資格ナビ一級建築士の演習へ

学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問20

問題・正答・学習用解説

問題

設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    コンクリート埋込みのボックス及び分電盤の外箱は、コンクリートの打込み時に位置がずれないように、型枠に堅固に取り付けた。
  2. (2)
    自動火災報知設備の差動式スポット型感知器は、換気口等の空気吹出し口から1.5m以上離れた位置に設置した。
  3. (3)
    雑用水管について、雑用水系統と飲料水系統との誤接続がないことを確認するため、衛生器具等の取付け完了後、雑用水に着色して通水試験を行った。
  4. (4)
    屋内の横走り排水管の勾配の最小値は、管の呼び径50を1100\displaystyle \frac{1}{100}とし、呼び径75を1150\displaystyle \frac{1}{150}とした。

正答と解説

正答:(4)

正答の考え方

選択肢4が不適当です。屋内の横走り排水管の最小勾配は、呼び径65以下では150\displaystyle \frac{1}{50}、呼び径75・100では1100\displaystyle \frac{1}{100}が基本です。本肢の呼び径50を1100\displaystyle \frac{1}{100}、呼び径75を1150\displaystyle \frac{1}{150}とした値は、どちらも必要な勾配より緩くなっています。
勾配150\displaystyle \frac{1}{50}は、水平方向へ50進むと高さが1下がる傾きです。例えば水平に5m、つまり5,000mm進む管なら、500050=100 mm\displaystyle \frac{5000}{50}=100\,\mathrm{mm}の落差が必要です。1100\displaystyle \frac{1}{100}なら同じ5mで50mmしか下がらず、150\displaystyle \frac{1}{50}より緩いことが分かります。分母が大きいほど急な坂になる、という読み方ではありません。
排水管は通常、給水管のように圧力をかけ続けるのでなく、重力で水や汚物を流します。勾配が不足すると流れが弱くなり、固形物がたまって詰まる原因になります。したがって管径に応じた最小勾配を確保します。ただし、勾配を無制限に急にすれば常によいわけでもなく、流れと空気の通り道を含めた計画が必要です。本問では、まず呼び径ごとの区分を選び、次に分数を実際の落差へ置き換えて、二つの値がともに不足していることを確認します。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。埋込みボックスや分電盤の外箱は、コンクリートが固まると簡単に動かせなくなります。打込み時の流れや振動によってずれないよう、型枠へ堅固に固定する本肢は適当です。所定の高さや壁面からの出入りを確認し、内部へコンクリートが入り込まない処置なども行います。完成後に機器が入らない、仕上げ面と合わないという不具合を避けるため、打込み前の位置確認が重要です。設備の取付け位置と、鉄筋やかぶりなど建築側の条件も調整して納めます。

選択肢2

選択肢2:適当です。差動式スポット型感知器は、周囲の温度が急に上がる変化などを利用して火災を感知します。空気吹出し口の近くでは、冷風が熱を押し流すなどして、設計した感知条件に影響する場合があります。換気口等の吹出し口から1.5m以上離す本肢は適当です。温度が高い場所を見つける人の感覚だけで位置を決めず、感知器の方式と気流の影響を考えます。必要な台数がそろっていても、風の直撃などで有効に働かない配置では、期待する警報につながりません。

選択肢3

選択肢3:適当です。雑用水は便器の洗浄などに使う、飲料用とは別の水です。衛生器具を取り付けた後に着色した雑用水を流すと、飲料水の蛇口などへ色が出ないかによって誤接続を調べられます。図面上は分離されていても、施工中に管を取り違えた可能性を実際の通水で確認するものです。飲料水側とつながっていれば衛生上の問題になるため、仕上がった配管の経路を確認することが重要です。色の確認だけで全ての水質検査を代用する意味ではなく、目的は系統の誤接続の検出です。

選択肢4

選択肢4:不適当です。呼び径50は65以下の区分なので150\displaystyle \frac{1}{50}以上、呼び径75は75・100の区分なので1100\displaystyle \frac{1}{100}以上が必要です。水平距離3mなら、前者は60mm、後者は30mmの落差が最小値の計算になります。本肢の1100\displaystyle \frac{1}{100}と1150\displaystyle \frac{1}{150}では、それぞれ30mmと20mmとなり不足します。分数が比較しにくければ、同じ水平距離に対する落差へ直して比べると明確です。また、管径の数字はそのまま勾配の分母になるわけではありません。該当する径の区分を先に確認します。

周辺知識

設備は、器具を取り付ける位置と、そこへつながる経路の両方で性能が決まります。埋込ボックスは位置を固定し、感知器は熱や気流が届く条件を守り、給水・雑用水は系統を分け、排水は重力で流れる傾きを確保します。機器の名前や数が合っているだけでは、設備として十分に働くとは限りません。
排水勾配の計算は、落差=水平距離×勾配\displaystyle \text{落差}=\text{水平距離}\times\text{勾配}です。150\displaystyle \frac{1}{50}なら距離を50で割り、1100\displaystyle \frac{1}{100}なら100で割ります。距離をmで入れれば落差もmになるので、必要に応じてmmへ直します。例えば次のように計算します。
5 m50=0.1 m=100 mm\begin{aligned}\frac{5\,\mathrm{m}}{50}&=0.1\,\mathrm{m}\\&=100\,\mathrm{mm}\end{aligned}
管を実際に取り付けるときは、途中で逆勾配やたわみが生じないよう支持も管理します。
完成後の機能試験は、図面との照合を補うものです。雑用水の着色試験は誤接続、排水の通水試験は流れの状態など、目的ごとに確認します。隠蔽される部分は施工途中で位置や接続を記録し、完成後に実際の機能を確かめます。材料の選定、正しい位置・経路、施工途中の確認、機能試験をつなげて理解しましょう。