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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問25

問題・正答・学習用解説

問題

建築物の工事請負契約に関する次の記述のうち、民間(七会)連合協定「工事請負契約約款」(令和5年1月改正)に照らして、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    監理者は、工事の内容、工期又は請負代金額の変更に関する書類を技術的に審査する。
  2. (2)
    受注者は、設計図書等に発注者又は監理者の立会いのうえ施工することを定めた工事を施工するときは、事前に発注者又は監理者に通知する。
  3. (3)
    施工について、工事用図書のとおりに実施されていない部分があると認められるときは、原則として、監理者の指示によって、受注者は、その費用を負担して速やかにこれを修補又は改造し、このための工期の延長を求めることはできない。
  4. (4)
    部分使用とは、発注者が工事中に契約の目的物の一部を使用する場合に、法定検査を受けて建築確認申請の要件を満たしたうえで、当該部分の引渡しを受けて使用することである。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4が不適当です。部分使用は、工事目的物の引渡しが終わる前に、発注者がその一部を使用することです。「当該部分の引渡しを受けて使用する」とした本肢は、部分使用と部分引渡しを混同しています。法令上使用できる条件と、契約上の引渡しの有無は別の問題です。
例えば建物全体は工事中でも、先に整った一部の場所を発注者が使う必要が生じることがあります。その際、引渡し前の一部を使うのであれば、使用範囲、管理、安全、損傷への対応などを契約上整理する必要があります。使用を始めたという事実だけで、必ずその部分の引渡しが済んだことにはなりません。
一方、部分引渡しは、契約で区分した一部を完成させ、その部分を正式に引き渡す扱いです。管理や責任の区切り方が部分使用とは異なります。また、建築確認は主に計画の適法性を確認する手続であり、確認を受けたというだけで工事途中の全ての使用が認められるわけではありません。必要な法定の検査や使用に関する条件は別に確認します。本問では、契約上の用語の核である「引渡し前か後か」に着目し、部分使用の説明へ引渡しを含めた点を誤りとして捉えます。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。監理者は、工事内容、工期、請負代金額の変更に関する書類を技術的に審査します。例えば変更する材料が必要な性能を満たすか、工事量と工程の変化が対応しているかなど、技術上の観点から確認する仕事です。発注者と受注者の間の契約変更を、監理者が単独で全て決めるという意味ではありません。審査の結果は契約当事者が適切に判断するための情報になります。工事監理には現物と図面の照合に加え、契約で定めるこうした関連の役割もあると理解します。

選択肢2

選択肢2:適当です。設計図書等で発注者や監理者の立会いを求めた作業は、受注者が事前に通知します。立会いは、その工程を実際に見て確認するためのものです。例えばコンクリートを打った後に隠れる鉄筋の状態は、後から完成写真だけ見ても十分に確認できない場合があります。通知を施工後に行えば、指定された確認の機会が失われます。施工日程を調整して必要な立会いができるようにする手順です。受注者の自主検査と、指定された立会いは、それぞれの役割として行います。

選択肢3

選択肢3:適当です。受注者が工事用図書に合わない施工をした場合、原則として監理者の指示で速やかに修補や改造を行い、その費用は受注者が負担します。自らの不適合を直すために必要となった時間について、当然に工期延長を求められるわけでもありません。例えば指定寸法と違うものをつくったためにやり直す場合、その是正を発注者都合の追加工事と同じには扱いません。ただし本肢は原則の説明で、原因や契約上の別条件を確かめず、全ての変更を受注者負担と決める意味ではありません。

選択肢4

選択肢4:不適当です。部分使用は引渡し前の一部使用であり、部分引渡しを受けた後の使用を定義しているものではありません。工事中の建物の一部を発注者が使う場合でも、契約上の引渡しを伴うかどうかを区別します。利用者が入る以上、工事区域との分離や法令上の使用条件などの確認は必要ですが、それらを満たすことと引渡しの成立は同一ではありません。「一部を使う」という共通の外観だけで二つの契約用語をまとめず、管理と責任をどの段階で移すかに着目します。

周辺知識

工事請負契約では、工事を完成させること、検査を受けること、引き渡すこと、実際に使用することを区別します。通常は関連して進みますが、全てが同じ瞬間に起きるとは限りません。部分使用のように、全体の引渡しより前に使う場面では、使用範囲や管理を明確にする必要があります。
監理者は技術的な確認や指示を行いますが、発注者と受注者の契約上の役割まで一人で代わるわけではありません。変更書類を技術的に審査することと、請負代金などの変更に合意することは別の行為です。立会いの通知も、必要な確認を適切な時点で受けられるようにするための手順です。
施工の不適合を直す場合は、誰の原因で、どの義務を履行するために行うかによって費用や工期の扱いが変わります。本問では指定された令和5年1月改正の約款の原則に照らして読みます。法定の手続と契約上の引渡し、技術的な審査と当事者の合意を区別すると、長い契約の記述も責任と行為の関係として整理できます。