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学科Ⅴ(施工)

一級建築士 令和6年度 学科Ⅴ(施工) 問21

問題・正答・学習用解説

問題

各種工事等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

選択肢

  1. (1)
    屋根保護防水密着断熱工法を採用したルーフドレン回りの断熱材は、ルーフドレンのつばの150mm手前で止めたので、断熱材の欠損部には、熱橋部の結露防止のために、スラブ下に断熱材を施した。
  2. (2)
    戸建て住宅の浴室の換気設備工事において、雨仕舞に優れたベントキャップを採用し、排気ダクトは屋外に向かって先下がり勾配とした。
  3. (3)
    フローリング張りの釘留め工法において、壁、幅木、敷居などとフローリング材との取合いには、フローリング材が動かないよう隙間を設けないこととした。
  4. (4)
    シーリング工事において、ガラス部材同士の組合せについては、特記がなかったので、シリコーン系シーリング材を使用した。

正答と解説

正答:(3)

正答の考え方

選択肢3が不適当です。木質フローリングは、湿度などに応じて伸び縮みするため、壁、幅木、敷居などとの取合いに必要な隙間を設けます。隙間をなくして動かないようにする本肢は、膨張したときの逃げ場を失わせ、床の盛上がりなどを招く恐れがあります。
木材は空気中の水分を吸ったり放出したりします。水分が増えると寸法が大きくなり、乾くと縮む性質があり、その程度は繊維の方向などによっても異なります。釘で下地へ留めても、木材自体の寸法変化が消えるわけではありません。
例えば複数枚の床板が少しずつ幅方向へ膨張すると、部屋全体ではその変化が積み重なります。両端を壁に隙間なく押し付けていれば、横へ伸びる余地がなく、途中が持ち上がるなどの変形につながります。壁際では伸縮の余地を確保し、見える納まりは幅木などで整えます。隙間の寸法は床材や製造所の仕様に従い、適切に固定することと動きに対応することを両立させます。「固定する」ことを「材料を全く変形させない」ことと同じに考えないのが要点です。

各選択肢の解説

選択肢1

選択肢1:適当です。ルーフドレンは屋上の雨水を集めて排水する金物です。その周りで屋上側の断熱材が途切れると、コンクリートを通じて熱が移動しやすい熱橋になります。冬にスラブ下側の表面温度が低下すれば、室内の水蒸気が結露する恐れがあります。本肢はドレンのつば手前で止めた断熱材の欠損を、スラブ下側の断熱で補う対策です。屋上の広い面に十分な断熱があっても、局部の切れ目に不具合が集中し得ます。断熱の連続性を部位の断面で確かめる考え方です。

選択肢2

選択肢2:適当です。浴室からの湿った暖かい空気は、冷たい排気ダクト内で冷やされ、内面に結露水を生じる場合があります。屋外に向かって先下がりの勾配にすると、その水や侵入した雨水が室内側へ流れ込みにくくなります。ベントキャップは外壁側の排気口に付ける部材で、雨仕舞のよいものを選びます。雨を入りにくくする出口の形と、入った水や結露水を外へ流す管の傾きを組み合わせる対策です。空気が外へ流れることだけでなく、水がどちらへ動くかも考えます。

選択肢3

選択肢3:不適当です。フローリング材と壁などの間には、材料の伸縮に対応する必要な隙間を設けます。釘で固定しているから膨張しない、ということではありません。隙間をなくすと、床板同士や壁との間で押し合う力が増え、盛上がりなどの原因になります。一方、必要以上に大きく空ければ納まりや見た目を損なうため、製品の施工仕様に合う寸法を確保します。湿気を吸ったときの動きを予想し、壁際の余地と幅木などの仕上げを組み合わせることが大切です。

選択肢4

選択肢4:適当です。シリコーン系シーリング材は、ガラスとの接着や耐候性などの点から、ガラス部材同士の目地に用いられます。本肢の特記がない場合の選択は適当です。シーリング材は目地をふさぎ、部材間の動きに追従しながら水密性などを保つ材料です。ただし、全ての材料との接着や上からの塗装に万能ではなく、用途によっては汚染や塗装との相性も問題になります。ガラスという被着体、目地の動き、仕上げ条件に合う種類を選び、プライマーや下地処理も仕様に合わせます。

周辺知識

建物では、熱、水、材料の伸縮がつながって不具合を起こします。断熱の切れ目は表面を冷やし、そこへ室内の水蒸気が触れると結露します。浴室の排気も、暖かい水蒸気が冷たい管へ触れて水になる場合があります。断熱や換気があるというだけでなく、局所的な切れ目や水の流れる向きを確認する必要があります。
結露は、空気が冷やされて含み切れなくなった水蒸気が液体になる現象です。冷たい飲み物のコップの外側に水滴が付くのと同じ仕組みです。ルーフドレン周囲の熱橋では天井側を冷やさない対策、排気ダクトでは生じた水を室内へ戻さない勾配が、それぞれの問題に対応します。
木材やシーリングには動きへの配慮が必要です。木材の寸法変化を壁際の隙間で受け、目地の動きを適切なシーリング材で受けます。全てを隙間なく固めるのではなく、材料が変化しても必要な性能を保てるように納めます。熱の通り道、水の流れ、伸縮の逃げ場を断面で追うと、異なる工種の注意点を一つの建物の働きとして理解できます。