学科Ⅴ(施工)
一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問19
問題・正答・学習用解説
問題
金属工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。選択肢
正答と解説
正答:(4)
正答の考え方
選択肢4が不適当です。野縁を野縁受けへ留めるクリップは、つめの向きを交互にして取り付けます。同じ向きにそろえると、留付けによる力や拘束が片側へ偏り、野縁にねじれやひずみが生じやすくなります。「そろえればひずみを防げる」という本肢の説明は逆です。
野縁は天井板を直接支える細い横材、野縁受けはその野縁を上から支える材です。二つが交わる部分でクリップを使って留めます。クリップのつめは部材へ引っ掛けて固定する部分で、薄い鋼材の下地では、この小さな留付けの向きも全体の形に影響します。
例えば片側だけから繰り返し押さえられる細い棒は、一方向へねじれやすくなります。向きを交互にすることで、留付けの偏りを抑えて野縁を適切な位置に保ちます。これは単なる見た目の並び方ではなく、天井面の平らさや支持に関わる施工条件です。クリップが必要な数だけ付いていればよいのではなく、向き、確実な掛かり、野縁と野縁受けの配置を一緒に確認します。また、壁の縦材であるスタッドと天井の野縁は別の部材なので、同じ下地材として数値を混ぜないことが大切です。
各選択肢の解説
選択肢1
選択肢1:適当です。スタッドは壁下地の縦材、ランナーは床や上部へ水平に取り付け、スタッドを受ける溝状の材です。スタッドの上端と上部ランナーの上端との隙間を10mm以下に管理する本肢は適当です。ねじれたスタッドを使うと壁面を平らに納めにくくなるため、材料の形も確認します。隙間が大き過ぎれば上部の掛かりなどが不足し得ます。一方、無理に長い材を押し込んで曲げる施工も適切ではありません。所定の長さと納まりで、壁を支える下地を組み立てます。
選択肢2
選択肢2:適当です。出入口では下地が開口によって途切れ、建具の重量や開閉に伴う力も作用します。そのため開口の縦枠を補強します。本肢の長さ4.5mでは、65形スタッド2本を抱き合わせ、上下端部と600mm間隔で溶接する補強材の扱いは適当です。二本を隣に置くだけでなく接合することで、組み合わせた材として働かせます。ただし、全ての開口寸法に同じ材で足りるとは限りません。長さ、建具の条件、指定された仕様を確認し、開口周辺の支持を連続させます。
選択肢3
選択肢3:適当です。特記がない場合、屋内の天井下地は19形、屋外は25形を用いる本肢の使い分けは適当です。屋外では風などの影響を受けるため、屋内と同じ条件では扱いません。形の番号は下地材の区分を表し、部材寸法などに対応します。天井板が軽いから細い下地でよい、と自重だけを見て決めないことが重要です。部材の種類に加え、吊り材、野縁受け、留付けの間隔や接合などを所定の仕様に合わせます。大きい材を使っただけで全体の検討が不要になるわけでもありません。
選択肢4
選択肢4:不適当です。クリップのつめは交互の向きにし、留付けが一方向へ偏らないようにします。同じ向きに並べると見た目は整っても、薄い下地材のひずみを抑える目的には合いません。天井板の重量は野縁からクリップを通して野縁受けへ伝わるので、一つ一つの留付けが確実に働く必要があります。つめの向きだけでなく、正しくはまっているか、所定の位置で固定されているかも確認します。小さな金物でも、欠落や不適切な取付けが天井面の不具合につながります。
周辺知識
軽量鉄骨下地は、薄い鋼材を組み合わせ、壁や天井の仕上げを支える骨組です。部材一本だけでは曲がりやねじれが生じやすくても、所定の間隔と接合で組むことで、必要な面を保ちます。材料の種類、配置、接合を一組で管理することが重要です。
壁と天井で力の流れを整理しましょう。壁ではスタッドが仕上げ材を支え、上下のランナーなどへつながります。天井では天井板→野縁→クリップ→野縁受け→吊り材という経路で重さを伝えます。どこかの接合が外れれば、その先の強い部材まで力が届きません。クリップの向きや固定の確認は、この連続性を守る作業です。
開口を設けると、通常の下地の並びが途中で切れます。出入口の縦枠や天井点検口の周辺を補強するのは、その欠けた支持を補い、開閉などの力にも対応させるためです。また、屋外は風による上向き・横向きの力も受けます。標準的な屋内の配置をそのまま外へ使わず、環境と開口の条件に合わせた仕様を選ぶ必要があります。