ひび割れの長さではなく幅を測る器具です。長さはひび割れに沿ってどれだけ延びるか、幅は両側がどれだけ開いているかを示します。同じmmやmを使う寸法でも、測る方向と意味が違います。
一般的なクラックスケールには、透明な板などに異なる太さの線と数値が印刷されています。その線を実際のひび割れへ重ね、どの太さに近いかを比較して幅を読み取ります。例えば0.2mmの線と同程度なら、その場所のひび割れ幅を約0.2mmとして把握します。ひび割れ全体の長さを、線の太さの見本で直接測る器具ではありません。
幅は、樹脂注入などの補修工法や材料の選択に関係します。一方、長さは補修範囲や必要な施工量を考える情報になります。例えば長さ2mでも幅0.2mmのひび割れと幅1mmのひび割れでは、適する補修が同じとは限りません。また幅は場所によって変わるため、どこを測ったかも記録します。器具の名前を覚える際には、何をどう測るものかまで説明できるようにすると、用語と説明の取り違えを見つけやすくなります。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:不適当です。クラックスケールはひび割れの幅を比較して測る器具です。透明な板の線の太さをひび割れと重ね、開きが何mm程度かを読み取ります。ひび割れに沿った長さは巻尺など別の道具で測ります。長いひび割れが必ず幅も広いとは限らず、二つは独立した情報です。また、同じ一本のひび割れでも途中で幅が変わるので、測定位置を合わせて記録します。経時変化を調べるときも、別の場所の値を比べて広がったと判断しないことが大切です。
選択肢2
選択肢2:適当です。複層ガラスは、2枚以上のガラスをスペーサーで離して保持し、周縁を封着して内部へ乾燥気体を封じた構成です。気体の層などによって熱が伝わりにくくなり、断熱性の向上に役立ちます。内部を乾燥状態にするのは、ガラス間で結露を起こしにくくするためです。合わせガラスは樹脂の中間膜で複数枚を接着し、破損時の飛散防止などを図るもので、複層とは構成が異なります。二枚あるという共通点だけでなく、間に何があり、周縁をどう納めるかを確認します。
選択肢3
選択肢3:適当です。インバートは、汚水ますやマンホールの底で、水を流入管から流出管へ滑らかに導く溝です。管の下側に続くような半円形などの断面にして、汚物が底へたまりにくくします。雨水ますの泥だめは土砂を沈めるくぼみなので、目的が異なります。汚水を流すますへ不用意なくぼみをつくれば、汚物の滞留や悪臭、詰まりにつながり得ます。ますという同じ箱状の設備でも、雨水の土砂をためるものと、汚水を滞らせず流すものを分けて底の形を考えます。
選択肢4
選択肢4:適当です。スランプ試験は、高さ30cmのコーンへコンクリートを所定の方法で3層に分けて詰め、型を引き上げた直後の頂部の下がりを測るものです。例えばもとの高さ30cmから頂部が12cmの高さまで下がれば、スランプは18cmです。12cmという残った高さをそのままスランプとしないようにします。横へどれだけ広がったかを測るスランプフローとは別の量です。フレッシュコンクリートの変形しやすさに関係する試験で、硬化後の圧縮強度を直接測る試験ではありません。
周辺知識
用語を学ぶときは、物の名称と測る量、機能を対応させます。クラックスケールはひび割れ幅を比較する道具、スランプはコンクリートの下がり量という測定値です。複層ガラスは部材の構成、インバートは排水を導く形です。道具、数値、部材、形という分類をすると、似た説明に引っ張られにくくなります。
測定値では、長さ・幅・高さのどれか、基準からの差か絶対の位置かを確認します。スランプは残ったコンクリートの高さではなく、元の頂部からどれだけ下がったかです。ひび割れ幅はひび割れに沿う長さではありません。測る二点を図で表すと、数字の意味がはっきりします。
部材の機能では、見た目の共通点より内部の仕組みを比べます。複層と合わせガラスは複数枚でも間の構成が違い、汚水ますのインバートと雨水ますの泥だめは箱の底でも水や固形物の扱いが違います。名称を短い定義だけで暗記せず、身近な現象や施工の目的と結び付けることで、説明文が変わった問題にも対応できる知識になります。